リックテレコムWeb雑誌書籍展示会・セミナー 会社案内個人情報保護方針採用情報

テレコミュニケーションコンピューターテレフォニーCOMPASS

テレコミュニケーション

テレコミのご案内
TOPへ戻る
編集コンセプト
2012年発売号一覧
2011年発売号一覧
2010年発売号一覧
2009年発売号一覧
2008年発売号一覧
2007年発売号一覧
2006年発売号一覧
2005年発売号一覧
2004年発売号一覧
2003年発売号一覧
2002年発売号一覧
2001年発売号一覧
インタビュー集2012
インタビュー集2011
インタビュー集2010
インタビュー集2009
インタビュー集2008
インタビュー集2007
インタビュー集2006
インタビュー集2005
インタビュー集2004
インタビュー集2003
インタビュー集2002
インタビュー集2001
お問い合わせ先



広告掲載料金
広告掲載企業
2011・2012年記事広告一覧
連載記事広告一覧
2010年記事広告一覧
2009年記事広告一覧
2008年記事広告一覧
2007年記事広告一覧
2006年記事広告一覧
2005年記事広告一覧
2004年記事広告一覧
2003年記事広告一覧
2002年記事広告一覧
お問い合わせ先


セミナーのご案内
セミナースケジュール
お問い合わせ先



テレコミTOP編集コンセプト購読のご案内広告のご案内
 


2002年9月号

スピードネット 代表取締役社長:和田 裕氏
エリア整備完了で加入者急増
5GHz帯対応へ弾みはついた

2001年5月にラストワンマイルの無線アクセスサービスを開始したスピードネットの事業が軌道に乗ってきた。同社は、2002年2月に当初予定の全エリアでのサービス提供を果たしてから半年足らずで約1万5000の加入者増を実現した。また、将来を睨み、5GHz帯の無線アクセス技術を利用した屋外実験も実施する。同社の和田裕社長にサービスの現状と今後の事業戦略を聞いた。

Profile

和田 裕(わだ・ひろし)
1979年3月上智大学法学部卒業。90年1月日本ソフトバンク(現ソフトバンク)入社、データネット推進部長として配属。取締役データネット事業部長、取締役出版事業部広告営業局長等を経て、99年9月ソフトバンクパブリッシング(99年4月に原籍がソフトバンクから変更、現ソフトバンク・メディア・アンド・マーケティング)よりスピードネットに出向、営業企画部長就任。99年12月営業本部長、2000年5月代表取締役社長就任。1955年5月生まれ

──御社は東京電力、ソフトバンク、マイクロソフトのビッグプレーヤー3社が集った、新しい分野のブロードバンド事業者ということで注目されましたが、この間の事業をみると、ややトーンダウンしていた感があります。

和田 確かに、話題が先行した面はありました。しかし、2.4GHz帯をインフラとしてインターネット接続のラストワンマイルに利用するというのは業界でも初めてのケースでしたから、私どもは、まず2.4GHz帯が本当に実用に耐え得るかどうかの見極めが必要だと当初から考えていました。このため、99年10月から2000年春にかけて実証実験を行いました。結果は、電波の干渉など、解決すべき課題もありましたが、モニターの方々から高い評価をいただき、十分にインフラとして利用できることが分かりました。

──しかし、当初発表されていた2000年夏にはサービスを開始しませんでした。

和田 最初に行った実験は、いわば技術的な検証です。この段階でも特定の限られたお客様に限定して提供するということなら、サービス開始も可能だったのですが、私どもは面的なサービス展開を行う方針でしたので、基幹となるネットワークの検証やお客様にとっての最適な加入方法の検討、無線基地局の耐久性等、あらかじめ確認しておくべき課題がいくつかありました。そこで、こうした課題の解決が最優先と判断し、2000年8月から2001年2月にかけて広域エリア実験として、追加実験を行ったのです。

速度よりも信頼性を優先

──2001年5月25日にサービスを開始されたわけですが、しばらくは加入者が伸び悩んでいるという印象を受けました。

和田 例えば、ADSLサービスでしたら、NTTの局舎にセンター装置を設置すれば提供エリアが一度に拡大しますが、当社の無線アクセスサービスでは、電柱に1つひとつ無線基地局を設置していく必要がありました。また、電柱への設置には行政の許可も必要となりますが、何分、初めてのサービスなので、地域によっては様子見をしたりというように、許可を出すにも温度差がありました。そうした中で新聞や雑誌などのマス的な媒体に広告を打つと、申し込みが殺到し、結果的にお客様をお待たせする形になってしまいます。私どもはそれは避けたいと思いました。そのため、当初は、当社の営業マンが無線基地局を設置した電柱の周辺のお客様宅に1軒1軒お伺いして、サービス内容をご説明するといった訪問販売を中心に展開していましたので、加入者数はさほど伸びませんでした。
 しかし、計画していた全エリアでサービス提供を行える体制、インフラが整った今年の2月からは、本格的な宣伝活動を開始し、お客様の反応もよく、1月末の時点では約3400加入だったものが、7月下旬現在で約1万8000加入にまで増えました。

──無線アクセスサービスのメリットは何だと考えていますか。

和田 いろいろありますが、お客様が加入前に実際の通信環境を確認できることが大きなメリットだと思います。例えばADSLサービスが8Mbpsといっても、お客様宅で実際に何Mbps出るかは回線を引いてみるまで分かりません。CATVも同様です。しかし、無線なら導入前に確認することができます。私どもは、お客様にご加入いただく前に、実際に営業マンが伺って、電波が届くかどうかの測定を行います。この時にノートパソコンも持参し、無料で体験デモを行うようにしています。こうすることでお客様は、速度等の実使用環境を事前に確めることができるのです。これまでデモをご覧いただいたお客様のうち6割以上の方に加入していただいており、大きな営業ツールになっています。

──御社のサービスは最大1.5Mbpsのベストエフォート型ですが、2.4GHz帯無線アクセス技術のパフォーマンスを考えると、もう少し高速でも提供できたのではないですか。

和田 私どもが基本とする面的なサービス展開において、一番問題となるのが無線基地局間の電波干渉です。一般に用いられているIEEE802.11b準拠のDS方式と呼ばれる無線LAN技術を用いると、高速化は実現できますが、電波同士が干渉し合って速度劣化が顕著になるばかりか、ISMノイズの影響で通信が途切れてしまうこともあるため、面的な展開には不向きです。そこで当社は、速度は多少犠牲にすることになりますが、電波同士の干渉が起こりにくく、耐ISMノイズ性に優れたIEEE802.11準拠のFH方式を採用しました。
 ADSLの8Mbpsが全盛の時代に1.5Mbpsサービスを提供することに懸念の声もありますが、現状では多くお客様はWebページの閲覧やEメールのやり取りを中心とした利用形態なので、1Mbps以上のスピードが出ていれば十分ではないでしょうか。

──今後のエリア拡張はどのような計画ですか。

和田 まず、現行の2.4GHz帯のサービスエリア内で少しでも多くのお客様が当社のサービスを受けられるように、エリア内の密度を濃くすることに努めていきます。ただ、再開発等の理由でADSLやCATVといった有線が利用できず、無線LANを引くほうが効果的な地域があれば、個別に対応する用意はあります。
 また、将来的には5GHz帯を利用した無線アクセスサービスを視野に入れていますが、これについては、必ずしも現在のサービスエリアのみ、ということにはならないかもしれません。

5GHz帯の屋外実験免許を申請

──5GHz帯無線アクセスサービスの市場性をどのようにみていますか。

和田 やはり、1.5Mbpsと数十Mbpsの差は大きいと思います。先ほどもお話したように、現状でそこまでの速度が必要かというと疑問もありますが、今後、映像・音声系のコンテンツが進化していけば、必須のサービスとなるのは間違いありませんから、しっかりと準備を進める方針です。

──5GHz帯に関しては現在、屋外での実験のための免許の申請をしていますが、実験はどういった内容になりますか。

和田 現在2.4GHz帯の実験で得たデータやノウハウをもとに内容を練り上げているところです。
 ただ、2.4GHz帯の時には、当社だけで実験を行う形でしたが、5GHz帯では他の事業者もいらっしゃるので、相互の情報交換等も可能だと思います。無線アクセスという意味では私どもには経験もありますし、技術的には難しくなるのかもしれませんが、時間的には2.4GHz帯の時ほど長期にはわたらないのではないかと考えています。

──もう1つの事業であるFTTHサービスについては、あまり積極展開していませんね。

和田 はい。実はさまざまな理由によって、光ファイバーの敷設は困難な状況も多いのです。実際に電柱に光ファイバーを張る時、電線には張力がかかります。この影響で電柱が倒れないようにするため、電柱から地面にかけて左右斜めに線を張らないといけないのです。また、電柱からお客様宅まで光ファイバーを引く場合、民家の上を通ることになりますから、その許可も必要になります。そうなると、開通日をお約束できず、いつまでもお客様をお待たせすることになるため、積極展開ができずにいます。
 しかし、東京電力が「TEPCOひかり」サービスを開始したことで、私どもにも開通スケジュールを知らせていただけるようになりましたので、今後はそれに歩調を合わせてサービスを展開できると考えています。

──今後、FTTH事業の位置付けはどのようになりますか。

和田 FTTH、無線アクセスのどちらか1つだけに注力していくことはありません。事業者として一番重要なことは、ブロードバンドインターネットを普及させ、より多くのお客様がインターネットの恩恵を享受できるようにすることで、そのためのラストワンマイルは、FTTHでも無線アクセスでも構わないと思います。むしろ、ADSLやCATVも含め、お客様にとって選択肢が増えることのほうが市場全体としてもよい方向に動くのではないでしょうか。もちろん、FTTHが重要なインフラであることは認識していますので、事業としては大事に育てていきます。

地域に密着した営業活動を展開

──営業面の施策を教えて下さい。

和田 現在は訪問販売が中心ですが、やはりこれがお客様に当社のサービスをご説明する一番よい方法ですから、少なくとも今後1年から1年半は営業手法の中心になると思います。
 一方で、ホームページからの申し込みも重要になってきます。こちらは、認知度向上が申し込み増のポイントです。私どものサービスは特定地域にターゲットを絞ったものなので、電車の中吊り広告のように、地域に密着した宣伝方法が有効です。認知度の向上は、訪問販売にも有利に働きますから、今後も地域に特化した媒体や交通広告、新聞の折り込み広告等を積極的に展開していく方針です。

──代理店による販売は考えていないのですか。

和田 私どものサービスは先例のない新しいサービスで、実際にどういった問題が発生するのか、どういったユーザーニーズが出てくるのかといった情報の蓄積もありませんでした。そうした段階から代理店にお願いしてお客様との距離を作ってしまうと、問題やニーズを吸い上げてサービスやサポートにうまくフィードバックすることが難しくなると考えていますので、当面は直販のみで展開する方針です。

──今後の目標を聞かせて下さい。

和田 先ほど、1.5Mbpsでも十分パフォーマンスがあるという話をしましたが、日本人は数字好きですから、やはり8Mbps、12Mbpsといった高速化の波は大きいと思います。私どもは5GHz帯の無線アクセスサービスを提供する準備を進めていますので、お客様が高速化への懸念を指摘された時でも、将来的には高速サービスに移行できるということで、自信を持ってこのサービスをお薦めしていきます。
 数字的には、加入者数2万件が現実となりましたので、10万件台の加入が次の大きな目標になります。この数字を少しでも早く達成できるように、積極的な事業展開を図っていきたいと思っています。

(聞き手・大谷聖治)

用語解説

スピードネットのアクセスサービス
●1.5Mbps無線アクセス
2.4GHz帯の無線技術を利用した無線アクセスサービス。ユーザーニーズにより3つのプランを用意。月額利用料金は、月間5GBの総量規制の「プランT」が2450円、月間10GBの総量規制の「プランU」が3450円、総量規制なしの「プランV」が5450円となり、別途無線機器レンタル料金が900円必要

●100MbpsFTTHサービス
光ファイバーをダイレクトにユーザー宅に引き込むFTTHサービス。月額利用料金は、「マンション・アパートプラン」が4950円(月間10GBの総量規制)、「一戸建てプラン」が1万2800円(月間40GBの総量規制)で、ともにメディアコンバーターの利用料金も含む
無線アクセス、FTTHサービスとも、提供エリアは、埼玉県さいたま市、東京都練馬区、杉並区、および市部(三鷹市、府中市、調布市、小金井市、国分寺市、国立市、狛江市)、川崎市(高津区、多摩区、宮前区)、横浜市(神奈川区、保土ヶ谷区、港北区、旭区、緑区、青葉区、都筑区)、千葉県(市川市、船橋市、浦安市)
 

リックテレコムメール配信サービス


 
Copyright 2003-2008 RIC TELECOM,All Rights Reserved