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Interviewインタビュー

2022年3月号

6Gは循環経済の必須アイテム
日本がリーダーシップを

三瓶政一 氏

三瓶政一 氏
(さんぺい・せいいち)
大阪大学大学院 工学研究科 電気電子情報通信工学専攻教授。1980年、東京工業大学 工学部を卒業。82年、同大学大学院 総合理工学系研究科 修士課程を修了後、郵政省 電波研究所(現在の情報通信研究機構)に入所。91年に工学博士取得。カリフォルニア大学 デービス校客員研究員を経て、1993年に大阪大学 助教授。2004年、同教授に就任し、現在に至る。5GMF 技術委員会委員長/地域利用推進委員会委員長、総務省 情報通信審議会委員、日本学術会議委員などを務める

大阪大学
教授
三瓶政一 氏

なぜ、6GはSDGsと結び付いたのか──。三瓶教授によれば、世界は今、循環経済へのシフトという経済原理の転換期にある。6Gが不可欠となる、この循環経済に乗り遅れないよう、「危機感を持たなければならない」と三瓶教授は警鐘を鳴らす。日本はどのようなビジョンをもって未来へ臨むべきなのか、話を聞いた。

5Gの商用サービス開始から2年を迎えます。この2年、社会は新型コロナウイルスの影響により大きく変化したわけですが、5Gに関してはどのように見ているでしょうか。

三瓶 5G回線を使ったサービスはあるが、5Gでなければ出来ないサービスはまだ乏しいというのが実感です。これはユーザー側の強い実感でもあるでしょう。4Gでも実現できるレベルのサービスしかないというのが事実です。
 では、何が阻害要因なのか。私はユーザー側の問題がかなりの部分を占めていると見ています。デジタルトランスフォーメーション(DX)に対するモチベーションが低いのが、すべての原因ではないでしょうか。

巷では盛んに「DX、DX」と言われているように思いますが、まだ足りませんか。

三瓶 盛んに言われている意味は、「DXがまだ入っていない」ということです。多くの場合、「仕方なく」「最低限で」というニュアンスで言っているようにしか聞こえません。
 実際、DXのために5Gやローカル5Gを本格導入している企業は、まだ非常に限られています。NECが1セット498万円からのシステムを発表するなど、ローカル5Gのシステム価格自体はかなり下がりました。ここまでコストが下がれば、現段階では「妥当なレベルになった」と言っていいでしょう。つまり、問題はコストと違うところにあって、それはDXに対する意欲の低さだったり、考え方の未熟さなど、ユーザー側の責任ではないかと私は思っています。

循環経済の障壁は何か?

どうすれば変わりますか。

三瓶 まず大切なのは、世界が今どのようなモチベーションで動いているのかを理解することです。世界の流れに乗り遅れないように、危機感を持つ必要があります。
 ヨーロッパを現在動かしているビジョンは、「循環経済(サーキュラーエコノミー)」です。ところが私の理解では、日本には循環経済というビジョンではなく、「循環社会」だけがあります。

両者は何が異なるのですか。

三瓶 循環社会という言葉の響きは「道徳的」で、「環境を大事にしましょう」「資源を大事にしましょう」といった理念的な話から始まります。つまり、経済という現実的レベルまでの踏み込みが十分ではないと思います。しかし社会を変えるには、経済という現実を動かす必要があります。ヨーロッパらが循環経済を目指している根本には、「経済原理を変えてリーダーシップを発揮したい」というビジョンがあると見ています。
 その背景には、政治の問題もあります。これまでのグローバル経済は、「政治の問題はさておき」としながら発展してきました。しかし近年いろいろな対立構造が表出するなか、「半導体や資源などを、経済の視点に基づいたグローバル調達だけに依存していいのか」といった疑問が出てきました。循環経済へのシフトは、資源を自前で調達していくうえでも重要です。

循環経済やSDGsについて「きれいごと」と捉える向きも少なくないと思いますが、決してそうではない。しかも今起きているのは、経済原理そのものの変化であることを認識すべきだということですね。

三瓶 では、循環経済へ移行するうえで、最大の障壁は何か。それは、モノの循環まで含めた点が不十分であるということです。
 例えば、ある資源を再利用しようと思っても、「再利用コストがかかり過ぎる」とよく言われます。なぜ、再利用コストが高くなるのか。それは「何をどのように集めると効率的なのか」という部分が、まだ不十分だからです。
 今は、原材料を加工してモノを生産して消費した後、モノは廃棄されてしまい、多くの情報がそこで消えます。モノがただの塊になり、どんな原材料で構成されているのかという再構成のために必要な情報が失われるのです。
 しかし、サイバー空間を使えば、モノの所在やその原材料など、あらゆる情報を管理可能です。サイバー空間にすべての情報を集約できれば、その後の回収プロセスや製造プロセスとも簡単にリンクできますから、循環経済を効率的に回せるようになります。
 そして、このような循環経済を実現するにあたって、不可欠なのがネットワークです。ヨーロッパなどでは、6GはSDGsと紐付けて語られていますが、なぜ6GとSDGsが結び付いたかというと、こうしたビジョンが背景にあるからと私は理解しています。

6Gと循環経済、SDGsとの関係性について、もう少し詳しく教えてください。

(聞き手・太田智晴)
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