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2002年5月号(B-brainコーナー)

ティーエフエム・インタラクティブ:小針俊郎 取締役
飾らなくても優良番組は作れる
ニッチな味付けこそラジオ屋の武器

関東圏をサービスエリアとする民放ラジオ放送局エフエム東京(TFM)は2001年7月、NTT東西と共同で大容量のコンテンツ配信を手がけるティーエフエム・インタラクティブ(TFMi)を設立した。ブロードバンド市場で“ラジオ屋”が考えるコンテンツビジネスの勝ち残り策とは何か。2002年4月に本格サービスを開始したTFMiの事業展望について、番組プロデューサーの経歴を持つ小針俊郎取締役に聞いた。

Profile

小針俊郎(こばり・としろう)
1970年3月日本大学法学部卒業。同年4月エフエム東京入社。編成部、報道部を経て、89年制作部プロデューサー就任。92年関連企業のミュージックバードのチャンネル・プロデューサーを兼任。95年8月PCM制作部長就任、同時にミュージックバードの全チャンネルを統括。98年6月モバイル放送出向、番組開発部長就任。2000年7月エフエム東京マルチメディア事業局長就任。2001年7月TFMi取締役就任、現在に至る。48年生まれ。神奈川県出身。

――TFMiが4月から本格的な商用サービスを開始した「internet interactive TV(iiV)」の中身について教えて下さい。

小針 iiVは、ブロードバンド向けコンテンツのポータルサイトのようなものです。TFMをはじめ、37局の地域FM局を束ねるジャパンエフエムネットワーク(JFNC)が提供する各地域FM局サイト、「WBSi.COM」「KIISFMi.COM」「XTRAi.COM」といった米国の主要音楽番組などを抱える全米最大級のエンターテインメント系ポータル「FMiTV」、そして企業スポンサー提供による生活情報番組、TFMiオリジナル番組などで構成されています。番組の中身は、ニュースやドラマ、バラエティなど幅広く取り揃えていく方向で準備を進めています。試験用サイトは昨年11月初旬に開設され、この4月に本格的な商用サービスに移行しました。
 iiVの運営母体となるTFMiは、TFM、JFNC、NTT東西が2001年7月9日に設立した合弁会社です。現状ではTFMが48.6%出資し、iiV展開の旗振り役を務めています。役割分担としては、TFMがエンターテインメント系コンテンツの企画・制作、JFNCが地域FM局からの情報提供、そしてNTT東西がコンテンツ配信のためのシステム構築・運用を担当しています。

――ブロードバンド事業のパートナーとしてNTT東西を選択した理由は何ですか。

小針 ADSLがブロードバンド・インフラの足回りとして急速に普及していますが、最終的には光ファイバーがADSLに置き代わっていくと予測したからです。数年後には各戸に光ケーブルが敷設され、今よりもはるかに高品質な動画と音声が送り届けられるようになっていくと期待しています。そう考えると、インフラの本命である光ファイバー網を全国にくまなく展開するNTT東西と共同で事業を進めていくことが、将来の発展に有利だろうと判断したのです。

――インターネット事業としてiiVを捉えた場合、親会社であるTFMのインターネットサービスとはどう棲み分けるのですか。

小針 TFMも他のFM局もすでに自社のWebサイトを開設しており、インターネットを利用した情報発信では先行しています。ただ、ブロードバンドを想定したコンテンツ開発ではiiVが初めてということになりますね。TFMのWebサイトは、あくまでラジオを補完するための位置付けで、リスナーに楽しんでもらうためのものです。一方iiVは、TFMとは切り離された別の企業体が提供するサービスですから、ラジオ番組に関係なく幅広いジャンルの各種情報番組を提供していきます。
 長期的な見通しとしては、現在TFMで配信しているミュージシャンのライブ映像やラジオ番組のパーソナリティを起用した音楽番組などのすべてが、iiVの番組メニューの1つとして取り込まれ、TFMiとTFMのインターネット関連サービスが統合されていく格好になるでしょう。

ラジオ屋ならではの味付け

――TFMiの事業展開を1つのきっかけに、TFMグループはますますインターネット市場と密接な関係を築いていくわけですが、ラジオ放送局としてインターネットというメディアをどう評価していますか。

小針 インターネットは説明するまでもなく、オーディオとビジュアルの両方に対応しています。今は文字と静止画を中心としたナローバンド向けのコンテンツが大半かもしれませんが、耳で聞くだけのラジオ放送では伝えられないメッセージをコンテンツに盛り込むことができるのは確かです。コンテンツを制作する立場としては、表現力の豊かなインターネットは情報媒体として大変魅力的だと感じています。
 しかし、「それなら今さらインターネットに頼らなくてもテレビ放送で十分ではないか」といった議論がよく聞かれます。事実、テレビ放送局は40年〜50年もの間、オーディオとビジュアルを駆使した番組を提供してきているわけですからね。ただ、テレビ放送局とわれわれのような“ラジオ屋”では番組制作に対する考え方や制作方法に違いがあり、インターネット向けのコンテンツではテレビ放送局に対しても十分に差別化を図れると思っています。

――テレビ放送にないラジオ屋ならではのインターネットコンテンツとは何ですか。

小針 コンテンツの送り手側からみた場合、テレビ番組は視聴者をテレビの前に釘付けにするため、何百万円、時に何千万円もの豪華な衣装やセットを組み番組制作を行っています。これは、オーディオとビジュアルの両面で視聴者を飽きさせないための工夫と言っていいでしょう。
 聴覚にのみ訴えてきたラジオ番組と、今日見られるテレビ番組とでは、企画段階から費用配分も含め制作スタイルが異なっているのです。ラジオ屋としては、これまで音でしか表現できなかった世界に映像も加わるわけで、新しいラジオ番組のスタイル、ひいてはインターネットコンテンツの在り方を示せるのではないかと考えています。
 他方、テレビ局はオーディオとビジュアルを組み合わせた番組をすでにテレビ放送で実現しており、果たしてインターネットがテレビ放送波と比較して、合理的かつ経済的なメディアなのかといった議論も依然未解決のままとなっているようですしね。
 では、ラジオ屋の考えるインターネットコンテンツは何かということですが、例えばラジオ番組に訪れた歌手やスポーツ選手、政治家といったゲストの素顔をその場で撮影することで、テレビ番組向けに豪華に着飾ったゲストとはひと味もふた味も違う、素の表情を送り届けることができます。視聴者にしてみれば、自分の好みのゲストが出演していればそこにこそ価値の本質があるわけで、テレビのように衣装やセットなどの付加価値で惹きつける必要はないというわけです。

企業にiiVの番組枠を提供

――現在、iiVの番組は無料ですが、今後どのように収益をあげていくのですか。

小針 ベースは民間のテレビ放送局同様、広告収入を考えています。いわゆる番組スポンサーを募り、企業または商品のCMをiiVの番組途中で流していただくのです。視聴者には無料で番組を見ていただく代わりにCMも見ていただくというわけです。もちろん、番組を編成していく中で優良番組が登場してくれば有料番組の提供も検討していく考えです。
 広告料金については、インターネット上での番組はテレビ放送と異なり見る時間帯がユーザーによってまちまちですから、どれだけのアクセス数があったのか、実績値に応じてそれぞれ価格を設定していくことになりそうです。詳細については現在、広告代理店の電通と詰めている最中です。広告の売り込み先企業としては、番組視聴者の年齢や性別に応じて、例えば20代女性が多ければ化粧品メーカーにアプローチするといった手法をとっていきます。
 また、iiVでは単にテレビ番組で見られるような商品CMを流すのではなく、サイトそのものを企業に提供し、自らプロモーション展開していただく企画も準備しています。当社ではこれを「アライアンスサイト」と呼んでいますが、企業に24時間動画像を流せる権利、言ってみればテレビ局を借り切っていただくようなイメージです。

――アライアンスサイトの中身をもう少し具体的に教えてください。

小針 例えば航空会社のケースで考えると、単に「航空券を売りますよ」という企業の宣伝に終始するのではなく、企業に「世界の絶景」と題した美しい風景番組を当社から提案するといったこともします。スポンサー企業から要望があれば、番組制作の支援もします。世界の絶景なら、時事のニュース映像と違い情報が陳腐化することがありませんから、視聴者には好きな時間に映像を引き出して楽しんでもらえるはずです。そのほうが娯楽番組としても成立し、番組を楽しめた視聴者なら気分よく航空券の購入情報に入っていけるでしょう。

――最後に番組プロデューサーの立場として、iiVにかける期待のほどを。

小針 TFMという進取的な企業体質から、現状のサービスに満足し安穏と過ごすということはできません。ラジオ屋としての資産を生かして、飾らずとも視聴者に満足していただけるコンテンツを手がけていきたいと思います。

(聞き手・田中大介)
 

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