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Interviewインタビュー

2019年4月号

GAFAに伍する国際競争力を
一気通貫でデジタル変革

井伊 基之 氏

井伊 基之 氏
(いい・もとゆき)
1958年11月生まれ。83年3月、慶應義塾大学大学院電気工学専攻修士課程修了。同年4月、日本電信電話公社に入社。2011年6月NTT東日本 取締役 ネットワーク事業推進本部設備部長 企画部長兼務、14年6月取締役 ビジネス&オフィス営業推進本部長、15年6月代表取締役常務取締役 ビジネス&オフィス営業推進本部長、16年6月代表取締役副社長 ビジネス&オフィス営業推進本部長、17年7月代表取締役副社長 ビジネスイノベーション本部長などを経て、18年6月より現職。スタンフォード経営大学院修士課程修了

NTT 代表取締役副社長
井伊 基之 氏

CTO兼CIO兼CDOという“一人三役”で、NTTグループのデジタルトランスフォーメーションの舵を取る井伊副社長。NTTグループ自らの変革について、「私が一元的に、かつ一気通貫で責任を持つ」と意気込む。懸案のグローバル事業に関しては、海外研究拠点の設立、2兆円の新規投資などにより、GAFAに伍する国際競争力の高い技術・サービスを生み出していくと語った。

NTT持株の副社長に就任されてから約8カ月が経ちましたが、NTTグループの現状について、見方を新たにすることはありましたか。

井伊 私は持株から2005年にNTT東日本へと移り、地域通信事業を13年間経験して、先般持株に帰ってきたのですが、やはり「風景が変わったな」と思いましたね。
 私が東日本に行った当時は、ちょうどフレッツ光の拡大期。それが今、光はコラボモデルに転じていますし、何より大きな変化はモバイルの加入者が圧倒的に増加し、しかも5Gがこれから登場することです。さらに昔と比べると、グローバル事業がはるかに拡大しており、今や30万人以上いるグループ社員の約4割、12万人が海外で活躍しています。
 そうしたなか、グループ全体を見渡すポジションに着任し、一番大きなミッションだと思っているのは、グループ会社間のシナジーを上手に生み出していくことです。
 澤田社長体制となり、2025年までを展望した中期経営戦略を一緒に作りました。NTTグループ全体をどう大きく変革していくかの戦略です。その中で打ち出したのが、ICTで世の中の様々な社会課題を解決していくSmart Worldの構想ですが、これをNTTグループ全体の力で具体的に進めていくことが私の重要なミッションとなります。

井伊副社長はCTOとCIOに加えて、デジタルトランスフォーメーションを担うCDO(Chief Digital Officer)も務めています。

井伊 昨年8月に新たに設置したCDOは、デジタルトランスフォーメーションを推進する責任者です。私がグループのCDOに就任し、各事業会社にもCDOを置いて、グループ全体のデジタルトランスフォーメーションを進めていく体制を整えました。
 デジタルトランスフォーメーションというのは、業務やプロセスの見直しです。これに対して、CIOはIT導入が仕事です。私は両方を兼務していますから、自分でプロセスを見直して、実際にシステムとして実現するところまで、一元的に、かつ一気通貫で責任を持ちます。

以前から各事業会社はデジタル化に取り組んできたと思いますが、改めてCDOを設置した狙いは何ですか。

井伊 今までは業務ごと、プロセスごとにRPAの導入やシステム化を行っていました。「フロースルー」と言っていますが、業務プロセスの最初から最後まで、自動的にデータが流れていくような一気通貫のデジタル化については、我々は遅れていました。
 これからは業務ごと、個社ごとにデジタルトランスフォーメーションに取り組むのではなく、グループ横断ワーキングで議論し、変革を進めていきます。中期経営戦略では、法人向けサービスの受付から開通までの生産性を2025年度までに2倍にすると宣言しました。工事・保守関連のプロセスについても1.5倍に改善します。
 大量採用時代の社員の自然退職が進む今後、例えば東西の社員数は業務分野によっては人員が2割減〜半減する可能性があります。明らかに少なくなる社員数で、業務の質を高めつつ同じ量をこなす必要があるのですから、やはりシステム化、つまり人間を介在させない仕事のやり方が非常に大事になります。
 さらに「セルフサービス化」と言っていますが、eコマースのようにお客様が自分でサービスを選んだり、我々のシステムを使って自分で故障原因を判断したり、お客様によるセルフサービス化を進めることで、人手を思い切り少なくしていきます。
 ただし、すべて自動化した世界を作ろうとしているわけではありません。人手でないといけないところは、人間がお手伝いする。そして、そうしたサービスは、おそらく付加価値が高いでしょうから、そのサービスに対して適正な料金をいただく。
 お客様主導の自動化した世界と、我々がお手伝いする世界へ二極化させていくということですね。

知財を強化しないと低利益

人手不足は日本全体の課題ですが、NTTグループは深刻な人手不足に真っ先に直面しているのですね。その経験は顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援する際にも活きてくると思いますが、CTOとしてSmart Worldの実現に重要な技術は何だとお考えですか。

(聞き手・太田智晴)
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