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2005年10月号

イー・アクセス
代表取締役社長兼COO
種野晴夫氏
既存サービスの不満足層に選択肢
無限の可能性持つ無線ブロードバンド

「1社がシェア50%を占める市場はやはりおかしい」。モバイルブロードバンドという独自のサービスを旗印に携帯電話事業への参入を目指すイー・アクセスの種野社長兼COOは、現状をこう批判する。

Profile

種野晴夫(たねの・はるお)氏
1948年大阪府生まれ。1974年京都大学工学部大学院電気過程修了後、日本電信電話公社(現NTT)に入社。84年第二電電(現KDDI)の設立に参画。98年代表取締役副社長に就任。2002年シュローダー・ベンチャーズにアドバイザーとして参画。03年イー・アクセス代表取締役COOに就任。05年1月より現職

  携帯電話事業に参入しようと決意するにいたった経緯を教えてください。

種野 もともとADSL事業を手がけていますから、その延長として光という選択肢は、当然ありました。しかし、現状では光ファイバーには採算性の上で難しい問題があります。他方、ワイヤレスブロードバンドは無限の可能性を持っています。光と無線の両方を同時に行うだけの余裕はないなかで、無線にリソースを集中しました。

  ADSL事業はどう展開しますか。

種野 ブロードバンドユーザーがすべて光に行くという人がいますが、そうではありません。大部分の人は料金や申し込みやすさを重視するので、マーケットはまだ十分にあると考えています。事業選択としてはADSL事業を堅持し、次にワイヤレス事業に注力します。今すぐ光事業に資源をつぎ込むつもりはないということです。日本全国を光化するというのはフィクションです。そんなことをやろうとしている国はありません。

  ワイヤレスブロードバンドの無限の可能性とは。

種野 世界の無線機器メーカーが競って新しいシステムを開発しており、速度も固定系に遜色ないほど速くなってきます。端末も無限に多様化します。コンシューマー向けに多彩なコンテンツを流すなど、新しいサービスが可能です。さらに法人市場はまさにこれから本格化するわけで、米国の携帯情報端末「ブラックベリー」のようなものが、日本でも人気が高まると思います。

  通信そのものが、ワイヤレスやモバイルに重点が移りつつありますね。

種野 私もDDI時代から移動体通信事業にずっと関わってきましたが、8兆円の市場に3社しかなく、しかも1社のシェアが50%を超える状態は異常です。電波という参入障壁で競争相手が出てこないからですが、経済理論からいうと料金やサービスの面でアンハッピーな人が必ずいるはずです。そういう人のために、私たちはもう1つの選択肢を提供したいのです。

市場に成長の余地はある

  携帯電話・PHS加入者はすでに8700万を超えており、新規参入は多すぎるという意見もあります。

種野 飽和に近づきつつあることは確かですが、まだ成長の余地はあります。日本の普及率は70%程度ですが、海外では1人が2〜3台所有することで100%を超えている国もあります。確かに、日本の携帯電話市場は競争を経て結果的に現在の3社になったという意見もあります。新規参入により新しい競争が起きれば、業界が再編されるかもしれませんが、それは市場が決めることです。

  携帯電話事業への参入スケジュールは。

種野 今年12月の免許取得後、本格的に建設に着手する計画です。2007年3月にデータ通信、08年2月に音声サービスを開始します。データ通信は東名阪中心ですが、08年3月時点でエリアの90%確保を目指しているので、音声は全国エリアが対象になります。
 現在、ネットワークインフラの建設に向けて準備中です。実験段階の主要ベンダーは富士通と米ルーセントですが、最終段階では変わる可能性もあります。端末メーカーは、国内外の5〜6社になる予定です。

  事業上で当面、目標とする数字は。

種野 市場全体で売り上げ10兆円、加入者1億の規模があります。あと1000万ちょっとなので、突拍子もない数字ではありません。その中で当社は長期的に10%のシェアを目指します。

  投資額はどれぐらいになりますか。

種野 3000億円投資する予定です。ファイナンスは資本金で1000億円集め、あとは銀行借り入れとリースです。機器はほとんどリースでできます。ただ、設備投資資金に加えて、端末の奨励金など運転資金も必要になります。私たちは資金を集めればよいという考えではなく、事業の可能性に共鳴し賛同してくれるパートナーを中心にしたいと考えています。

  先に250万人を獲得した事業者が追加の5MHzをもらえる仕組みですが、秘策はありますか。

種野 奇策はありません。オーソドックスなサービスを発表して、顧客を獲得したいですね。W-CDMAなので最初からHSDPAで高速サービスを始めたいと思います。

  ソフトバンクは400万以上いる無線LANの加入者を携帯電話に移し替えようという作戦のようですが。

種野 当社も既存の200万ユーザーに対して、いろいろなサービスによる働きかけを考えています。よい端末を出して、リーズナブルな値段で250万加入を早期に獲得するのが基本戦略です。最初は5MHzしかないので、データカードのようなものしか出せず、一気には数はとれないでしょう。250万という数字は高いハードルですが、端末機器で工夫すれば可能です。

  イー・モバイルならではの携帯電話事業のイメージを教えてください。

種野 デザインや機能、提携コンテンツ、法人向けなど、端末にいろいろなフューチャーを持たしていきたいと思っています。

端末は知恵

  ユーザーは端末でサービスを受けるわけですから、端末開発は重要です。メーカー選定は順調ですか。

種野 まあまあの線ではないかと思います。いろいろな基準で選考すると、自ずと絞られてきます。私は「端末は知恵だ」と言っています。いろいろなアイデアを盛り込まなければなりません。かといって特殊なものを作ると売れないので、汎用品でありながらユニークな端末を作りたいと考えています。

  ワイヤレスジャパンに出展した、コンシューマー向けのデータ通信端末がひな型ですか。

種野 コンシューマー向けには、データ通信にポイントを置いたハイエンドの端末と、コンベンショナルな端末の2種類を考えています。イー・モバイルならではの、データ通信ができるユニークな端末を作っていきたい。そのためには、早く10MHzをもらわないと。道路でいえば1車線しかないのに「高速データ通信も音声も」と言われたら事故を起こしてしまいます。相手は3車線ですから、競争しても勝ち目がありません。

  コンシューマーは移り気ですが、法人はクオリティをきちんと確保すれば応えてくれますね。

種野 企業ユーザーはそうですね。企業にはソリューションとして提供していくので、どこかと組まなければならないという難しさがあります。法人向けは息の長いサービスなので、SI力、ソリューション開発力を持ったパートナーと組んで順次開拓していきたいと考えています。

  既存の事業者では、ボーダフォンがMVNOへのネットワーク開放を明らかにしました。MVNO事業はどう見ていますか。

種野 英ヴァージンのようなブランド力を利用したモデルもありますが、まずはエンド・ツー・エンドのサービスをISPと組んでやっていきたいですね。幸いADSLのホールセール事業のなかで良いパートナーが多数いますので、ADSLとモバイルをシームレスに結んだサービスを提供していきます。

  NTTドコモなど既存事業者に対しローミングを希望しましたが、その後の状況は。

種野 正式な返事をもらう状況ではないので、現在はローミングはないという前提で設備投資計画を立てています。

  今後、ローミングの可能性は。

種野 3Gではローミングが標準化されているので、その通りにきちんと作ってもらえれば技術的に問題はありません。あとは経営方針として認めるかどうかです。既存の事業者にすれば、敵に塩を送りたくないというのが本音でしょう。加えて、既存事業者のネットワークが標準に沿って作られているかどうかという実務的問題は、実際に交渉してみないとわかりません。

ソフトバンクはパートナー

  他の新規参入事業者についてはどのように考えていますか。

種野 追加5MHz幅をどちらがもらえるかという点でソフトバンクはライバルです。しかし、新規参入事業者同士の競争は市場の発展に必要であり、良いことと思います。また、既存の事業者や総務省と交渉するときは共同戦線を張れるはずです。ソフトバンクとは戦いだけではなく、既存事業者との戦いではパートナーとなるでしょう。

  WiMAXも始めるというアナウンスですが、どういう位置づけですか。

種野 補完的なサービスと考えています。WiMAXの技術が進展して値段も安くなれば、インフラを作り、空港やホテルなど都市部の込み合った場所でW-CDMAを補完する形で使っていきます。
 もう1つ、WiMAXだけの事業者が出てくると思うので、連携を組んだシームレスなサービスの展開も検討したいですね。そのためには、端末が両方に対応しなければなりません。まだ標準化の段階なので、どの周波数が割り当てられ、どういう技術が出てくるか勉強しているところです。

  御社にはADSLのホールセール事業のノウハウがあります。その強みを携帯電話事業にどう生かしますか。

種野 全国に持っている販売網やブロードバンド・バックボーン、カスタマーセンターやテクニカル・サービスセンター、ISPとの関係を利用してMVNOモデルの成功を目指します。全国ネットワークをすでに持っているので、そこに無線をぶら下げればできあがります。

  来秋には番号ポータビリティ(MNP)が始まります。その後で新規参入するわけですが、悪影響はありませんか。

種野 新規参入事業者にとって、MNPは必須だと思います。キャリアを変えるときに番号が変わるのは制約条件になりますが、その障害がなくなるので、新規参入はやりやすくなります。海外では、すでに実証済みです。制度を導入してから定着するまでには時間がかかるので、先にMNPが始まってもマイナスの影響はないと思います。

  長く通信事業に携われて来られたわけですが、この事業の開始にあたって、どういう思いですか。

種野 かつて新電電だった通信事業者もかなり保守的になっていると思います。イー・アクセスはとても若い人が多く、夢を持ち、進取の意欲にあふれています。日本の通信を再び活性化するためにも、若い人が夢を持つような会社を作りたいと思います。
 しかも、コアメンバーは通信事業の経験者が多く、手法はオーソドックスです。通信は公共事業の一種ですから、赤字にしてはなりません。きちんとコスト管理をして収益を上げる会社にしたいと考えています。
(聞き手・土谷宜弘)

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