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2003年2月号

富士通アイ・ネットワークシステムズ代表取締役社長 杉本 聰氏
IP-PBXの次を見据え
サービス分野にも乗り出す

富士通グループで企業向け通信ビジネスの責務を担う
富士通アイ・ネットワークシステムズ。杉本聰社長は、
機器事業に続く戦略として、昨今のアウトソーシング
ニーズを捉えたサービス分野への進出を掲げた。

Profile

杉本 聰(すぎもと・さとし)氏
1965年3月東京大学法学部卒業、同年4月富士通信機製造(現・富士通)入社。86年12月情報処理事業推進本部沼津工場総務部長、89年6月情報処理事業推進本部事業管理部長代理、90年6月財務部長、95年6月常務理事・通信事業推進本部副本部長、富士通アイ・ネットワークシステムズ監査役を兼務。99年6月富士通常勤監査役を経て、2001年6月富士通アイ・ネットワークシステムズ代表取締役社長に就任し現在にいたる。
1941年9月東京都生まれ

  まず、2002年度の実績見通しを教えていただけますか。

杉本 2001年度は売り上げで前年比3.2%増の約390億円でしたが、今年度は若干落ちて約380億円を見込んでいます。
 ただ、その中身を見ると、2001年度の実績には富士通本体から製造委託を受けた郵便局向けデータ配信端末という特需による約100億円の売り上げが含まれています。一方、今年度は富士通の関係会社であるPFUからルーターやスイッチ等ネットワーク機器の事業を引き継いだり、富士通からNTT向け機器の製造を多少移管された分の売り上げ増があります。こうした内部的な要因を除くと、基本的には順調に推移していると思います。

  今の厳しい環境下で健闘されている要因は何ですか。

杉本 当社が企業向けにフォーカスした事業を展開していることが大きいと思っています。というのは、世間でいわれている「通信不況」は、そもそもキャリア側のビジネスがうまくいかないことが一番の要因です。例えば、通信機器事業をキャリア向けに集中した富士通本体を見ると、米国のネットバブル崩壊による光伝送装置の大幅な落ち込みや、移動体分野でも3G携帯電話が思うように立ち上がらないことが業績不振の大きな理由になっています。
 もちろん、企業向けの市場も経済全体のマイナス成長で決して安穏とした状況というわけではありません。しかし、昨今のIP、ブロードバンド、ユビキタスといったキーワードによってもたらされる新たな需要を考えると、今後のビジネスは非常に明るいと考えています。

VoIPの音質に絶対の自信

  現在の具体的な事業展開について教えて下さい。

杉本 2000年に富士通から全面的に移管されたPBX事業を中心に、スイッチやルーター、無線LANシステムといったLAN/ WAN分野も含め、製品の企画段階から開発・製造、営業、販売まで手がける「企業向けコミュニケーションシステムのトータルサプライヤー」として事業を展開しています。そうした中で現在最も力を注いでいるのが、VoIP技術を駆使した「ボイス&データコンバージェンス」のソリューションを強力に推し進めていくことです。
 具体的な製品としては、昨年6月に発売したIP-PBX「IP Pathfinder」をはじめVoIPゲートウエー装置「iG104D」、さらにレイヤ2/レイヤ3スイッチ「iSシリーズ」でもVoIP対応機能を充実させています。

  主軸となる「IP Pathfinder」が好調な動きを見せているようですね。

杉本 はい。9月から出荷を開始して、昨年の納入分だけで80セット程度の実績をあげることができています。2001年度はPBXの大容量クラスが低調だったのですが、先延ばしになっていたお客様の商談もIP Pathfinderをリリースしてから一斉に動き出しており、新機種を出した効果は明らかに出ています。

  市場ではどのような点が評価されているのですか。

杉本 他社のIP-PBXと比べると、機能的には多少の優位点はあっても飛び抜けているということはないと思います。しかし、富士通研究所の協力を得て強化した音声品質には絶対の自信があります。お客様も含めて多くの方々から、「他社と聞き比べてみて音質は一番いい」という評価をいただいています。
 また、お客様へ納入・開通した後に問題がほとんど起こっていないことも特筆できると思います。新しい形態の製品では初期不良や障害が出るのが一般的なのですが、それがないのです。そういう点で、お客様からも高い信頼を得ることができています。
 実は、投入のタイミングもタイムリーだったなと思っています。この間、IP-PBXで競合他社に先行され、結果的に当社が最後発になってしまったのですが、長年のお付き合いがあるお客様の中には、当社が製品を出すまで待つと言っていただける方も多くいらっしゃいました。
 そういう点では、従来からのPBXビジネスでの高い実績、すなわちお客様というベースを多く持っているのは大きな強みだと改めて感じています。ちょっとおごった言い方ですが、当社がIP-PBXを投入したことで、マーケット全体が多少なりとも活性化されたのではないでしょうか。

開発部隊からSEへ強力シフト

  販売体制に関しては、現在どのような形になっていますか。

杉本 富士通時代からのPBX事業と同様に、パートナーである販売店経由の比率が約8割を占めています。残りの2割については、官公庁や自治体などを主な対象とした富士通経由での売り上げになっています。
 当社自身の直販は微々たるものですが、今後はもう少し増やしていきたいと思っています。そのための施策として、特にSE部隊の大幅な強化を図っています。
 当社はもともとそれほどSEの人員がいたわけではなく、むしろ開発陣が豊富で、PFUからの事業移管によってさらに増員されました。そこで、開発部門の中からSEへのシフトを積極的に進めています。そして、SE部隊を営業本部の中に組み込み一体化させるとともに、全国9カ所の拠点にも配置しています。

  SEはどのような役割を担うのですか。

杉本 まず直販部隊のサポートという点では、当社内だけでなく富士通経由の商談についても積極的な支援を行っていく考えです。また、販売店のバックアップも重要な任務です。旧来のPBX販売ならともかく、IPによる音声・データ統合ネットワークの提案になると、販売店が単独で行うのが難しいケースも多いですから、当社からどんどんSEを派遣して、一緒にビジネスを進めていきます。

キャリアと企業の区分けがなくなる

  今後IPネットワークビジネスを推進していくうえでは、何がポイントになるとお考えですか。

杉本 先ほど、当社の事業の中心はPBXであり、IP-PBXも実績を伸ばしているとお話しました。さらに、当社は長年培ってきた音声通信の技術が最大の武器であることも確かです。しかしながら、PBXという市場自体は、たとえIP化が進んだとしても大きく拡大することはないでしょうし、業界内には「それでも微減で推移する」という予測すらあります。
 そう考えると、IP-PBXが今後成功を収めていくための切り札とはいえなくなります。重要なのは、やはりLAN/WAN関連のネットワーク機器も含め、お客様のシステムをいかにトータルで提供できるかにかかっていると思います。
 また、今後はハードウエア事業以外の収益を増やしていくことも重要だと見ています。そこで当社では、「i-Support」という名称で、ネットワークシステムの設計・構築・導入から運用・監視・保守にいたるトータルなサービスをメニュー化しています。この事業はまだ10億円に届くか届かないかの規模ですが、早急に売り上げ拡大を実現していかなければならないと考えています。
 さらにいうならば、お客様に対してシステムを提供していくというビジネスそのものが様変わりしていく可能性も視野に入れておく必要があります。すなわち、お客様が自前で設備を持たずアウトソーシングしていくということです。
 この流れは、キャリア側のIP化によって「IPセントレックス」あるいは「ホステッドPBX」と呼ばれるサービスが登場することでも加速されるはずです。
 当社のような企業向けネットワーク機器のサプライヤーとしては、こうしたマーケットの流れにいち早く対応できるかどうかが課題になります。

  具体的な策としてはどのようなものが考えられますか。

杉本 1つは、当社自身がサービス事業にも積極的に進出していくということです。実は、当社の関連会社でネットワーク運用管理のアウトソーシング事業を手がけているアイ・エーシーエスに寮電話のサービス事業を移管したのですが、それはホステッドPBXのようなサービス事業を本格的に立ち上げていくのが狙いです。自社で作った製品を自前で管理し、お客様にサービスという形で提供するわけです。
 また、サービス事業者に対して機器を提供するとともに、企業のお客様側に設置される端末等も含めた保守やメンテナンス業務を請け負っていくという形態も考えられるでしょう。
 当社としては、技術力・製造力を生かした従来からのビジネスを基盤にしつつ、どのようなビジネスモデルになっても収益を上げられるようにしていかなければなりません。

  しかし、そうなってくると御社の企業向けというビジネスの枠に収まらなくなるのではないですか。

杉本 そうも言えますね。ただ、当社の今後の事業領域を見極めていくうえで非常に悩ましいと感じているのは、企業向け、キャリア向けという括り方が難しくなってきているということです。
 この背景には2つの要素があります。まずIPネットワークの世界では、内線・外線の区分がなくなってきていること。これは、先のIPセントレックスやホステッドPBXといった流れからも明らかです。もう1つは、通信サービス市場にさまざまな企業が参入し、事業者の形態が多様化してきているということです。
 もちろん、今キャリア各社が次世代のIPネットワークで実現しようとしているのは、回線交換網を十分に代替できるセキュリティと信頼性を備えたものですから、その部分では、これまでと同じようにいわゆるキャリアクラスの機器が求められるでしょう。しかし一方で、サービス事業のすそ野が広がってくれば、企業クラスの製品からのアプローチで対応できる領域も相当出てくるはずです。私は、IP Pathfinderの技術の延長線上に、次のキャリアビジネスも存在するのではないかと思っています。

  そうすると、通信事業に対するグループとしての取り組み体制も見直していく必要が出てくるのではないですか。

杉本 可能性はあると思います。マーケット自体がキャリアと企業で区分けできなくなっていけば、両方の事業を一体で進めたほうが有利だとも考えられますからね。そうなった時に、通信事業全体を富士通本体に改めて集約するのか、あるいは当社がすべて受け持っていくのか、選択肢はいろいろ考えられるでしょうが、いずれにしても来るべき時に備えて検討を進めていく必要はあると思っています。

(聞き手・大谷聖治)
 

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