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2003年7月号

日本ルーセント・テクノロジー 代表取締役社長
ジョン・ディー・ハワード氏
新しいルーセントを日本で実践
世界戦略の見本を作る

IP化へのシフトが本格的に進み始めたキャリアネットワーク市場で、
日本ルーセントが新しいビジネス展開を描いている。
ジョン・ハワード新社長に、市場の現状と今後の戦略を聞いた。

Profile

ジョン・ディー・ハワード氏
1989年テネシー大学経済学部卒業、同年NTT入社、国際調査部マーケットリサーチャー。92年に慶応大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)を卒業し、同年ノーテル ネットワークス社に入社。北米地区でマーケティング、製品開発、営業のマネージャーを歴任し、96年中国でワイヤレス・ビジネス・オペレーションマネージャー、98年台湾でバイスプレジデント兼マネージングディレクター、2000年日本でバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー。01〜02年米国にてソフトウェアベンチャー企業Phonetic Systemsの最高経営責任者を務めた後、03年ルーセント・テクノロジー社入社。同年3月日本ルーセント・テクノロジー代表取締役社長に就任

  まず、御社がフォーカスしている通信事業者向けビジネスですが、現状をどのように捉えていますか。

ハワード ご存知の通り、従来のTDMネットワークからIPへのシフトにより、ここ2、3年は交換機をはじめとするレガシーなシステムへの投資が抑えられたことで、ルーセントも含め機器ベンダー各社は売り上げダウンに悩まされてきました。しかし、その落ち込みもようやく底を打ち、代わってIP関連システムへの投資が伸び始め、ビジネスチャンスが大きく膨らんできています。

  2000年にエンタープライズ向け事業、01年にチップは事業を分離・独立させ、通信事業者向けビジネスに特化する形態になったわけですが、この施策はどのような効果をもたらしていますか。

ハワード IP技術の進化やニーズの変化等々、市場の動きが非常に速い中で、特定の領域に絞ってスピーディな展開ができることは、他社と競争しながら事業拡大を図っていくうえで非常に大きなメリットだと思っています。
 特に日本市場は、無線LANも含めたブロードバンドの普及と相まって、IPへのシフトが世界に先駆けて進んでいますから、われわれ日本ルーセントがお客様のニーズをきちんと把握し、それに的確に応えるソリューションをスピーディに展開することは、ルーセント全体の今後の戦略にとっても非常に重要な役割を果たすものといえます。

  重責を担う日本法人のトップに就任されて、まずスタッフにどのような話をしたのですか。

ハワード 米国本社のルッソー会長兼CEOからのメッセージとして、日本ルーセントに対する期待の高さと、「新しいルーセントのビジネスを日本に浸透させてほしい」ということを伝えました。そのうえで、私個人として、「これまでに積み上げてきたルーセントの資産を生かして必ず成長を遂げる」という決意を明らかにしました。

サービス事業に力を入れる

  日本における今後の事業展開について、どのような戦略を立てているのですか。

ハワード お客様の課題やニーズについて、この間スタッフといろいろと話をして、われわれが果たすべき役割として3つの方向性を定めました。
 まず、レガシーネットワークからIPネットワークへのスムーズな移行を実現する橋渡し役を務めることです。通信業界全体の目指すゴールが“フルIP”の世界であることは間違いないのですが、今はむしろどのように進んでいくかが重要です。レガシーネットワークをすべて捨てて一足飛びにIPへ移行するというわけにはなかなかいきません。そこでわれわれは、レガシーのネットワークに関する高い技術力と豊富な経験を生かして、既存のネットワークインフラで得られる収益の最大化とともに、IPネットワークへの投資の最適化、サービス提供プロセスの簡素化を実現することで、新しい収益を効率的に上げられる仕組みを提供していきます。
 2つめは、サービスの付加価値化を強力に支援することです。これも、お客様の収益構造に関する課題、すなわち、IP化の進展に伴って電話収入が減少を続ける中で、付加価値サービスを提供することでいかに顧客単価を上げるかということに対応するものです。一例をあげると、移動体通信市場では現在、普及率が相当高くなったことで、新規加入者の獲得よりもARPUをいかに高めるかの施策が重要なポイントとなってきています。その一手段がプリペイドサービスだと思いますが、ルーセントでは、このサービス向けに「SurePay」というソリューションを展開しています。すでに北米、欧州、南米で実績をあげており、今後日本のお客様への提供も検討しています。
 こうした付加価値化の仕組みを、有線・無線を問わず、レガシーの世界でもIPネットワーク向けでも提供していきます。  もう1つは、従来型の機器販売ではなくサービス事業、具体的にはネットワークの運用管理を核とするアウトソーシングビジネスに相当な力を注いでいくということです。昨今、企業の間ではコアコンピタンスの事業に集中するため、ネットワークシステムの管理は外部に任せようという意識が高まっていますが、実は通信事業者も例外ではないのです。

  御社にとってサービス事業は新しい領域ということになるわけですね。

ハワード そうです。これが、冒頭にお話した「新しいルーセントのビジネス」の1つになります。実際には、すでにサービス事業へのシフトが進み始めています。ワールドワイドで社員の3分の1はこの分野に携わっていますし、昨年の実績で約26億ドルの売り上げをあげています。日本ルーセントを見ても、サービス事業のウエートが大きくなってきています。

人材面でも不安はない

  サービス事業の中身について、もう少し詳しく教えてください。

ハワード もともとルーセントは、ベル研究所の高度な技術力とネットワークの構築や問題解決に関する豊富な経験が大きな強みで、ネットワーク管理に関するプロダクトとしても、DHCPおよびDDNSの機能を提供するIPアドレス・マネジメント・システム「VitalQIP」やSLAに基づいたアプリケーションからネットワークのパフォーマンスまでの監視を統合的に行える「Vit1alSuite」などを投入しています。こうしたノウハウを生かして、自ら構築したネットワークオペレーションシステムによる運用管理サービスを提供します。特徴は、ルーセントのシステムだけでなく他社の製品も含めてトータルに管理できる点です。
 もう1つ、ポイントとなるのがセキュリティです。これについて米国の例をあげると、一昨年9月11日の出来事以来、Disaster Recovery(災害時復帰)あるいはBusiness Continuity(ビジネスの継続性)といったことを踏まえたネットワークのセキュリティに関心が高まっていて、その対策においてルーセントも大きな役割を果たしています。具体的には、ルッソー会長兼社長が米国の国家安全保障に関する諮問委員会(NSTAC)のメンバーに任命されています。
 また、ベル研究所が生み出した統合型ファイアウォール/VPN ゲートウェイ装置「Blickシリーズ」は、日本のお客様にも高い評価をいただいています。

  そうしたサービスはどのような形で提供されるのですか。

ハワード 基本的にはメニュー化されていて、それをベースに個々のお客様のニーズに応じてカスタマイズする形になります。

  サービス事業を拡大していくうえでは、ヒューマンリソースも非常に重要ではないかと思います。IP関連のスキルも含め、人的な面での不安はありませんか。

ハワード その点でもまったく問題はありません。まずIP関連のスキルという部分では、長年レガシーネットワークを手がけてきたことが強く印象付けられてしまいがちですが、自らの技術に加え、これまでさまざまなM&Aを行ったことでIPの遺伝子がルーセントの中にも相当組み込まれています。
 では、われわれ日本ルーセントはどうかというと、スタッフの能力の高さに感心していて、IP、セキュリティ、ネットワーク管理いずれの分野でも優れた人材が揃っています。これは、私自身がそう思っているというよりも、お客様側が一番理解してくれているようです。私もスタッフと一緒にお客様を訪問しているのですが、打ち合わせのやり取りを聞いていると、彼らはお客様側のレベルの高い要望もよく理解して、的確なソリューションを提案しています。そういうシーンを目の当たりにすると、「これなら大丈夫だ」と本当に思います。
 ですから、日本市場における他社との競争において、有能なスタッフに支えられたサービス事業は、大きなアドバンテージになることは間違いないと見ています。

アライアンスも積極推進

  ところで、このところの戦略として、他社とのアライアンスにも積極的に取り組んでいるように思います。

ハワード そうですね。実はこれもルーセントの新しい一面といえます。以前は「何でもすべて自分でやろう」という意識、ベル研究所の技術でいいものを作って売るという印象が強かったと思います。しかし今は、他の企業と手を組んでお客様のためにベストなソリューションを提供しようという考え方になっています。
 日本では昨年、5月に無線LANのセキュリティソリューションでメルコと、7月にはメトロエリアネットワーク向けのソリューション販売でリバーストーンと提携しました。
 一方、米国本社での大きなトピックとしては、今年5月に通信事業者向けの統合ソリューションでジュニパーネットワークスとの提携を発表しています。この提携で両社は、収益を生むさまざまなサービスをサポートする、コア、データ、ブロードバンド、メトロ・オプティカルの各ネットワーク導入のための一連の統合ソリューションを発表していきます。ルーセントの「Navis統合ネットワーク管理ソフトウェア」が効率性を上げ、運用コストを低減します。「ルーセント・ワールドワイド・サービス」(LWS)は、マルチプロトコル(TDM、FR/ATM、IP/MPLS)およびマルチベンダー対応力を生かし、ネットワーク設計、導入、メンテナンス・サービスにより各ソリューションをサポートし、通信事業者に対し商用化までの期間短縮および運用コスト低減を実現します。またルーセントのサービス部門は、通信事業者がより簡単、迅速に導入できるよう、ソリューションを統合します。
 すでに「IP VPN」、「IP Centrex」、「En-hancedDSL 」といったソリューションを提供しており、「MPLSコア」も2004年第1四半期に提供を開始する予定です。加えて、イーサネットサービスの高付加価値化を推進するソリューション「Optical Edge」の共同開発を進めています。

  日本においては、両社はどのような協業体制をとっていくのですか。

ハワード これまでも一緒にビジネスをやってきましたが、今後は米国で作られた枠組みに沿って、日本ルーセントと日本ジュニパー両社でお客様にどういうソリューションを提供すべきかを決めていきます。また、両社の協業による具体的な商談もすでに一部のお客様と始めています。

  メルコやリバーストーンのような、日本ルーセント独自での提携戦略は、今後どのように展開していくお考えですか。

ハワード われわれの持つ技術、プロダクト、サービスといった資産を、お客様により効果的に活用してもらうためには、社外のパートナーの持つ強みも必要になりますから、“WIN-WIN”の関係を広く結んでいきたいと考えています。
(聞き手・大谷聖治)
 

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