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2007年7月号

総務省
総合通信基盤局 電波部長
河内 正孝氏
2.5GHz帯BWAは新規参入に期待
携帯電話とは違う発展の道を

高速移動通信の2.5GHz帯の免許方針で、総務省はドコモ、auなど既存携帯電話事業者を外すという予想外の決定を下し注目を集めた。
河内電波部長はその真意を「競争促進を促すことで市場を育て真に国民のためになるような創意工夫のあるサービスを事業者が提供できるようにしたい」と述べる。

Profile

河内正孝氏
(かわうち・まさたか)
金沢大学大学院工科研究科電子工学修士課程。1978年郵政省入省。97年電気通信局電気通信事業部電気通信技術システム課長。99年放送行政局放送技術政策課長。01年総務省情報通信政策局技術政策課長。02年総合通信基盤局電波部電波政策課長。04年信越総合通信局長。05年独立行政法人情報通信研究機構理事。06年総務省総合通信基盤局電波部長

5月15日に2.5GHz帯へのBWA(Broadband Wireless Access:広帯域移動無線アクセスシステム)導入についての免許方針案が公開されました。第3世代(3G)携帯電話を展開している事業者は直接関与できない内容になっています。意図をお聞かせください。

河内 モバイルのサービスについては、非常に多くの方が意欲を持っています。そこで、新規参入を重視し創意工夫されたサービスが展開されるようにしたいと考えました。意欲のある新規参入に対して枠を準備するというのは、市場を育て多様なサービスを国民に提供する我々の責務だと思います。
 既存の3G事業者はすでに800MHz、1.5GHz、1.7GHz、2GHz帯など非常に多くの周波数を使用している。将来的には700MHz、900MHz帯も出てきますし、第4世代(4G)に向けても周波数を用意します。すでに3G、3.9G、4Gと発展していく道筋が出来ている。それらの事業者が2.5GHz帯も含めてすべての移動通信サービスを提供していくのか、という疑問がありました。それでは市場の活性化につながりません。
 ただ、技術力や事業ノウハウのない会社だけでは本当に市場が育つか心もとないという議論も当然ありました。そのため、3G事業者であっても出資比率が3分の1以下であれば協力・関与することができるようにしています。決して3G事業者を排除するものではありません。

BWAはデータ通信に主眼を置いたシステムですが、すでに市場には3Gビジネスが根付いています。期待された無線LAN(ホットスポット)も苦戦しています。事業として成り立つ勝算はどれほどあるのでしょうか。

河内 すでに1億以上の携帯電話・PHSユーザーがいる中で始めるわけですから確かに厳しい競争環境にはなるでしょう。しかし、BWAには例えば無線LANよりもっと広域に低コストでエリアをカバーできるなど新しい技術が持つ強みがあります。
 また、今回3G事業者が直接関与できない方針になったことには、BWAは携帯電話とは異なった発展をして、新しい需要を開拓してほしいという思いもあります。
 携帯電話はどうしても音声がメインです。データ通信の高速化においても、音声を強く意識しながらシステムを作ることになります。
 それに対して、BWAはよりデータを重視したものになるでしょうから、IP、インターネットのようなコンピューティングがベースになると思います。携帯電話のような垂直的な構造ではなく、もっと水平的に、その上でMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)も含めた多様なビジネスが伸びていくような市場の発展を期待しています。MVNOについては、具体的にどう展開するのかの計画提出を審査要件にしています。「MVNOは受け入れない」では審査に通りません。

5年以内に、各管轄管理局エリアごとの人口カバー率50%という規定があります。新規参入にとっては高い障壁となるのではないでしょうか。

河内 携帯電話の際には同様の規定で、3年で50%としていました。今回は新規参入を意識して5年で50%に設定し、じっくりとエリア展開をしてもらおうと配慮をしました。

移動体利用のための全国免許を30MHz幅ずつ2社に割り当て、固定利用のための10MHz幅を地域ごとに1社に割り当てとなりました。なぜこのように落ち着いたのですか。

河内 1社当たりの帯域を狭めれば、もっと参入事業者を増やすことはできます。しかし、ガードバンドが増え、トータルの電波効率は低下します。また、ある程度のスピードを確保し魅力あるサービスを展開するには30MHz幅が必要だと判断しました。
 地域免許を設定したのは、自治体をはじめとした非常に多くの方々から「地域を重視した固定的な利用について配慮して欲しい」という意見を頂いたことによります。当初は移動体中心に技術的な検討を行っていたため少し遅れてしまいましたが、現在、固定利用についても技術検討を進めています。
 移動の場合はすべての面を網羅的に埋めなくてはなりませんが、固定の場合は必ずしもそうではない。10MHzの幅があれば需要に応えられるのではないかと考えています。

地域向けの固定利用は「ブロードバンド・ゼロ地域解消」という総務省の大テーマにも合致していますね。免許申請はどのようになりますか。

河内 免許単位は、基本的には市町村ベースです。ただ、ある程度広域で複数市町村をまとめての免許申請も可能です。
 地域的な利用という部分をかなり意識しているため、実際に免許申請を受けて審査をする際には地元の自治体の意見を聞くことになります。ビジネスを展開するにあたって、自治体との連携は重要になるでしょう。

今後のロードマップを教えてください。

河内 6月15日締め切りのパブリックコメントを参照し、移動系の開設指針や固定系の免許方針を決定。その後、免許事業者の募集となります。
 移動体利用はおそらく多くの事業者が免許申請をされると思います。3G事業者も出資比率が3分の1以下であれば問題ないのでフォーメーションを組んで出てくるでしょう。比較審査の要件に基づいて審査し、秋には最終決定したいと考えています。
 固定は地域ごとにバラバラと出てくると思います。一気に日本中埋め尽くすということではなく、希望があったところから順番に決定します。

アナログテレビ終了後に空くVHF/UHF帯の再配分計画が5月17日に発表されました。移動体向けマルチメディア放送に32.5MHz、防災用の自営通信に32.5MHz、携帯電話用に40MHz、ITS(高度道路交通システム)に10MHz幅となっています。

河内 VHF/UHF帯については、情報通信審議会において、どういう用途を希望するか募集した提案を整理して4つの用途にくくり、それぞれに周波数を割り当てる利用方策を作成し、パブリックコメントをかけています。具体的なシステムは今回決めていません。大枠を決定しないと各論が進まないため、まず大枠を決定したということです。周波数が空くのは2011年もしくは2012年以降となりますので、各用途ごとにじっくり検討・準備を進めていくことになります。
 移動体向けマルチメディア放送は、MediaFLOやデジタルラジオをはじめ多くの提案を頂いています。今後は放送部局が新ロードマップを策定していく形になるでしょう。
 自営通信は、警察や消防、自治体やJRの災害対策など公共的な用途のことです。現在それらの機関は画像伝送用のチャンネルを持っていませんが、災害や事故の際に現場の絵を確認したいという要望が高く、国民の安心・安全は非常に重要ですので、このように意見がまとまりました。
 携帯電話については、現在進んでいる800MHz帯再編時に空く40MHz幅とペアで使用する形です。現段階で技術方式や免許方針は白紙です。実際に使用できるのは2012年以降のため、現時点で決めてしまっては時代遅れのサービスになる可能性が高い。非常に使い勝手が良いと言われている帯域なので、皆さんが有効に活用できるよう配分したいと思います。

今年の電波部の大きなミッションは他にどういったものがありますか。

河内 電波法の改正ですね。使い方を柔軟にしようという意図を盛り込んだ内容を提出し、国会で審議中です。大きく3つの改正点があります。
 まず1つめは、実験局の定義です。これまで実験局というのは研究開発のための局でしたが、その定義を広げ、デモやイベント、モニター募集など、技術だけでなく社会実験にもどんどん使っていただこうという考えです。実験局というのは電波使用料も安く、空いている周波数帯をフレキシブルに使用できる。お試し的なことを簡単に可能にすることで、ビジネスにトライしやすくするという意図です。
 2つめは二次取引です。これまでは免許人以外が与えられた電波を使用することは認められていませんでした。今回、パワーの低い簡易無線局のようなものについては、契約を結んできちんと指導することで、免許人以外が使っていいことにしようとしています。例えば、スキー場では普通のトランシーバーはあまり距離が届きません。簡易無線ならば何kmも届きますので、吹雪の時でも連絡を取ることができるでしょう。免許人と運用者を分けることを可能にし、無線局レンタルなどビジネスとして取引してもいいということで進めております。この制度は災害時にも適用し、柔軟な電波利用を可能にします。
 3つめは紛争処理です。現在、ビルの上に複数の事業者が無線局を設置する際など「この距離だと電波妨害が起きる」などの紛争が多い。明確な基準が存在しないため、なかなかスピーディなサービス展開ができなかった。そこで、接続トラブルを仲裁する電気通信紛争処理委員会の仕事の幅を広げ、置局時の問題についても斡旋・仲裁できるようにしました。これにより、素早いエリア展開を実現できるでしょう。

FMC実現方法の1つとして、携帯電話事業者のフェムトセル(小型基地局)が話題になっています。現在の法体系ではその1つひとつについて許可を取らなくてはならず、非常に面倒ではないでしょうか。

河内 フェムトセルの潜在需要はあると理解しており、処理を簡易にできるよう前向きに考えています。@数をまとめて許可する包括免許、A無線LANと同じく免許不要局にすることなども考えられますが、具体的な検討については事業者の導入に向けた検討状況も踏まえて適切に対応したいと考えています。

次世代モバイルというと4Gが次のポイントになると思いますが、どのような段階ですか。

河内 現在は、ITUでどれぐらいのスピードでどのようなサービスを展開するのかなど要件の洗い出し段階です。それが固まれば技術方式の議論になるでしょう。
 周波数帯については、今年の10月に行われるWRC(World Radio-
communication Conference:世界無線通信会議)で議論が進められると思います。4Gは非常に多くの帯域を必要とするため、日本としては3GHz以上でなるべく広い周波数帯域を確保したいのですが、世界各国ではようやく3Gを始めた段階で、4G導入はまだ先という意識がある。理解を深めて頂けるよう努力します。
 早い段階から4Gの周波数と技術を用意して、2010年頃の標準化を目指します。国民の利便性を第一に考え、需要が来た時に「ありません」ということのないよう縁の下で準備しておきたいと考えています。
(聞き手・土谷宜弘)

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