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2006年10月号

NTT西日本
代表取締役社長
森下俊三氏
業務フロー改革し光200万を達成
NGNは「ユビキタスインフラ」

昨年度まで4期連続で黒字を達成したNTT西日本。今期は「攻め」に転じ、フレッツ光の加入者が急増中だ。一方でNGN構築の準備も着々。森下俊三社長は「ユビキタス時代はNGNではじめて実現できる」と語る

Profile

森下俊三(もりした・しゅんぞう)氏
1945年三重県生まれ。68年3月名古屋大学工学部電気工学科卒業、70年3月名古屋大学大学院2年修了。70年4月日本電信電話公社入社。94年7月NTT移動通信網理事・通信技術システム部長。96年6月NTT理事・設備企画部長、98年6月取締役・設備企画部長、99年1月取締役・東日本会社移行本部技術部長。99年7月NTT東日本常務取締役・技術部長、2000年6月代表取締役常務取締役・法人営業本部長、02年6月代表取締役副社長。04年3月NTT西日本代表取締役社長に就任。現在に至る

  2005年度の営業収益は前期比3.3%減の2兆296億円、経常利益は同29.5%減の565億円と減収減益でしたが、純利益は326億円と4期連続で黒字を達成しました。

森下 加入電話の基本料値下げという大きなマイナス要因があったなかで黒字を達成できた点は評価しています。仮に基本料の値下げがなければ、経常利益は1000億円くらいになっていました。これは減収減益だったことへの言い訳ではなく、社員1人ひとりの努力で、当社はそれだけの利益が確保できるところまで力をつけてきたということをいいたいのです。

  1999年の御社設立当時は、「NTT西日本は本当に3年で黒字になるのか」と誰もが危惧するほど厳しい状況でした。

森下 その通りです。しかし、経営から現場の社員まで皆が危機感を持ち、02年5月の構造改革に必死に取り組んだ結果、目標の黒字を達成できました。これが今の当社の基盤になっています。

  森下社長は04年3月にNTT東日本の副社長からNTT西日本の社長に就任しましたが、東西の差を感じましたか。

森下 東と西とでは企業体質が随分異なるという印象でした。理由はマーケットの違いにあります。東日本は首都圏という圧倒的に大きなマーケットがあり、地方はすべてそこに繋がっています。このため、東京を集中的に攻めれば十分な利益が得られます。しかし西日本は、エリアが広大なうえ、山間部や離島が多い分散型マーケットです。なかなか一筋縄ではいきません。
 私は社長就任後すぐにすべての支店を回り、地域のお客様にもお会いしました。そこで特に感じたのは、大阪・名古屋といった大都市に勤務する社員もさることながら、地方の社員のほうが危機感を持っているということでした。彼らは「このままではダメだ」「利益をあげるためには何でもやる」という姿勢で、皆が知恵を出し合って必死に取り組んでいました。分散型マーケットへのアプローチはそういうことが重要であり、だからこそ、ここまでの力をつけることができたのだと思います。

光販売は販売代理店も積極活用

  昨年度は4期連続で黒字を達成したものの、加入電話の基本料値下げの影響もあり、減収減益でした。今年度はどのような戦略で臨んでいますか。

森下 99年からの黒字化への取り組みを第1ステップ、02年の構造改革を第2ステップとするなら、今年度からは第3ステップという位置づけです。
 これまでは、いかにして黒字化を達成するか、どうやってそれを維持するかという財務体質の改善にフォーカスした施策でした。それらの取り組みが成果をあげ、ここに来てようやくNTT西日本グループ全体が「光ブロードバンド」という1つのキーワードに向けて動けるようになりました。
 そこで今期からは、「光ブロードバンド時代をわれわれが先導していこう」を合言葉に、攻めに転じたのです。

  8月23日に西日本エリアで「フレッツ光」が200万回線を突破しました。昨年8月末の100万回線から1年で100万を上積みするというかなりのペースです。

森下 確かに、この2年間は倍々のペースで増えています。しかし、西日本エリアの3000万ユーザーのうち、まだ6〜7%に過ぎません。われわれは2010年度までに1500万ユーザーに光アクセスをご利用いただけることを目指しています。そのための課題は山積していますが、ようやく成長軌道に乗ってきたという感じです。

  FTTHサービスの大きな普及阻害要因と言われているのは、開通までに時間がかかることです。現状を教えて下さい。

森下 サービス申し込みから開通までおおむね20日程度を当面の目標にしています。
 当社ではお客様が申し込んだ時、その場で工事日を即決できる「AQROS」(アクロス)というシステムを全支店に導入済みで、業務フローがかなり合理化できました。それが成果となって表れています。
 今後は、工事体制の見直しが重要です。首都圏は需要が多いうえ、お客様同士が近所で移動がスムーズなため、工事稼働率が高いのが特徴です。しかし分散型の西日本エリアは移動に時間がかかるので稼働効率も悪く、担当者が1日にこなせる工事も少なめです。そこで今、どのように取り組めば効率的に作業できるかを工事会社と一緒に検討しています。
 受付業務では、販売代理店や量販店等の窓口でも工事日即決ができるようにする必要があります。今年度中にはそのためのシステムを導入し、端末を配備する予定です。

  販売代理店の活用にも力を入れるということですか。

森下 当社だけでやれることは限られています。できるだけ販売代理店にも頑張ってもらうのが今後の方針で、そのためのさまざまなバックアップの仕組みを整備中です。

IPv6用サービスを拡充

  昨年度からのフレッツ光の加入者急増は「ひかり電話」が大きな要因と聞いていますが、新たなサービスも必要になります。

森下 ISPやコンテンツプロバイダー(CP)との連携を積極的に推進し、付加サービスの選択肢をどんどん広げていく方針です。
 他方で当社は、昨年までにIPv6ネットワークの構築を完了しました。世界のキャリアで当社だけです。NTT東日本もIPv4網にv6の機能を載せているのが現状です。
 ただ、IPv6網を使いこなすサービスが少ないのが課題です。現在はセキュリティ機能、テレビ電話、コンテンツ同報配信機能としての「フレッツ・v6キャスト」やストレージサービスの「フレッツ・v6マイディスク」などがありますが、一般のお客様にとって使いやすいサービスを投入していく予定です。

NGNトライアルは基本機能から

  今後の注目はやはり、次世代ネットワーク(NGN)です。NTTグループや御社にとってのNGNの意味を教えてください。

森下 NGNとは、単なる加入電話網の置き換えではなく、ユビキタス時代のためのインフラです。現在、いろいろなユビキタスサービスが構想されていますが、それらすべてをインターネットで提供することはできません。NGNが構築できて初めてすべてが実現できるのです。
 例えば、各企業は、在庫状況など1日の締めのデータを夕方に一斉に集約していることが多いのですが、インターネットでそれをやると、通信品質が保証されていないので輻輳が生じ、データの一部が消えてしまう恐れがあります。また、第3者によってデータを改ざんされる可能性もあります。
 医療分野では、救急車と病院をつないで搬送中の患者に適切な処置を施したり、病院と専門医をつないで診察を仰いだりする地域医療ネットワークが考えられています。
 つまり、真のユビキタス社会を実現するには、インターネットよりも高品質で、よりセキュアなプラットフォームが必須で、われわれはそれを作ろうとしているのです。

  12月からのフィールドトライアルで提供する高品質なIP電話や、ハイビジョンクラスの映像配信がNGNで実現するメインサービスではないということですね。

森下 それらはNGNの基本機能で、できて当たり前のものです。フィールドトライアルの目的は技術確認です。そこでいきなりさまざまなサービスを試しても上手くはいきません。まずは基本機能が実環境できちんと動作するかどうかを試すのです。

  NTTグループのNGNに関しては「オープン化」や「開放義務」が叫ばれています。

森下 その件については、随分誤解があります。NTTグループは、現在のフレッツサービスでもすべてのISPに対してオープンにしています。それはNGNになっても変わりません。ユビキタス時代のためのプラットフォームなのですから、多くの人に使ってもらわないと何の意味もありません。
 開放義務という言葉が出てくるのも変な話です。これは固定電話網のようにすでに存在している資産に課せられるものであり、まだ構築していないNGNに適用される義務ではないはずです。NGNはNTTだけでなく、KDDIやソフトバンクも作るものです。必要ならそれらのネットワークとも相互接続することになるでしょうから、こういう話が出てくること自体がおかしいと思います。

常にお客様を向いた企業文化に

  先述のように、西日本エリアは山間部や離島が多いため、全域に光ファイバーを敷設するのは困難です。どう対応しますか。

森下 まず断っておきますが、西日本3000万ユーザーのうち約2400万ユーザーに対しては、すぐにもフレッツ光が提供できるように光ファイバーは敷設済みです。
 ただ、残りの600万ユーザーは非常に敷設効率が悪い地域に住んでおられます。そこに対しては競争原理主義では難しく、半分は政治の問題です。しかし、だからといって全部補助金を使って敷設するのが正しいとは思いません。
 私は個別に考えていくべきだと考えています。例えば、われわれと自治体が予算を出し合って地域と長期契約を結び、10年15年というスパンで回収する方法があります。また、われわれが富山などで実施している方法ですが、途中まで光ファイバーを引き、そこから先は無線を使う方法があります。各家庭に設置されるアンテナは自治体が購入し、当社は無線の発信部分まで責任を持っています。
 いずれにせよ、ケースバイケースで知恵を出しながら対応していかないと、ブロードバンドデバイドの解消は難しいでしょう。

  会社の舵取りをするうえで、最も重視している点を教えてください。

森下 当社は今、CSR経営を推進しており、併せてNTT西日本が目指すものとして「お客様に感動を与える企業になろう」「地域の発展に貢献する企業になろう」「安心・安全な社会の実現に貢献する企業になろう」という3つの柱を打ち出しています。
 最初の「感動を与える企業」とは、「お客様のための企業」という意味であり、特に重視しています。例えば昨今話題の悪徳リース問題です。われわれは直接関係していませんが、被害を受けたお客様は当社に助けを求めてきます。その時にきちんと話を聞き、しかるべきところに連絡して対応を依頼するよう、徹底しています。
 また、残念ながら当社は、今年2月〜4月にかけてフレッツサービスで大規模かつ長時間の故障を複数回発生させてしまいました。これに対して西日本エリアのすべてのお客様にお詫びするとともに、「光ブロードバンドサービスの品質向上の取り組み」を発表し、実践しています。
 今後も常にお客様のほうを向き、迅速かつ柔軟に対応する企業文化を育てていきます。電電公社時代の受け身体質が長く続いたことから、企業文化を変えるには難しい面もありますが、「私の最大の仕事」と位置付けて取り組んでいます。
(聞き手・土谷宜弘)

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