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Interviewインタビュー

2021年5月号

5G時代はマルチベンダー
AI自動運用をレベル4以上へ

古屋知弘氏

古屋知弘 氏
(ふるや・ともひろ)
2015年5月にジュニパーネットワークス 代表取締役社長に就任。ジュニパー入社以前は、2010年にテラブス・ジャパンの代表取締役社長に就任し、その後、2013年12月テラブス社とコリアント社の合併に伴い、コリアント・ジャパンの代表取締役社長を務めた。また、それ以前は、日本アルカテル・ルーセント IP事業部ジェネラル・マネージャー兼ソリューション・ディレクター、リバーストーン・ネットワークス 代表取締役社長などを歴任している。米チャップマン大学においてファイナンス専攻で学士号を取得

ジュニパーネットワークス
代表取締役社長
古屋知弘 氏

クラウド化が進むなか、この数年で大きな変化を遂げたというジュニパーネットワークス。「エンタープライズ市場をどんどん開拓していける状況」と古屋社長は話す。5G時代に入った今、戦略の頂点に掲げるのは「エクスペリエンスファーストネットワーキング」だ。マルチベンダー環境への対応、AIによる運用自動化などを強みに、通信事業者やエンタープライズの「ビジネスパートナー」を目指すという。

世界は今、大きな変革期にありますが、そうしたなかジュニパーネットワークスも変化のときを迎えているのでしょうか。

古屋 この2~3年、ジュニパーはグローバルでかなり大きな変化を遂げてきました。
 ジュニパーというと以前はサービスプロバイダー(通信事業者)、さらにはクラウドプロバイダーのお客様に強みを持っているメーカーという印象が大きかったと思います。
 しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進展し、データの流れがクラウドに向かっているなか、エンタープライズのビジネスがこの数年、加速度的に伸びています。クラウドでの技術が、今度はエンタープライズで求められているからです。
 私たちは元々持っていたサービスプロバイダーネットワークの技術をベースに、クラウドのネットワークを構築してきました。ジュニパーは設立当初からマルチベンダー環境をサポートし、なおかつディスアグリゲーション(機能分離)されたオープンなソリューションをコンセプトに開発してきました。このオープンというコンセプトが北米の大手クラウドプロバイダーのニーズにぴたりと合致したのです。
 クラウドプロバイダーの環境は、単一のネットワークベンダーのソリューションでは構築できません。また、DevOpsの考え方で迅速にネットワークの設計やサービスのリリースが行える環境を必要とされており、自動化を大変重視されています。こうした要求を実現するのに、ジュニパーのソリューションが大変適していたのです。
 そして今、エンタープライズのデータの流れはますますクラウドへと向かっており、企業ネットワーク自体がクラウドへと移行していくような状況が発生しています。
 この流れの中でエンタープライズは小さなクラウド、すなわちオンプレミスのデータセンター環境を構築する必要に迫られています。
 ジュニパーはクラウドで培った技術により、データセンターは非常に得意です。マルチクラウド接続についてもサービスプロバイダーで培った技術がありますので当然得意です。こうした関連性により、エンタープライズ市場をどんどん開拓していける状況にあるのです。

実際、どれくらいエンタープライズの売上は伸びているのですか。4年前に古屋社長にインタビューしたときは、ジュニパーの売上全体に占めるエンタープライズの割合は3割ほどとのことでした。

古屋 この2~3年、エンタープライズビジネスはグローバルで伸びており、ジュニパーの売上全体に占める割合も4割くらいに近づいてきました。あとはサービスプロバイダーが4割超、クラウドプロバイダーが2割弱という売上構成です。非常にバランスが取れてきたと見ています。
 オンプレのクラウド、マルチクラウド接続に加えて、コロナの影響によって昨年からはリモートワーク環境整備のニーズも非常に高まっています。また、コンシューマーの方々のネット使用率も上がっており、サービスプロバイダーのネットワーク需要も大変伸びています。加速度的に進むDXをサポートするなか、ジュニパーのビジネスも堅調に成長しています。

O-RANの“頭脳”と契約

サービスプロバイダー市場については、コロナに加えて、5Gがスタートしたという意味でも新たなフェーズに入っていますね。

古屋 5Gはまだ始まったばかりで、ジュニパーもその対応を積極的に進めている段階です。5Gの特徴を活かしたサービスは、これからの数年間で一気に拡大していくことになるでしょう。
 そうなると、4K/8Kカメラやコネクテッドカーなどから、従来では考えられなかった大量のデータが発生します。5Gの特徴である高速大容量、低遅延を活用するアプリケーションが次々と出てくるなか、ユーザーのエクスペリエンス(ユーザー体感)をどれだけ向上させられるかが、次の数年間、非常に大きな課題になっていきます。

5G時代には、遠隔操作や遠隔医療といったミッションクリティカルなエクスペリエンスもどんどん増えていきますね。

古屋 そうしたユースケースもすべて含めて、エクスペリエンスを向上していかなければなりません。従来はコンシューマーが中心でしたが、5Gでは企業ユースレベルのエクスペリエンスが求められます。しかも、5Gではネットワークスライシングを活用し、同一ネットワーク内で数百、数千の単位でアプリケーションが実行されることになります。企業数×アプリケーションの種類という形で増えていくことになるからです。
 ジュニパーは現在、ストラテジーの頂点に「エクスペリエンスファーストネットワーキング」を置いています。サービスプロバイダーに対しても、私たちが開発したソリューションや買収したソリューションなどを組み合わせ、エクスペリエンスファーストを実現していくことを主軸に取り組んでいます。

実現にあたって重要なポイントは何ですか。

(聞き手・太田智晴)
続きは本誌をご覧下さい

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