企業向けIP電話サービスのメニューの1つとして、通信事業者が続々と提供を開始している「IPセントレックス」は、従来PBXで実現してきた機能をセンター側の設備からネットワーク経由で提供するものと捉えられている。しかし、米国で最初に生まれた時のコンセプトは、「(音声設備も含めて)IPインフラを丸ごとアウトソーシングし運用すること」といわれている。
つまり、情報系のシステムで先行していた形態(サーバーのハウジング/ホスティング)が、VoIPの進展によって音声の世界にも波及してきたということになる。
実は、電話の「セントレックス」サービス自体も決して新しいものではない。日本では、NTTが局内の交換機をユーザーに貸し出し電話機能を提供する「CES」、いわゆるビル電話がこれに該当する。ただ、企業内の交換機として発展してきたPBX(Private Branch eXcahger)に比べ、機能やコストの面で差を付けられ、2003年3月末でNTT東西合わせた契約数は8万6000回線を残すのみとなっている。
IPセントレックスになると、自前で設備を持たないことによる資産運用面でのメリット、システムの運用保守にかかる負担減、企業内ネットワークで導入が進んできたVoIPによるコスト削減、通信事業者のIP電話サービスによる安価な通話料金といった三重、四重の効果が見込める。
