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2006年7月号

イー・アクセス
代表取締役社長兼COO
安井 敏雄氏
溢れるベンチャー精神で挑戦
量販核にチャネルを徹底強化

05年度に過去最高の利益水準を達成したイー・アクセス。06年度は新体制でイー・モバイルの立ち上げに向け臨む。社長兼COOに就任した安井敏雄氏は「両社でシナジー効果を発揮させる」と抱負を語っている。

Profile

安井敏雄(やすい・としお)氏
1943年京都府生まれ。66年3月京都大学工学部電子工学科卒業。72年2月米イリノイ大学コンピュータサイエンスPhD(博士号)取得。同年10月日本IBM入社、直ちに米ノースカロライナ州Research Triangle ParkのIBM通信開発研究所に赴任。85年1月NMS-VANネットワークサービス事業部長、87年1月大和研究所長。93年3月IBM/東芝・液晶製造合弁DTI社代表取締役副社長。95年10月米ウエスタンデイジタル社日本法人代表取締役社長、99年6月米ソレクトロン社日本法人代表取締役社長、2004年4月法政大学大学院ビジネススクール客員教授。04年6月イー・アクセス取締役、06年6月22日代表取締役社長兼COOに就任

  2004年6月から2年間、社外取締役としてイー・アクセスを見てきて、どのように感じていますか。

安井 ADSLの商用サービス開始からわずか3年で黒字を達成し、東証マザーズへ上場したことからも分かるように、きちんとしたコーポレートガバナンスを構築した透明性の高い会社という印象です。私を含め6名の社外取締役を置くというスタイルは、当時としては珍しく、日本ではイー・アクセスが先鞭をつけたと思っています。

  今回、種野晴夫社長兼COOがイー・モバイルの立ち上げに専念するのに伴って、安井さんがイー・アクセスの社長兼COOに就任されるわけですが、打診はいつ頃あったのですか。

安井 今年の初め頃には千本(倖生会長兼CEO)から内々で話がありました。正直、想定外で驚きましたが、経営陣と共有するものも多く、何の違和感もなく承諾しました。

EMS会社で経営の視野が拡大

  略歴を拝見すると、日本IBMの大和研究所長や、IBMと東芝の液晶製造合弁会社DTIの副社長、米ソレクトロンの日本法人社長など、技術分野の要職を歴任されてきたようですが、ご自身では何が決め手で社長兼COOに迎えられたと考えていますか。

安井 技術畑に限らず、さまざまなことを手掛けてきた多様性が評価されたのだと思います。特にソレクトロンでの経験は、私にとって大きな財産になっています。
 ソレクトロンはEMS(Electronics Manufacturing Services)業界を創出したと言っても過言ではない、ベンチャー精神溢れる最大手企業です。これまで、ノーテルやエリクソン、ヒューレット・パッカードやIBMなど、多くの世界的なメーカーから工場やR&D部門の譲渡を受けています。研究・開発・生産を設備や従業員ごと引き継ぐだけでなく、他メーカーの製造委託も積極的に請け負い、稼働率を上げてスケールメリットを出す。これがソレクトロンが始めたEMSモデルです。その中で、日本だけでなく欧米や中国メーカーの携帯端末や基地局も沢山見てきました。
 当然のことながら、メーカー各社のカルチャーはまったく違いますので、それを上手く自社のカルチャーとインテグレーションしなければEMSは成功しません。
 また、EMSの受注は、顧客であるメーカーのトランスフォーメーション(企業変革)ができるかどうかにかかっています。それができないと、顧客は工場も従業員も譲渡してくれません。この過程で日本や世界の企業のトップや幹部経営者の方々と随分お話する機会がありました。今振り返ってみると、私は電子機器メーカーの経営コンサルティングのようなことをしていた気がします。
 企業のカルチャーとその成長へのトランスフォーメーション。この2つの重要性を、私はソレクトロンで学んだのです。

  カルチャーという意味では、イー・アクセスは良いものを築いているように見えます。

安井 その通りです。外から当社を見ていた時にまず気付いたことは、企業としての品格を築いていることです。いくら収益をあげていても、会社に対するイメージが悪ければ、安心して投資していただくことはできないでしょう。
 会社の中に入って感じたことは、打てば響くようなベンチャースピリッツで、上から下まで組織が一体化して動いていることに感心しました。

  確かに、千本会長兼CEO、種野社長兼COO、エリック・ガン副社長兼CFOが絶妙なバランスで動いているという印象です。今後は4人のカルテット体制になるわけですが、どのような会社にしていきますか。

安井 現在のカルチャーを大切に、より強固なものにしていきます。私は今までの経験から、官僚的な組織を作ってしまうことが一番だめだと思っています。
 米国には「silo(サイロ)」という言葉があります。「干し草などの貯蔵庫」という意味ですが、米国の企業では社内のコミュニケーションが悪く、横の連携も一体感もない企業のことを「サイロの集団」と呼んでいます。
 部門ごとに壁を作り、「これは私の仕事だから手を出すな」「それはあなたの仕事だから私は知りません」というような組織になると、その会社は廃れていきます。部門ごとのカルチャーを作らず、困難があれば、皆が一緒になって立ち向かう。そんな会社であり続けたいと思っています。

  トランスフォーメーションについてはどのように考えていますか。

安井 日本の企業に欠けているのは「グローバルな視点」です。PC業界の例でいうと、10年前には外資系メーカーのシェアはほとんどありませんでしたが、今はかなりを占めています。一方で、国産PCは世界で非常に苦戦しています。日本の常識だけでビジネスを展開しているからだと思います。
 これまでの取り組みから、当社にはグローバルな視点がとても強く根付いていますので、私はそれが失われないよう、ソレクトロンなどでの経験を活かしていきます。
 もう1つ、われわれ経営陣は、これからも長期にわたって活躍するというわけにはいきません。会社をさらに成長させるには、若い力が必須です。ですから、若い社員が立ち上がるように改革することも私の仕事です。

ADSLは低速メニューを拡充

  社長兼COO就任にあたって、千本会長から中期目標などは示されましたか。

安井 具体的なターゲットは示されていませんが、当然いろいろなことを考えており、積極的にチャレンジします。
 グループとしての当面の最重要課題は、イー・モバイルをきちんと立ち上げることです。そのためには、親会社である当社の経営をしっかりさせなければなりません。

  06年3月期の決算をみると、連結売上高は603億5000万円、営業利益は93億8000万円で、EBITDAは201億4000万円と、過去最高の利益水準を達成しました。要因は何ですか。

安井 ADSL事業では、KDDIの「KDDIメタルプラス」向けのサービスや、ダイヤルアップや非インターネットユーザーの取り込みを狙った下り最大1Mbpsサービスの契約が増加したことなどだと思います。
 ADSLサービスの加入数は業界としては純減に転じ始めましたが、当社は前年度比6万8000増の191万8000件を達成しました。解約率は、毎年季節要因で増加する第4四半期でも1.95%と、計画値の2.0%を下回りました。(1)移転手数料無料、(2)回線クラス変更手数料無料、(3)カスタマサポートによる解約抑止という解約抑止策が功を奏しました。
 ISP事業では、AOLの営業譲渡から1年9カ月で投資額の21億円を回収できました。また、ADSL事業とのシナジー効果もあって、利益率は着実に増加しています。

  両事業について、06年度の具体的な取り組みを教えて下さい。

安井 ADSLでは、先ほどの解約抑止策を継続するとともに、提携ISPとのサポート連携体制の強化も図ります。
 サービスに関しては、1Mbpsの低速メニューで成果があがっていますが、ブロードバンドコンテンツが普及していますので、それらを安価でかつ快適に楽しめるように、下り最大5Mbpsのメニューを6月から提供します。
 また、05年度第3四半期からサービスエリアを拡大したら、これに伴って契約純増数が加速しましたので、今年度もエリア拡大に努めます。具体的には、この3月末時点の約1450局から、07年3月末までに約1600局に拡大する予定です。
 AOL事業については、接続ビジネスが中心でしたが、コンテンツビジネスも強化を図りたいと考えています。
 こうした取り組みで、05年度と同程度の解約率を維持し、数万件レベルの純増を達成したいと思っています。

  新ビジネスとして、バックボーン事業を挙げられていますが。

安井 まず、イー・モバイル向けに良質で競争力のあるネットワークを提供します。将来的にはこれを横展開し、大きな収益源にしたいと考えています。

  ブロードバンドサービスはADSLからFTTHへのシフトが急速に進み始めました。御社のスタンスは存じていますが、改めてお考えを聞かせて下さい。

安井 FTTHをどうするかということは当然検討していますし、今後のビジネス戦略として可能性を否定するものではありません。しかし、まだ収益構造が見えていないサービスだと思います。
 ここから先は完全な個人的意見ですが、米国に長く住んでいたこともあるので、「光、光と言っているのは日本だけ」という会長の千本の考えと基本的には同じです。また最近は、無線LAN技術の進展もあり、将来はわざわざ有線にしなくても、かなりがワイヤレスでブロードバンドが実現できるのではないかとも思っています。

家電量販店との連携をより強化

  イー・モバイルの具体的な事業戦略は、種野社長兼COOの領域だと思いますので、イー・アクセスにとってのイー・モバイルという観点で、今後のビジョンを聞かせて下さい。

安井 まず、安価で良質なネットワークを構築することが肝要で、当社もバックボーンを提供します。
 そのうえで、両社のシナジー効果を出していくべきです。例えば、ADSLとモバイルのセールスパッケージも考えられます。また、当社はADSLで家電量販店等と良好な関係を築いていますので、連携も視野に入れています。
 これらを含め、まず250万加入を達成して与えられた周波数を満たし、追加で周波数をいただくことが最初のターゲットになります。

  販売チャネルの話が出ましたが、グループとして、今後どのような方針で臨みますか。

安井 家電量販店だけでなく、提携ISPを含めてますます強化していきます。具体的な施策ですが、私は正式に社長に就任したら、すぐに全国のチャネルを回ります。そこでいろいろな話を直接伺い、私なりの戦略を立てていくつもりです。

  2年間、社外取締役の立場からADSL市場を見てきて、どのように感じていますか。

安井 アナリストの多くは「リスキーな市場」と言いますが、私は少し違った見方をしています。
 例えば当社は、ダイヤルアップや非インターネットユーザーを上手く取り込み、市場が純減に向かうなかで成果をあげています。そういう見極めをしっかりやっていけば、十分、可能性のある市場だと思っています。
(聞き手・土谷宜弘) 

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