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Interviewインタビュー

2025年11月号

5Gは産業を動かすインフラへ
日本が強み活かす2030年への戦略

野崎哲 氏

野崎哲 氏
(のざき・とおる)
1983年に松下電器産業に入社し、国際市場向け営業・マーケティングに従事。1997年、モトローラ日本法人のネットワーク事業部ディレクター。2011年にエリクソン・ジャパンに入社し、執行役員として新規事業の開発に携わる。2014年2月より現職。早稲田大学法学部卒業

エリクソン・ジャパン
代表取締役社長
野崎哲 氏

5G SA整備が進む国では、ネットワークスライシングによる差別化された通信サービスの実用化が始まっている。5G-Advancedの商用化や6G標準化も動き出した。エリクソン・ジャパンの野崎哲社長に、グローバルな視点から見た日本市場の特徴と、2030年を見据えた通信インフラの将来像を聞いた。

日本の5Gの現状をグローバルと比較してどう見ていますか。

野崎 5Gは4Gまでとは趣が異なります。4Gまではモバイルブロードバンドのピークレート競争でしたが、5Gでは「快適につながるか」という体感、つまり質的なところに関心がシフトしています。
 4Gが成熟したのは開始から12〜13年が経った2022年頃でした。5Gは今5年目なので、同じように推移するなら、7~8年後がピークでしょう。まだ時間をかけて、質的な進化を遂げていく段階です。
 5G SAエリアが拡大しており、一部事業者では、ネットワークスライシングやネットワークAPIによってユーザーやアプリケーションごとに異なる性能・機能を使えるようにする「差別化されたコネクティビティ」の提供が始まっています。これは、順調な進化の過程と言えます。

日本企業が描く5Gの未来

海外ではシンガポールのSingtelや米国のT-Mobileが、ネットワークスライシングの活用などで先行しています。また、5Gネットワーク機能を外部アプリケーションから利用できるようにするネットワークAPIの活用も始まっているようです。日本の状況はどうですか。

野崎 商用サービスを実施するまでには至っていないものの、企業と協力しながら検証を進めています。ソニーとは放送局用プロフェッショナルカメラ向けに、トヨタ自動車らが参加するAECCとはコネクテッドカー向けに5Gの低遅延通信や高信頼通信を活用したソリューション開発を進めています。例えば、スポーツイベントでプロカメラマンが撮影した写真や映像を無線伝送したり、自動運転車の遠隔制御に必要な高精細映像を低遅延伝送したりなど、ミッションクリティカルな用途での実証を行っています。
 MWC Barcelona 2025では、通信帯域やレイテンシーを用途に応じて切り替えるQoD(Quality on Demand)APIを使った専用回線と通常の5G回線を比較するデモを実施し、品質の違いを明確に示すことができました。
 このように日本のグローバル企業は、自分たちの事業に5Gをどう組み込むかを真剣に検証しています。

APIエコシステムの構築

エリクソンは世界各国の事業者とともに、ネットワークAPIの活用を推進する目的でアドゥナを設立しました。このビジネスを日本でどう展開しますか。

野崎 アドゥナではグローバルに様々なステークホルダーが集まってミーティングをしています。最初は認証系、セキュリティ系のAPIへの関心が高いので、これは協調領域として全事業者で推進する予定です。次がQoD APIで、これは競争領域ですね。
 世界各国の通信事業者が参画するアドゥナを介することで、デベロッパーは一度に何億、何十億という加入者ベースに提供可能なアプリケーションやソリューションを作れるというのが最大のポイントです。事業者もデベロッパーも入っていただいて、オープンに意見交換しながら進めています。年内には米国で認証系APIを使ったアプリからスタートしたいと考えています。マイクロソフトなどパートナーも増えてきており、私も今後の展開を楽しみにしています。

加速する5Gインフラ整備

昨年までは日本のインフラ整備、特に5G SAの展開スピードやMassive MIMOの導入遅れが指摘されていましたが、現在では変化していますか。

(構成・小林憩加)
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