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2005年3月号

NTTドコモ 代表取締役社長
中村維夫 氏
番号ポータビリティは総力戦“顧客視点”に回帰する
初の減収減益という逆風下で社長に就任した中村維夫氏。
しかし、顧客視点という原点に立ち戻るなかで、
激変が予想される2005年以降の青写真に目鼻が立ってきたようだ。

Profile

中村維夫(なかむら・まさお)氏
1944年生まれ。東京大学法学部卒。1969年日本電信電話公社(現NTT)入社。88年労働部担当部長。91年京都中支店長。94年宣伝部長。95年労働部長。96年埼玉支店長。98年6月、NTTドコモ取締役経理部長に。99年1月取締役財務部長。同6月、常務取締役就任。01年6月常務取締役MM事業本部長。02年6月代表取締役副社長 営業本部長、FOMA営業推進室長兼務。02年7月代表取締役副社長 営業本部長。04年6月より現職

  2005年3月期決算では、NTTドコモとしては初めてとなる減収減益を予定するなど、就任早々厳しい舵取りを強いられている印象がありますが。

中村 減収減益の要因は2点あります。1点目は、携帯電話キャリア間の競争が非常に激化しており、その対応策として割引施策の拡大を進めたことです。家族間の通信料の割引率をアップしたり、無料通話分を分け合えたりできる「ファミリー割引」関連施策や、FOMA向けにパケット代金を定額で利用できる「パケ・ホーダイ」を導入しました。2点目は、PDCからFOMAへのマイグレーションを確実に進めたことによる費用です。

  この1月に900万加入を超えたFOMA。年度末には、当初予想の1060万加入を大きく超えそうな勢いですね。

中村 おかげさまで順調に加入者を増やしています。ただ、調達価格を見ると、FOMAの「900シリーズ」はPDCの「500シリーズ」に比べ、現状では1万円ほど割高になっています。それをすべて小売価格に転嫁させるのは難しいでしょう。携帯電話の場合、多くのお客様に購買対象と見ていただけるのは3万円が上限だと思っています。差額は代理店手数料などでまかなわざるを得ないのです。このため、販売数が伸びれば伸びるほど、負担が大きくなるという課題がありました。
 そこで、FOMAには700シリーズを投入し、お客様の幅広いニーズに応える体制が整いました。700シリーズは、900シリーズと部材及びソフトウェアで共通化を図り、機能の絞込みなど総合的にコストの低減に努めることで、調達価格を1万円程度抑えることに成功しており、代理店手数料の低減という側面にも寄与しそうです。

  一方で、この第3四半期には解約率が初めて1%を切りました。顧客の囲い込みでは、他キャリアに先んじていますね。

中村 あえて減収減益という痛みを伴ったなかで、2004年度に行った料金施策がお客様に高く評価された結果だと見ています。パケ・ホーダイは当初、200万人の利用者を見込んでいましたが、サービスを開始してみると250万人を超える利用者を得る勢いです。ファミリー割引の利用もわれわれの予想を大きく超えています。そういった料金施策、特に「お客様に分かりやすい」施策が受け入られました。また、FOMAの人気が高いことも、全体の解約率の引き下げに貢献しました。
 市場では純増シェアのみを重視する向きもありますが、私は最も重要なのは解約率の抑制だと考えています。

  その理由は。

中村 携帯電話の総加入者数が8500万を超えたいま、新規加入という割合は小さくなっています。つまり、いまサービスを提供しているお客様に、ドコモの「携帯電話」のサービスがきちんと評価されているか、満足頂いているかどうかということが、キャリアにとっては重要なのです。

MNPは従来戦の延長

  顧客満足といえば、2006年秋にスタートする番号ポータビリティ(MNP)に対する戦略にもつながりますね。

中村 そうです。確かにMNPというのは象徴的な存在でしょう。同じ電話番号を使い続けられるため、他のキャリアへの移行が容易になるということですが、しかし、携帯電話市場を見ると、この傾向は従来から存在しているのです。
 携帯電話の場合、もともとお客様は端末の買い替え時期にどのキャリアが今いいのかと検討することになります。ドコモにとどまるか、それとも他キャリアの新しいサービスも面白そうだから移ろうかなと。1カ月の解約率が1%ならば、年間約10%前後のお客様の動きがあるということです。携帯電話は常にそういった性格のものなのです。

  MNPはいまある競争構造の延長に過ぎないということですか。マイライン競争のようにはならないと。

中村 固定電話のマイライン競争は、事業者が仕掛ける傾向が強い。しかし、携帯電話では毎年3月や12月に、事業者の意図でなく、ユーザーの意思を受けて流動性が高まっているのです。

  それでは、NTTドコモとしてのMNP対策はどのようなものになりますか。

中村 ネットワーク、端末、コンテンツ、料金、アフタフォローなど全てを含めた総合戦になります。ブランド勝負と言い換えることもできるでしょう。ご存知のように携帯電話は、ADSLのように価格性向のみが強調される商品ではないと思っています。どこでもつながる確実なネットワーク、リーズナブルな料金、魅力的な端末、面白いサービスやコンテンツ、こうした従来から熾烈な競争を繰り広げてきた分野すべてが重要なのです。
 そして、ブランドに対する信頼感がこれまで以上に大切になると思います。社会貢献、コンプライアンスの遵守なども重要になってくると思います。

  今まで以上の料金競争にはならないと。

中村 料金のみで判断されるのであれば、料金が一番低いキャリアがトップシェアになるはずですが、実際にはそうなっていないはずです。お客様の判断基準はそれだけ多様なのです。
 また、お客様が同じ電話番号にどれだけこだわっているか、計りかねる部分がありますね。いまお客様の多くは、電話帳に登録し利用しているので、番号というものを意識する機会が少なくなっていますから。

  総合戦と言いましたが、他に何が必要になると考えていますか?

中村 HSDPA(High Speed Downlink Packet Access)の導入によるFOMAの高速化、お客様にとって分かりやすい料金プラン、お客様へのアフターサービスの在り方の再検討、これら業務全般を対象に、全面的に見直していくことが必要でしょう。

顧客視点へ転換

  言葉の節々に謙虚な姿勢を感じますね。

中村 「お客様視点」というものは、最初からあったし、今もあるのが当然です。しかし、携帯電話の最初の10年は、キャリアやメーカーが主導する「最新技術の実験場」という側面がありました。携帯電話をもっと小さく薄くしたい、着メロを入れたい、Webが見られるようにしたい、カメラ機能を搭載したいと。お客様もキャリアもメーカーも、携帯電話で何ができるのかを模索していた時期でした。立ち止まって、マーケティングをする余裕がないくらい動きが速かったのです。
 それが、携帯電話が普及することによって、ここ数年でお客様が、「携帯電話はこういうものだ」という認識を明確に持つようになりました。そこで、お客様から「こういう商品が欲しい」という声が出てくるようになったのです。

  携帯電話が普通の商品になったということですか。

中村 そうです。そして、お客様が何を望んでいるかということが、キャリアにとって最も重要になってきました。お客様の目線で商品を提供するステージに至ったのです。

変わらぬショップの位置

  商品戦略や顧客戦略が変わってくるなかで、販売の最前線に立つ代理店や販売店の位置付けは変わってきますか。

中村 この2〜3年で大きく変わることはありません。ただ、代理店様の存在感が増してきたことは確かです。最近、代理店様から「このような端末では売れない」とお叱りを頂戴します。お客様と最も身近に接している代理店様の声は大変貴重です。

  代理店施策に見直しはないということですか。

中村 大きな見直しはないですが、今進めているチャネル施策に、ドコモショップの立地条件の見直しなどがあります。これから一層厳しくなる競争下で、本当にお客様に来店していただけるのか、ドコモショップの展開政策そのものを考え直しています。
 「マイショップ運動」に代表されるお客様の囲い込みにも注力しています。量販店などの重要性が更に増してくるなかで、ドコモショップとしての付加価値を考えると、「お客様としっかり結びつく」ことが大事になってくるからです。

  とはいえ、キャリアが多額の販売インセンティブを代理店に払うという手法は、間違いなく変わってきますね。

中村 変わりつつありますね。端末の販売価格を下げることでエントリーユーザを増やし、後から回収しようというビジネスモデルは携帯電話の普及期・拡販期には最適なビジネスモデルだったと思います。新規需要が落ち込み、取り替え需要がメインになってきたいま、ビジネスモデル自体を若干修正する必要が出てきているということだと思います。

  
代理店に対しては、地域密着という側面に期待しているということですか。

中村 ひとことで言うのは難しいですが、例えば、地域経済に根差した地場産業との連携など、地元のドコモショップでなければできない、きめ細かいサポートを期待しています。

法人市場にも期待

  御社は、携帯電話の法人市場へ先鞭を付けた実績がありますね。

中村 まだまだ、これからの市場だと考えています。しかし、FOMAが出てきた、無線LANが出てきたということで、ドコモとしてできることが変わってきました。いままではiモードを用いてイントラネットとの連携による簡単なWebの閲覧、メールの読み書きが中心でした。それが最近では「PASSAGE DUPLE(パッセージ・デュプレ)」などの法人向けソリューションにより、企業の固定通信システムとモバイルを連携できるようになりました。法人のお客様は通信を、固定系と移動体系のセットで考えています。技術の進歩によって、固定系システムの中に携帯電話を組み込めるようになったことは、大きなビジネスチャンスでしょう。

  将来展望を語っていただけますか。

中村 NTTドコモでは近くHSDPAが登場し、数年後には最大100Mbpsを目指す「スーパー3G」が実現する見通しです。その後の4Gも視野に入っており、通信技術は常に日進月歩しています。
 また、今まで音声とデータの通信トラフィック収入のみに依存していたビジネスモデルも変えていきたいと考えています。その第一歩が昨年スタートしたiモードFeliCa対応の「おサイフケータイ」です。このトラヒックに依存しないビジネスモデルを発展させることで、新しいビジネス分野を切り拓いていきたいと考えています。
(聞き手・土谷宜弘)

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