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Interviewインタビュー

2024年1月号

5Gはまだまだエキサイティング
日本市場に大きな可能性

ジェニファー・アートリー 氏

ジェニファー・アートリー 氏
(Jennifer Artley)
業界を問わず5Gの導入と商業化を促進し、米国および世界中の企業への5Gソリューションの迅速でスケーラブルな展開を可能にする責任を担う。ベライゾン入社前は、BTアメリカのプレジデント、エクイニクスのVP、レベル3コミュニケーションズのSVPなどを歴任。ペンシルバニア大学ウォートンスクールでMBA取得。モスクワ、メキシコシティ、ブエノスアイレスに居住し働いていたこともあり、スペイン語を流暢に話せるほか、ロシア語も得意だという

米ベライゾン・ビジネスグループ
5Gアクセラレーション担当シニアバイスプレジデント
ジェニファー・アートリー 氏

通信業界のリーダーの1社、米ベライゾンで5Gビジネスの推進責任者を務めるアートリー氏に、6Gについて質問すると、こんな答えが返ってきた。「私たちは次のように言いたい。『5Gはまだまだエキサイティングである』と」──。プライベート5GやFWA、インダストリアルIoTといった5Gポートフォリオを擁するベライゾンの5Gビジネスの現状と日本市場戦略などを聞いた。

5Gの現状に対しては「事前の期待ほどの成果はまだ出ていない」といった声もよく耳にします。通信業界における世界最大のイベント「MWC Barcelona 2023」で、「5Gマネタイゼーション(5Gの収益化)」が大きなトピックの1つになったことも未だ記憶に新しいところです。5Gの先導役を果たしてきたベライゾンは今、5Gのマネタイゼーションについて、どのように考えているのでしょうか。

アートリー 私たちは5Gのマネタイゼーションに自信を持っています。ベライゾンは、パブリック5G、プライベート5G、FWA(Fixed Wireless Access:固定ワイヤレスブロードバンド)、インダストリアルIoTと、非常に堅牢な5Gポートフォリオを持っています。これらポートフォリオ全体で5Gをマネタイゼーションできると確信しています。
 例えば、ベライゾンが長年取り組んできたインダストリアルIoTのビジネスは大変順調に成長しています。特にこの2年間、積極的に投資してきたのが自動車分野でした。EVや自動運転へのシフトが進む自動車業界には、非常に大きなビジネス機会があります。この流れにいち早く乗るため、意欲的に活動しています。
 比較的新しい領域であるFWAについても、コンシューマー向けと法人向けの両方で、素晴らしい成功を収めています。
 例えば法人向けでは、こんな変化が起きています。1年前まで、FWAはどちらかというとバックアップ回線という位置付けでした。しかし最近は有線ブロードバンド回線の代替、つまりメイン回線として採用されることが多くなっています。ワイヤレス回線しか使わない、メインとバックアップ用に2つのワイヤレス回線を契約するといった企業が増えているのです。

プライベート5Gに勢い

プライベート5Gについても確かな手応えを掴んでいるのですか。

アートリー やはり強い勢いを感じています。ベライゾンは、プライベート5Gソリューションをグローバルで提供していますが、最も大きな需要が出てきているのが米国、次いでヨーロッパです。
 プライベート5Gをはじめとするプライベートワイヤレスアクセスのビジネスには、今までとは異なる点があります。それは新しいステークホルダー、工場長のようなOT(Operational Technology)の方たちとの会話が新たに始まっていることです。
 お客様と会話する内容自体も変わりました。以前は、どちらかというと単なるコネクティビティの話をする機会が多かったと思います。しかし今は、「お客様のビジネス上の課題を解決するにはどのようなソリューションが必要か」など、以前より大きな話をしています。
 例えば工場であれば、不具合検知などの稼働率向上や、働く方たちの環境・健康・安全に関する改善活動のために活用しています。プライベート5GやMEC(Multi-access Edge Computing)によってリアルタイムに精度の高い情報を取得・処理することで、こうした改善活動に貢献できるようになりました。
 具体例を1つ紹介しましょう。ベライゾンのプライベート5Gソリューションを導入された英国の港湾の例です。
 港湾では常時、金属製のコンテナが行き交っています。金属は電波を通さないこともあって、それまで使っていたWi-Fiでは通信が不安定で、また多数のアクセスポイントを必要としました。しかし、私たちのプライベート5Gソリューションを活用することにより、250のWi-Fiアクセスポイントをたった7つのプライベート5G基地局に置き換えることに成功したのです。これにより、上りの通信が安定的に高速通信になり、メンテナンスが容易になりました。また、電力消費を削減できたといったメリットを享受されています。
 加えて、元々はコネクティビティの向上を目的に始まったプロジェクトでしたが、常に正確な情報がリアルタイムに監視され、精度の高いカメラ画像の管理によって危険度を速やかに察知することで、港湾作業員の方が働く環境や安全性の向上にも貢献できています。

日本の顧客へ積極紹介

日本のプライベート5G市場はどのように見えていますか。

アートリー まさに今回の私の来日目的が、日本市場を理解することにありました。「日本市場においてプライベート5Gへの躊躇があるとすれば、その理由は何なのか」といったことをお客様に直接聞くためです。
 実際にお客様と会話して明らかになったのは、プライベート5Gへの関心は日本でも非常に高いということです。
 プライベート5Gのビジネス機会はグローバルに広がっており、2024年は日本とアジア太平洋地域の市場も大きな可能性を秘めています。そのため私たちは、日本のお客様に米国のプライベート5Gの導入事例を数多く紹介するとともに、グローバルパートナーのエコシステムへの投資を続けていきます。

日本では、どのような形でプライベート5Gソリューションを展開していくのでしょうか。

(聞き手・太田智晴)
続きは本誌をご覧下さい

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