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Interviewインタビュー

2022年6月号

オープンRANの課題解決に寄与
世界標準の「分断化」回避へ努力

野崎哲 氏

野崎哲 氏
(のざき・とおる)
1961年生まれ。1983年早稲田大学法学部卒業後、松下電器産業に入社し、国際市場向け営業・マーケティングに従事。1997年、モトローラ日本法人のネットワーク事業部ディレクター。2011年にエリクソン・ジャパンに入社し、執行役員として新規事業の開発に携わる。2014年2月より現職

エリクソン・ジャパン
代表取締役社長 戦略事業担当
野崎哲 氏

モバイルインフラの世界を長年にわたってリードしているエリクソン。RANのオープン化、仮想化など新しい潮流も本格化するなか、どのようなパーパス・ビジョンのもと、モバイルの未来を切り拓こうとしているのか。野崎社長はオープンRANの課題解決、脱炭素の実現などに積極貢献する考えを示すと同時に、グローバル標準の「分断化」への懸念を語った。

5Gのエリアが着実に広がるなか、エリクソンの業績も好調です。グローバルでの2021年通期の純利益は、前期比約3割増でした。

野崎 おかげさまで5Gビジネスが堅調に推移しています。2022年3月時点では172件の商用5Gの契約をいただいており、このうち121件がすでに商用運用されています。GSMAの発表では、5Gのライブネットワーク数は209件ですから、全世界で稼働する5Gの半分以上にエリクソンはネットワークを提供していることになります。
 RAN(Radio Area Network)市場のシェアについても、Dell'Oro Groupの調査によれば、2021年は30.3%と全体の3分の1近く、若干の特殊事情がある中国市場を除くと41.1%を獲得しています。
 エリクソンのシェアは一昨年、昨年よりも伸びており、5Gにおいて強力なリーダーシップを発揮できていると考えています。

日本ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクへ納入していますが、国内ビジネスについてはどうですか。

野崎 日本も同様に堅調です。国内の通信事業者はこれまで人口カバー率をどれだけ早く拡張するかに一番の重きを置かれていましたが、今年から来年は5Gのパフォーマンス向上とStand Alone(SA)化に注力されていくことになるでしょう。そのおかげで、国内ビジネスについても忙しい日々がまだまだ続きそうです。

Massive MIMOを大減量

パフォーマンス向上とSAという2つのキーワードが出ました。それぞれについて、エリクソンはどんなソリューションを用意していますか。

野崎 5Gのパフォーマンスを向上させるには、もの凄い数の基地局を設置する必要がありますが、今年2月から3月にかけて久しぶりにバルセロナで開催されたMWCで、設置上の制約を大きく軽減するソリューションを披露しました。
 5GではMassive MIMOを用いて、トラフィックが多いエリアでのパフォーマンスを拡充します。Massive MIMOの無線機は、32本だったり64本だったり、非常に多くのアンテナ素子を搭載しますから、5Gの開始当初は無線機1台の重さが1台45kgほどもありました。鉄塔に設置する際には、3人がかりで運ぶ必要があります。
 しかし昨年初めに23kgと約半分、そして昨年秋に12kgにMassive MIMOの無線機をダイエットできました。

ずいぶん軽くなりましたね。

野崎 実は、日本は海外と比べてMassive MIMOの採用が進んでいません。北米、韓国、中国、台湾といった5G先進国では、5G用無線機の8〜9割がMassive MIMOですが、日本は逆に8〜9割が従来型です。
 その大きな理由が、設置上の制約でした。日本では20kg未満であれば、基本的に1人で運んで設置していいことになっています。また、小型化により設置場所を確保しやすくなったのに加えて、アンテナの表面積が狭くなり耐風速も向上しました。
 ぜひパフォーマンスが必要なところを中心に、エリクソンの軽量小型の無線機を使っていただきたいと思っています。

日本の5Gのパフォーマンスは今後大きく伸びる余地があるということですね。SAへの期待も非常に高いです。

野崎 SAになると、超高速、超低遅延といった5Gの特徴が制約なく発揮できますから、今後SAを広げていくことは大変重要です。現在60強のSAの契約をいただいており、すでに12件が商用化されています。
 SA向けにエリクソンが用意しているソリューションの1つが、完全クラウドネイティブ設計の5Gコアネットワークです。この5Gコアを利用することでネットワークスライシング、もっと具体的に言えば、XRを使ったリアルタイムゲームやクルマの運転支援などの用途に応じてサービス品質を担保できるネットワークへの移行を進められます。

日本でもSAの商用化が始まりましたが、まだネットワークスライシングのメリットは実感できていません。

野崎 もちろん最新のテクノロジーですから、「すぐ明日から」というほど簡単ではないのは確かです。ネットワークスライシングは、ネットワークの全コンポーネントを上手に制御する必要があるので、それなりの時間を要すると思っています。

クラウドRANは一夜にして成らず

クラウドネイティブのコアの話が出ましたが、RANの仮想化/クラウド化にもエリクソンは取り組んでいます。

野崎 今日現在は専用ハードウェアでRANを提供していますが、様々なパートナーと協力してクラウドRANの開発を進めています。

今はまだ市場に投入していないのですか。

(聞き手・太田智晴)
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