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2001年4月号

沖電気工業:畑和徳 常務取締役・CTO
ブロードバンドは光化に重点
アライアンスと小回り利く社内体制で
e社会の早期実現を後押しする

ブロードバンドアクセス市場の立ち上がりによって、IP統合ネットワークは新たな局面へ歩を進めようとしている。こうした動きは、通信機器ベンダーにも大きなビジネスチャンスがもたらされることになる。沖電気工業は、この機を確実に捉えるべく、社内外の体制強化を図り、ソリューション事業に勢いを付けようとしている。同社はブロードバンド時代にどのようなビジネスを展開していくのか──。畑和徳常務・CTOに今後の戦略を聞いた。

Profile

畑和徳(はた・かずのり)
1967年3月早稲田大学理工学部電気通信学科卒業、同年4月沖電気工業入社。96年6月取締役移動通信事業推進センタ長、97年7月取締役ネットワークSI事業部長を経て、99年4月常務取締役に就任。2000年4月からCTOを兼任。

映像コンテンツで日本が主役に

――このところ、IPネットワークの普及がブロードバンド化という潮流によって加速されようとしています。御社では、こうした動向をどう捉えていますか。

 確かに、IP化というキーワードはネットワーク市場に深く浸透してきています。キャリアにおいても、バックボーン部分におけるIPネットワークの構築がアクセス系に広がり始め、ここでブロードバンド化への動きが活発化してきています。これによって目指すべきところは、エンド・エンドでのフルIP化ということになります。
 ただ、単にインフラを整備すればよいわけではなく、ユーザーに使ってもらうためのコンテンツが充実していく必要があります。この2つの要素がうまくかみ合うことで、ブロードバンドIP市場は大きな広がりをみせていくと思います。

――それぞれの要素について、日本における今後の見通しはいかがでしょう。

 インフラ整備という点では、このところADSLサービスが立ち上がる気配をみせつつありますが、真のブロードバンドというものを考えると、メタリックケーブルを活用した形態はあくまで中間解であって、やはり本命は光ファイバーでしょう。政府のIT戦略推進に沿えば、2004〜2005年には光ファイバーがかなり使われる状況になると思いますし、このところの事業者サイドの動きからも、そうした市場が形成されることが十分感じ取れます。当社も、今後のインフラ構築ビジネスとして、光化に焦点を当てた展開を強く推し進めていく考えです。
 一方のコンテンツ面に関しても、iモードの爆発的な普及によって、コンテンツサービスというものに対するユーザー側の認知度は明らかに高まっています。当然ながら、今後はもっとリッチなコンテンツへのニーズが強くなり、そのための通信環境として、より高速なネットワークが広く求められるようになっていくはずです。

――ブロードバンド時代のコンテンツは、どういうものが主流になるのでしょうか。

 私は、やはり映像ではないかとみています。そして、その時には日本がリーダーシップを取っていくことになるでしょう。今のキャラクター文化は英語が中心なので、日本はどうしてもハンデキャップを負っていますが、映像系は日本の得意分野ですからね。

――しかし、ユーザー側のニーズがどのくらいあるか気になるところですが。

 それも大丈夫でしょう。例えば、現在インターネット放送のような実験がいろいろ行われていますね。それに対して、「本当にパソコンで映画を見たりするのか」と疑問を呈する声もありますが、結構多くの方が利用しているのです。つまり、ユーザー側はテレビでもパソコンでもさほど抵抗はないということであって、良質のコンテンツが多く流れるようになれば、急速に普及するはずです。
 むしろ問題となるのは、そうしたコンテンツを提供する方がどのくらい増えるかという点にあると思います。ですから、コンテンツを容易に開発できるような技術を提供し、参入しやすい環境を作り上げることが鍵となります。

アクセス系の光化に2つの技術で貢献

――御社の具体的な戦略について教えて下さい。まず、アクセス系の光化については、どのようなアプローチをしていくのですか。

 当社は、自らのみで光関連のシステムを開発していくということではなく、他社とのアライアンスによるソリューション提供に軸足を置いています。例えば、ルーターに関してはシスコシステムズ社、WDM(Wavelength Division Multiplexer)ではシエナ社と手を組み、彼らの製品を日本のユーザーに合うようにローカライズ、カスタマイズし、トータルソリューションとして提供しています。一方で当社は、こうした機器向けに光関連のチップやモジュールなどコンポーネントを供給しています。
 また、当社自身の取り組みとして、当面2つの技術に注力していきます。
 まず、ATM-PON(Passive Optical Network)です。これは、アクセス系のシステムとして光ファイバーを分岐する仕組みで、150Mbpsを32に分岐できます。FTTH(Fiber To The Home)での活用だけでなく、FTTC(Fiber To The Curb)に用いてxDSLなどと接続することも可能です。国内では今のところNTTがメーンの納入先ですが、NCC側でも動きが出始めています。米国でもベルサウスへ試験用で導入実績をあげることができましたので、これをきっかけに市場へのアプローチを本格的に進めていきたいと考えています。さらに、欧州地域でも導入気運が高まりつつあるので、世界規模で需要が見込めるものと大きな期待を寄せています。
 もう1つは、ROF(Radio On Fiber)です。これは、ミリ波帯の無線信号を光信号に変調して光ファイバー内を伝送させる技術で、ITS(Intelligent Transport System:高度道路交通システム)のプラットホームやIMT-2000における不感地帯対策などに活用できます。

――キャリアのソリューションにおいてポイントとなるものは何ですか。

 いろいろな要素がありますが、大きくは3点になると思います。
 まず、IPネットワークにおいても、これまでと同等の高信頼性を確保することです。今後トラフィックは、当社がキーワードの1つとして掲げているMMoIP(MultiMedia over IP)が広がりをみせていくでしょう。そうした時に、トラフィックを効率的に運ぶため、ルーターやWDMの能力をもっともっと向上させていくと同時に、これまでの電話並みの品質を実現する必要があります。
 2点目はセキュリティの向上です。これについては、ネットワークなど低レイヤの部分もさることながら、アプリケーション部分における個人認証などが重要となってきます。当社で「e社会」と呼んでいる、いわゆるネットワーク社会が本格化するには、これが不可欠の要素になりますから、自社開発、他社との提携の両面で、さまざまな技術を積極的に取り込んでいこうと考えています。
 3点目は、サービスアプリケーションをうまく制御する仕組みです。例えば音声でいうと、既存の電話網で実現している膨大な機能を、IPインフラでも実現するためのシステムが必要になります。また、課金や障害対応など運用をサポートするシステムも求められます。これらについても、他社製品を含めてベストなソリューションを常に提供できる体制を整えていきます。

キャリアネットワークにもMMoIPを広げる

――MMoIPに関する戦略を教えて下さい。

 この分野では、まず企業ユーザー向けのアプローチとして、CTIサーバー「CTstage」やVoIPゲートウエー「BS/BVシリーズ」、IP-PBX「IPstage」といった製品を業界でいち早く提供してきましたので、その強みをますます磨いていこうと思っています。
 そして、これをキャリア向けのソリューションにも広げつつあります。

――具体的にはどのようなものになるのですか。

 現在リリースしている製品がいくつかあります。
 まず、VoIPサービスを実現するためのソフトスイッチ製品「TOCTIS」があげられます。既存の電話網とIP網のインターフェースをとるメディアゲートウエーやSS7との接続のためのシグナリングゲートウエーをコントロールする「コールサーバー」、課金や障害対応などを制御する「オペレーションサーバー」、メッセージング統合やコールセンター機能などさまざまな拡張サービスを実現するための「アプリケーションサーバー」などで構成されるもので、数百万規模のユーザーを収容できるスケーラビティに加え、長年のキャリアビジネスで培った高信頼性、VoIP分野にいち早く取り組んだことによる相互接続性が大きな売りになっています。すでに、ある大手キャリアに試験用途での導入実績もあげています。
 また、コンテンツ流通向けのプラットホームとしては、MPEG4に対応しVODやリアルタイム画像配信を実現する並列・分散マルチメディアサーバー「OKI Media Server」を用意しており、機能の強化・拡張を積極的に進め、現在バージョン4がリリースされています。
 このシステムは、当社が幹事会社を務めるブロードバンドネットワーク上でのビデオストリーミング配信サービスを推進する団体「Video Streaming Forum」でも活用され、インターネット上でのライブ配信が実現されています。例えば、今年の元旦にはTBSが富士山頂からの初日の出を配信しました。また、2月7日には、ムービーネットインターナショナルと当社が協力して、映画「処刑人」の主演男優、ノーマン・リーダースの来日記者会見をインターネット上で生中継しました。これは、会見場で撮影した画像をMPEG4で変換し、インターネットプロバイダーやブロードバンドサービス事業者経由でリアルタイム配信するというものでした。さらには、総務省が推進する情報流通実証実験の基幹システムとしても利用されています。
 このほか、2月27日には広域ネットワークでのコンテンツ共有・配信を実現するソフトウエア「C-NetLiaison」を発表し、5月から出荷を開始します。さらに、CTstageをベースに独立したメールサーバー、顧客データベース、画像蓄積サーバーなどを連携させるキャリア/ISP向けソリューションも発表しており、TTNetが提供する「ドットi」の着信通知サービスに採用いただきました。

――先日発表したマイクロソフトとの提携もMMoIP戦略の一環に位置付けられますね。

 そうですね。この提携は、マイクロソフトの次世代ネット戦略「Microsoft.NET」(マイクロソフト・ドット・ネット)として、ナレッジワーカーのための新しいコミュニケーションスタイルを実現する「Computer Telecommunication」市場の開拓に取り組んでいこうというものです。
 具体的な内容は、第一弾として今春をめどにWindows2000およびExchange2000に対応したCTstageをリリースし、その後はIPstageやPBXシステムも連携させていきます。当社では、これらの製品・ソリューションを開発するため、100名のプロジェクトを編成しました。
 また、マイクロソフト、当社の双方にデモルームを設け、ユーザー提案や技術検証などに活用していきます。当然ながら、この場は、両社の販売パートナーにも役立ててもらえるものです。

社内ベンチャーの機動力生かし新ビジネス領域開拓に挑戦

――ところで、御社では組織体制の面でも、ネットワークビジネスの強化に向けた取り組みを進めていますね。

 ええ。2000年4月に設置した3つの社内カンパニーに加えて、この1月に「オプティカルコンポーネント」、「ネットビジネスソリューション」、「エンタープライズソリューション」という3つの社内ベンチャーカンパニーを設けました。この中で、オプティカルコンポーネントカンパニーは、昨年4月に設立したコンポーネント事業部から名称変更したものです。
 これらは、いずれも今後の成長が見込める新しいビジネス領域に挑戦する事業体で、シンプルな組織構造によってスピーディな展開ができるようにしています。

――それぞれの具体的なビジネスを教えていただけますか。

 オプティカルコンポーネントカンパニーは、光関連のデバイスを提供しています。すでに100億円超の売上高を確保し、来年度はさらに倍増を見込んでいる、当社の中でも一番伸び盛りの事業体です。これは、米国における光化需要が強い追い風になっていて、注文を捌き切れないほどの引き合いが来ているのが要因です。
 1月に新設した社内ベンチャーカンパニーは、Eビジネス市場に対応し付加価値の高いサービスやソリューションを提供するのが目的です。ネットビジネスソリューションカンパニーは、ネット決済、Webサイト構築、セキュリティの3領域に注力します。また、エンタープライズソリューションカンパニーは、ERP、SCM、PDM、EAIといった基幹業務システムを核とするプロセスベースのトータルソリューションビジネスを展開していきます。

――ベンチャーカンパニーは今後も増やしていくのですか。

 そう考えています。事業分野としては、まず映像関連やネットワークアプリケーション関連が有力候補になるでしょう。ただ、その属性が必ずしも社内になるとは限りません。当社でもすでにいくつかの社外ベンチャー企業を有していますが、いろいろなアライアンスや投資が望まれる場合は、社外に出すという方策のほうが有効でしょう。

――次世代ネットワークソリューションをサービスプロバイダー向けと企業向けに分けると、御社は今後どちらに比重を置いていくのですか。

 非常に難しいところですね。当社はもともとキャリアを中心としたサービスプロバイダー向けのビジネスで成長してきて、現在もそのウエートが大きいのは事実です。しかし、その市場では、事業者各社が競争の激化によって設備面でのコストダウンを進めざるを得ない状況にあり、当社も以前のような利益を上げていくことが難しくなってきています。したがって、方向性としては、企業向けのビジネスももっと伸ばしていかなければいけません。
 ただし、“お客様”という視点でみると、サービスプロバイダーから企業に大きく移っていくかどうかは、見極めが必要だと思っています。というのは、従来は企業内ネットワークで提供されてきた機能を、サービスプロバイダーが付加価値サービスとして提供し、一方で企業はそちらにアウトソーシングしようという動きが活発化してきているからです。つまり、企業向けに開発したサービスであっても、その提供先が、キャリアやISPである可能性も出てくるわけです。
 そういう点で、当社としてはブロードバンド化も含めて進化するIPネットワークをトータルな視点で捉えて、そこから生み出される「e社会」をいち早く実現するための最適なソリューションを提供し続けていきたいと考えています。

(聞き手・大谷聖治)
 

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