リックテレコムWeb雑誌書籍展示会・セミナー 会社案内個人情報保護方針採用情報

テレコミュニケーションコンピューターテレフォニーCOMPASS

テレコミュニケーション

テレコミのご案内
TOPへ戻る
編集コンセプト
2012年発売号一覧
2011年発売号一覧
2010年発売号一覧
2009年発売号一覧
2008年発売号一覧
2007年発売号一覧
2006年発売号一覧
2005年発売号一覧
2004年発売号一覧
2003年発売号一覧
2002年発売号一覧
2001年発売号一覧
インタビュー集2012
インタビュー集2011
インタビュー集2010
インタビュー集2009
インタビュー集2008
インタビュー集2007
インタビュー集2006
インタビュー集2005
インタビュー集2004
インタビュー集2003
インタビュー集2002
インタビュー集2001
お問い合わせ先



広告掲載料金
広告掲載企業
2011・2012年記事広告一覧
連載記事広告一覧
2010年記事広告一覧
2009年記事広告一覧
2008年記事広告一覧
2007年記事広告一覧
2006年記事広告一覧
2005年記事広告一覧
2004年記事広告一覧
2003年記事広告一覧
2002年記事広告一覧
お問い合わせ先


セミナーのご案内
セミナースケジュール
お問い合わせ先



テレコミTOP編集コンセプト購読のご案内広告のご案内
 


2002年4月号

ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ:吉岡 浩 代表取締役社長
飽和市場で生きる「SONY」ブランドの血統
デザインと品質重視の開発体制強化に注力

ソニーとエリクソンの携帯電話部門の統合によって2001年10月1日に誕生した「ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズAB」は、ソニーのコンシューマー市場における強いブランドイメージと商品力、エリクソンの携帯電話市場における高い技術力が強みだ。世界初の「Sony Ericsson」ブランドとして年末商戦時に投入されたKDDIの「cdmaOne C1002S」は、他機種に比べシンプルな機能ながら「私らしさ」にこだわる端末デザインが受けヒット商品となっている。設立から半年、携帯電話市場で独自の“存在感”を見せ始めた同社の事業戦略について、日本法人の舵を取る吉岡浩代表取締役社長に聞いた。

Profile

吉岡 浩(よしおか・ひろし)
1979年ソニー入社、89年カムコーダ事業部部長、97年パーソナルオーディオビデオカンパニー バイスプレジデント、99年パーソナルITネットワークカンパニー バイスプレジデント、2001年4月ネットワーク&ソフトウェアテクノロジーセンター 技術推進部門 部門長、同年6月デジタルテレコミュニケーションネットワークカンパニー コ・プレジデントを経て、2001年10月ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 代表取締役社長に就任。1952年生まれ。愛媛県出身。

――2月6日に発売されたNTTドコモの「ムーバ SO211i」の売れ行きが好調で、店舗によってはNEC製「ムーバ N211i」に迫る勢いと聞きます。手応えはいかがですか。

吉岡 ムーバ SO211i は、「Sony Ericsson」がスタートしてからKDDIの「cdmaOne C1002S」に次ぐ2機種目の製品です。販売台数を具体的に申し上げることはできませんが、とても好調な出足をみせています。また、1機種目のC1002Sも順調で、売れ行きのカーブが2000年末に発売された着せかえケータイ1号機の「cdmaOne C406S」と同様な伸びを示しています。数量的には同じでも、市場が飽和してきている今のほうが売れているという実感はありますね。
 なかでも「オレンジ色」が当初の予想を上回る注文をいただいているようで、一部店舗によっては品不足でユーザーの方々にご迷惑をおかけしたところもあるようです。
 これには理由があって、実は当初、オレンジ色は「白」や「黒」を基調とした端末よりも少なく生産する見込みだったのです。というのも、色の違いによる生産台数の配分は、オペレーター側からオーダーをいただく際に、当社の比較的年齢層の高いマネージャークラスがオペレーター側の方と協議のうえ決定していくのですが、「オレンジは色合いが派手なので持つ人は限定され、あまり売れないだろう」という予測を立てたのです。
 携帯電話を購入されるユーザーの目線ではなく、自分たちの目線で判断してしまったわけですね。今後は、ユーザー層と年齢の近い若い社員たちの意見も積極的に取り入れ、決めていこうと思っています。

――新ブランドで発売されている機種は、Bluetoothやメモリースティックといった次世代インターフェースを持たないシンプルな作りです。高機能端末のリリースが目立った昨年から方針転換されたのですか。

吉岡 昨春は、メモリースティックを内蔵してウォークマンのように音楽を楽しめる携帯電話「C404S DIVA(ディーバ)」や世界初のBluetooth内蔵端末「C413S」を投入し、技術面で“ソニーらしさ”をアピールしてきたつもりでした。ところが販売数は予測したほどは伸びませんでした。この時に、携帯電話市場では技術や機能のみを前面に出した製品戦略では、お客様にアピールしにくいことを学びました。
 私自身はここに来る以前、ソニーでビデオカメラやデジタルカメラなどのAV機器の開発に携わってきましたが、これらのAV機器を購入されるユーザー層と携帯電話のユーザー層とでは、年齢にだいぶ開きがあると知りました。ソニーのAV機器ユーザーは、どちらかというと金銭的に余裕のある技術志向の年配の方が多いのに対し、ソニーの携帯電話ユーザーは若いサラリーマンや高校生、大学生が中心です。若い年齢の方には、つなぐ相手がまだ少ないBluetooth端末より、お気に入りのプリクラや写真を飾ることのできる着せかえケータイのほうがより魅力的だったというわけです。もちろん、着せかえ端末にBluetoothが搭載されていれば、さらに強い端末になったことは間違いありません。
 私は、こうした着せかえケータイのコンセプト提案やオレンジ色の端末カラーを採用するという物作りにこそ、ソニーが長年培ってきたノウハウが生きていると思っています。技術的には一見平易なアイデア商品であっても、それを商品化に踏み切り、お客様の心を掴むことは容易ではありません。携帯電話市場が飽和に近づいていく今こそ、ユーザーが本当に何を待ち望んでいるのか、感じ取れる力が重要になってくることでしょう。

エリクソンの技術力を吸収

――マスコミは家電メーカーのソニーと通信機メーカーのエリクソンが手を結んだと報じてきました。具体的な合弁メリットはどこにあったのでしょうか。

吉岡 10月1日に新会社となり、エリクソン出身の方々と同じ会社の一員として将来のビジネス展開について話す機会が増えましたが、そこで私が感じるのは、エリクソンという会社の通信分野における優れた技術と人材の強みということです。ソニーの電話開発の歴史はわずか十数年ですが、エリクソンは約120年もの歴史を持っています。その意味でも、ソニーはエリクソンの持つ技術力やそれを生み出すバックグラウンドを暁きるというメリットがあります。
 またエリクソン側でも、先の携帯電話デザインの成功例にみられるような、ソニーの持つコンシューマー市場での経験を今後のビジネス展開に生かせるはずです。異なる企業文化が統合したことで、両社は互いの足りない部分を補完できたのです。

――新会社における現在の組織体制はどのようになっていますか。

吉岡 ヘッドクォーター機能が英国のロンドンにあり、開発拠点としてはスウェーデンのルンド、ドイツのミュンヘン、米国のノースカロライナ、そして日本の東京が中心となっています。出身は違っても競争の激しい市場にあって、とにかくよい商品を作ろうと一致団結して取り組んでいます。一例には、ソニー出身のデザイナーがルンドへ行って、現地のデザインチームをまとめGSM端末の開発を進めるといった動きが起こっています。

――エリクソンは合弁会社の設立以前に、携帯電話の製造ラインを分離すると表明していました。現在はどうされていますか。

吉岡 ソニー・エリクソンもソニーやエリクソンの考え方と基本的には同じで、製造部分はソニーイーエムシーエス(EMCS)という別会社に分離、委託しています。よって当社は、日本市場における携帯電話の商品企画や技術研究開発、および端末の販売に徹しています。

日本発のデザインに期待

――ワールドワイドでみた場合、製品開発面で日本法人が果たす役割は何ですか。

吉岡 携帯電話の分野では、日本は世界で一番技術開発が進んでいると思います。メーカーが端末の開発に加えて、通信オペレーターの方々と密接に連携をとりながら、端末、アプリケーション、サービスをインテグレーションして、時にはユーザーまで巻き込んだビジネスモデルそのものを開発しているからだと思います。日本の開発部隊は世界で一番進んだ技術とともに、こうしたアプリケーションやサービスを学び、これを他の地域に広めていく役割があると考えています。

――そうした取り組みの成果が、製品に現われてくるのはいつごろになりそうですか。

吉岡 現在市場に出ている製品は、旧ソニー時代に開発が行われていたもので、真に「Sony Ericsson」独自の開発製品ではありません。今後具体的な成果をどのような製品でお見せできるかは、もう少しお時間をいただきたいと思います。実際どういった面で成果が現われてくるかというと、1つにはやはり、ソニーが得意としてきたデザイン面があると思います。
 実は先日、米国に出張で出かけた際、空港の税関で手荷物検査を受けていると、現地の検査官がこれまで目にしたことのない私の日本の携帯電話に目を丸くしたのです。ソニーはかつて「ウォークマン」を世界に広めましたが、携帯電話もまたそうした可能性を秘めていると信じています。

品質向上が最も重要な目標

――日本では今春、NECや松下通信工業以外のメーカーからも、徐々に第3世代の携帯電話端末が投入されていくと思われます。御社はいつごろから取り組まれますか。

吉岡 開発はだいぶ前から行っており、技術的な課題はすでにクリアしています。市場と商品性の両面から、導入時期を検討している状況です。第3世代携帯電話ビジネスの難しさは、開発とビジネス展開のバランス、及びタイミングです。当面は、着実に技術動向や市場動向を見ながら、ビジネスをしていきたいと考えています。

――日本の3G端末は大きくスタンダードタイプとビジュアルタイプに分かれます。御社はどのような形態を考えていますか。

吉岡 ソニーの培ってきた強みは音楽や映像ですから、やはり将来的にはAV機器と連携の図れるタイプをユーザーは期待されるでしょうね。
 私はソニーでメモリースティックの開発責任者を務めた経験もあって、個人的には、メモリースティックが携帯電話とAV機器を結ぶ非常に強力なインターフェースになるとみています。すでに、ソニーのパソコン「VAIO」シリーズ等で広く採用されていることも、メモリースティック搭載の携帯電話と関連AV機器間で連携を図る強みになるでしょう。
 また、他のインターフェースとしては、cdmaOneですでに採用実績のあるBluetoothがあります。ただし、Bluetooth搭載の携帯電話がユーザーに魅力的な商品と感じていただけるようになるには、つながる機器が世の中にたくさん広がっていることが前提となりますね。

――今後の目標を教えて下さい。

吉岡 ちょうど1年前、ソフトウエアに問題点が見つかり、製品を市場回収するといったことがありました。昨年は違った理由も含め、こうしたメーカーとしての基礎的なミスが数機種で続きました。ですから、まずは常に高品質の製品を市場に出していくことが当社の最重要課題であり、また目標でもあると思っています。
 幸い、新会社設立以降に発売した2機種については、設計のプロセス改善を取り入れ、目標達成に向けた努力の成果が出てきています。2002年は、さらに品質向上のための体制を強め、新会社としての基礎体力作りに専念していこうと思います。まだまだ新しい会社ですが、新しいなりにも知恵を絞って、ユーザーに“Sony Ericssonらしさ”を感じていただけるような、面白い端末を開発していきたいと考えています。

(聞き手・田中大介)
 

リックテレコムメール配信サービス


 
Copyright 2003-2008 RIC TELECOM,All Rights Reserved