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2006年12月号

東芝モバイルコミュニケーション社
社長
横田親廣氏
事業戦略見直しでシェア2位に
PCや映像活かし独自色発揮

今年上半期の出荷台数シェアで2位にランクアップした東芝。国内での競争激化、海外での苦戦など課題もあるが、「端末が多機能化してくると、グループ内の総合力で東芝は差異化できる」と横田社長は語る。

Profile

横田親廣(よこた・ちかひろ)氏
1949年生まれ。72年香川大学経済学部卒業後、東芝入社。95年8月移動通信機器事業部移動通信機器企画担当部長、96年4月移動通信機器事業部移動通信機器営業第二担当グループ長、99年4月移動通信機器事業部携帯電話営業部長、2000年4月モバイルコミュニケーション&コンピューティング事業部携帯電話営業部長、01年1月モバイルコミュニケーション&コンピューティング事業部副事業部長、同年4月モバイルコミュニケーション社営業統括責任者、03年4月モバイルコミュニケーション社社長、04年6月執行役常務、06年6月執行役上席常務

  最新の市場調査によると、2006年上期の端末出荷台数シェアで、前年の4位から2位に上がりました。好調の要因をどのように分析していますか。

横田 03年度に米国や中国など海外事業を再編し、国内にシフトすることで体力を温存するように事業戦略の見直しを行いました。
 その上で04年度以降、調達や生産、開発、営業、販売でさまざまな戦略を展開してきて、その成果を取り込むことができたのではないかと思います。
 携帯電話業界は変化が非常に早いため、開発から生産、販売まで一体化した意思決定をスピーディーに行って、変化に対応しないと生き残ることができません。
 東芝本体でも、昨年6月の西田社長就任以来、開発・製造・営業など部門間の連携から相乗的なイノベーションを生み出す取り組みとして「i cube」を進めています。
 なお、06年上期のシェアは05年上期と比べると1.7%落ちましたが、上位2社の落ち込み方が大きく、相対的に2位になりました。

多機種展開できる体制作り

  国内ではこの間、「さまざまな戦略」として具体的にどのような取り組みを進めてきたのですか。

横田 開発では、多機種展開ができる体制作りを目指してきました。
 大きなトレンドとして、市場が飽和するなか、ユーザーの好みが多様化しています。従来は最初の1〜2カ月で大半の納入が終わり、次に新製品が出るのは半年先でした。
 それを今は短い周期で新製品を投入することで、ある程度の規模が平準化でき、生産ベースでも調達ベースでもメリットを出せるようになりました。
 ただ、今年度は国内市場全体で計100機種以上と従来の倍以上の機種が投入されます。単純に言うと、市場規模が同じなら1機種あたりの販売台数が半減し、売上高開発費比率が倍になり、事業性は悪化することになります。

  携帯電話の開発では、端末の高機能化による開発費の増大が大きな課題といわれます。

横田 高機能端末をすべてゼロから作ると、ソフトウェアは1000万ステップ以上になり、莫大な開発費がかかります。少しでも効率化し、開発した資産を活用できるよう心がけてきました。
 また、生産・調達では需要変動が激しくなっています。短いサイクルで販売見込みが変わったり、納入中止になることもあります。
 それに対し、部品の共通化率を向上させ、残材が出ても他で流用できるようにしておけば、リスクヘッジの一助となります。

「使いやすさ」と「音楽」に注力

  シャープの「AQUOSケータイ」、カシオ計算機の「タフネスケータイ」のように、メーカー各社は端末の個性を打ち出しています。東芝の端末はどういう点に特徴があるのですか。

横田 商品コンセプトではこの2〜3年、2つの点に力を入れて取り組んできました。
 1つは、ボタンの押しやすさ、大きな文字などユーザーインターフェースの「使いやすさ」です。
 東芝の端末は、「トレンディでとんがっている」よりは「安心して使える」というイメージを強調しています。
 もう1つは「音楽」です。国内向けでは、auでもボーダフォンでも最初に音楽端末を発売しましたし、ボーダフォンの海外向け製品にも音楽端末を提供しています。

  最近、マーケティングにも力を入れているように見えます。営業面での取り組みはどうなっているのですか。

横田 携帯電話の納入先はキャリアなのでBtoBの形ですが、商品としてはコンシューマー相手のBtoCといえます。大衆消費財市場で流行に敏感なところですから、営業も相当マーケティング志向でなければなりません。
 狭い意味の売り子から脱却して、新しいやり方に変えていこうと、かなり意識改革をしてきました。
 また東芝は、PCおよび携帯のWebサイトで、UCS(ユーザークラブサイト)を展開しており、現在、UCSの会員は190万人を超えています。そこでサービスを提供したり、マーケティングに活用したりしています。

開発では協業も

  今年7月、パナソニック モバイルコミュニケーションズとNECが協業しました。これまでにメーカーの再編がいわれてきましたが、なかなか実現していません。他社と協力する計画はありますか。

横田 日本の端末メーカーで、基本的に協業に反対するところはないでしょう。しかし個別に話し合うと、「同床異夢」「総論賛成、各論反対」になってしまう。個々のメリットが一致しないので、非常に難しい。
 進展している組み合わせもありますが、まだ開発協業の域を出ていません。各社とも経営の自主権は握りたいというのが共通した意向です。
 携帯電話はどのメーカーにとってもコンシューマーとのインターフェースにあたるという位置付けで、携帯電話事業の狭い枠を超えた思い入れがありますからね。

  一部のアナリストは、「来年の携帯電話市場の大きな話題はメーカーの再編」と予測しています。

横田 07年度以降、市場の飽和により出荷台数も頭打ちになることが予想されます。
 また、キャリア間の競争がいっそう激しくなり、キャリアは原資をまずメーカーに求めてきます。そうなると、メーカーにとって生き残りは益々厳しくなり、それがトリガーとなって再編が始まる可能性は否定できません。

いっそう進む高機能化

  FMC(携帯と固定の融合)やIP化など、携帯電話を取り巻く環境は変化しつつあります。

横田 FMC化やIP化に向かうなかで、いつも身に着けているという点で携帯電話は消費者に最も身近な存在であり、携帯電話はさまざまな機能を取り込んでいくと思っています。
 国内市場は飽和状態ですが、高機能化はとどまるところを知らないのではないでしょうか。
 そうした状況下で、各メーカーとも歯をくいしばって取り組んでいますが、当社は総合力を発揮しやすい立場にいると思っています。

  シャープや三洋電機は、3キャリアすべてに端末を供給しています。メーカーとしては、マルチキャリア対応の方が有利なのではありませんか。

横田 日本の場合、キャリアごとにサービスがまったく異なります。
 それを全て自社だけでまかない、その結果、他社より遅れてしまうというのでは意味がありません。逆に、真っ先に最新機能を開発しようとすると、莫大なリソースがかかります。
 当社も過去にドコモに端末を納入しましたが、結果的に、現在はNCCのみとなっています。

  番号ポータビリティ(MNP)が始まりましたが、どのように動くと見ていますか。

横田 直近の数カ月間は、大きな変動はないだろうと思います。各キャリアとも1年前から料金体系を中心に家族割などを導入し、囲い込みをしてきました。
 今では、キャリアを変えるには、家族会議を開かないと決められないとさえ言われるほどです。
 キャリアにとってMNPは、増えるところがあれば、それだけ減るところがあるので、大きな問題です。
 しかしメーカーにとっては、ユーザーがキャリアを変更することで、市場の活性化が期待できます。

  MNPが当面、大きく動かないとすれば、来年の携帯電話市場どうなると思いますか。

横田 携帯電話メーカーには非常に厳しくなるでしょう。そのなかで、海外事業をどうするのかという問題があります。当社も、欧州事業は苦しいなかでもオペレーションを継続してきています。
 欧州では3Gという1つの独立したジャンルはなく、開発や生産、販売、特許などすでにGSMのビジネスモデルの中に入っています。
 また、日本と海外ではサービスがまったく違います。何度も模索してきましたが、国内事業と海外事業のシナジーが鍵になると思います。

  日本の端末メーカーは軒並み、海外事業では苦戦しています。海外進出の問題はたえず議論されますが、何が原因なのですか。

横田 一番は価格とブランドです。ノキアやモトローラといった海外の大手メーカーは規模の経済で安い端末を大量に投入する一方、上位機種の象徴的な端末でブランドイメージを確立しています。

  今後さらにシェアを伸ばすための施策と抱負について教えてください。

横田 端末が複合化・多機能化してくるようになると、企業全体でどれだけ総合力を持てるかが重要になります。
 当社のように、グループ内でさまざまな分野を手がけているところは、それなりの差異化が発揮できるのではないでしょうか。
 東芝ブランドが確立しているPCや映像、強い部品を活用し、さらに商品力を強化していかなければならないでしょう。
(聞き手・土谷宜弘)

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