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Interviewインタビュー

2024年4月号

NTNと光で世界を牽引
6Gで日本の強み発揮

荻原直彦 氏

荻原直彦 氏
(おぎはら・なおひこ)
1992年郵政省入省。衛星・地域放送課技術企画官、電波利用料企画室長、研究推進室長、電気通信技術システム課長、移動通信課長、放送技術課長、電波政策課長を経て、2023年より現職

総務省
総合通信基盤局 電波部長
荻原直彦 氏

2030年代に実用化が見込まれている6Gの基本コンセプトとなるフレームワーク勧告がITUで策定された。6Gに向けた技術開発、標準化に向けた動きが本格化するのを前に、総務省の荻原直彦電波部長に、日本の6G戦略を尋ねた。

昨年11月にドバイで開かれたITU (国際電気通信連合)無線通信総会(RA-23)で、IMT-2030(6G)のフレームワーク勧告が承認されました。これが6Gの基本コンセプトになるのですね。

荻原 そうです。このフレームワーク勧告では、没入型コミュニケーション(Immersive Communication)やAIとコミュニケーションの統合(Integrated AI and Communication)など、6Gで想定される利用シナリオが議論され、それを実現するために必要な機能要件が記されています。
 このうち、最高伝送速度や周波数利用効率、遅延、接続端末密度、信頼性といった5Gでも求められている能力については、6Gではさらに意欲的な数値が掲げられました。
 加えて、5Gではあまり議論されていなかった新しい指標、例えば「測位精度」や「カバレッジ」、「センシング能力」といったものも6Gの指標として新たに位置づけられました。
 また、このほかAI関連能力やサステナビリティについての議論もあります。いずれも6Gを実現していく上で重要な要素になります。
 特に、通信機能の高度化に伴って消費電力が非常に大きくなりますので、これをいかに抑えるかが重要になります。その1つの解として、バックホールやコアネットワークの「光化」があります。
 こうしたものを含めて、これから6Gの実用化に向けた議論が進んでいくことになるでしょう。

日本では2020年から国策として6Gに向けた技術開発を支援しています。狙いはどこにあるのですか。

荻原 大きく2つあります。
 情報通信は国民生活の利便性の向上に直結するインフラですので、最先端の技術を日本において可能な限り早期に円滑に導入して、生活の利便性や安全性を高めていきたいということです。
 加えて、先端技術の研究開発や標準化で日本が世界をリードしていけるようにしたいと考えています。
 日本の産業の拡大を考えた時、世界市場でのプレゼンスを高めていくことが重要です。これから全世界で6Gの恩恵を享受できるようにすると同時に、日本の産業も発展させていきたいと考えています。

HAPS用帯域を日本が提案

ITUでフレームワーク勧告が承認されたことで、6Gの標準化が本格的に動き出すことになります。日本はどのような形で取り組んでいくのですか。

荻原 3GPPで現在策定されているRelease 19では、6Gの基盤技術の検討も行われています。日本からも主要な企業や研究機関、ARIB (電波産業会)などの国内標準化機関が、3GPPの活動に引き続き積極的に貢献していくことになります。
 5Gの導入の際も同様でしたが、3GPPではまず基盤技術のリリースが出た後、何度かに分けて実装に必要な技術仕様が順次リリースされていくことになります。こうした内容が適宜ITUの標準に反映されながら、2030年頃に6Gの標準化の完成を目指すことになります。

総務省では6Gの社会実装等に向けた技術開発を、電波利用料や情報通信研究開発基金を活用して支援しています。特に注目している分野はありますか。

荻原 6Gの大きな特徴の1つである「非地上系ネットワーク(NTN)」は重要だと思っています。
 スマートフォンなどの地上端末と衛星との間のダイレクト通信やHAPS(高高度プラットフォーム)の活用といった、これまでになかったユースケースが実現されようとしています。このNTNの開発・標準化は、6Gのインフラ構築とユースケース開発において重要であり、電波部としても、しっかり取り組んでいきたいと考えています。
 もう1つ、光通信技術も、光電融合技術のデバイスでの活用など、今までになかった光通信の使い方が広がってきています。基金を活用して、意欲的に研究開発が進められています。

光通信とNTNは、日本が強みを持っている分野ですね。

構成・藤井宏治(IT通信ジャーナリスト)
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