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2002年2月号

東京通信ネットワーク:白石智 取締役社長
270万のマイライン登録を礎に
FTTH、CDNの事業展開を急ぐ

巨大資本の東京電力グループがFTTHサービスに本腰を入れ始めた。同グループの一員として設立以来15年間、総延長約7万kmの光ファイバー網を駆使して通信事業に取り組んできたTTNetも、東電と一体でFTTHY/ブロードバンドコンテンツの実証実験による次世代を見据えたサービスの検証をしている。さらに同社では、アクセス系プラットホーム事業に加え、今後コンテンツ配信事業に乗り出し、ブロードバンド市場での躍進を狙う。同社の舵取り役、白石智社長に事業課題と今後のブロードバンド戦略を聞いた。

Profile

白石智(しらいし・さとし)
1960年東京大学経済学部卒業、東京電力入社。91年燃料部長、93年取締役、96年常務。99年TTNet副社長・電話営業本部長、2000年同お客さま本部長を経て、2001年6月に取締役社長に就任。35年生まれ。福島県出身。

――昨年6月に岩崎克己前社長(現会長)からバトンを渡されて半年が経ちました。まず、この半年間のキャリアのメーンイベント、マイライン営業について総括いただけますか。

白石 当社の事業エリアは関東地域に限られていますが、電話サービスは全国にまたがって双方向で提供されるわけですから、マイライン営業ではエリア外との往復がない点で電話事業の難しさを改めて実感させられましたね。
 マイライン開始前の契約上の回線数は290万程度だったのですが、ユーザーは他社の電話と使い分けており、実質、東京電話で収入を得られる加入回線数は約215万回線でした。当社では4つの登録区分すべてを1社で完結できる点を差別化ポイントに、登録獲得目標を関東エリアの約2割の400万回線に置いて、総力戦で取り組んだのですが、残念ながら12月時点で約270万回線と目標を下回りました。

――その結果をどう評価されますか。

白石 目標400万回線に対して270万回線ですから、それだけをみれば、だいたい75点といえますが、ユーザーが主体的にキャリアを選択するマイライン登録は、確定的な顧客の獲得であるという点に意味があります。今回の登録ユーザーが当社の確実な顧客となったと位置付けており、以前に比べさらに60万が加わったわけです。実は、あれほど熾烈な営業合戦を展開した背景がこの点にあり、次の事業展開に寄与するベースと考えているのです。

法人部門をパワードコムに移管

――今期2001年度の事業実績の見通しはいかがですか。

白石 売上高は前年度比でほぼ横ばいの1800億円ですが、経常利益では45%減の20億円程度となる見通しです。マイナスの主要因は、やはりマイライン登録獲得に向けた熾烈な料金競争による通話料値下げと販促費の投入です。また、3年前から採用したLCRアダプターの出荷総数370万台の費用一括償却を今期中間決算で特別損失として処理しました。
 一方で、昨年10月1日付けで東名阪の電力系NCC3社各社のIPサービスおよび専用線サービスの法人販売業務を分離し、グループ会社のパワードコム(旧PNJコミュニケーションズ)に移管したことから、これらのサービスについては、2001年度下期からパワードコムが提供することになり、当社はその足回り回線サービスを担うことで事業内容が大きく転換しますが、収入面では大きな変化はありません。

全国一元化に布石打った

――TTNetにとってパワードコムとの事業連携はどう位置付けられるのですか。

白石 当社の企業ユーザーは関東エリアだけでビジネス展開をしているわけではありませんから、パワードコムの全国ワンストップショッピング提供による販売増で、設備を提供する当社の収益も増加すると見込んでいます。法人向けのデータ通信サービスが、これから本番を迎える中で、パワードコムの光ファイバー網をベースにした広域LANサービスやIP-VPNサービスなどが本格展開していくだろうとみています。

――キャリア間競争も厳しくなってきますね。

白石 これまでの専用線サービスの利用企業を次のIPサービスに継続していくためにも、地域に限定した体制のままでは他の全国ベースのキャリアとの競争で振り落とされてしまいます。金融機関や製造業界などの大半は東京本社に経営の中枢があって、全国の事業所あるいはグローバルな展開をどう効率化していくかが最大の経営課題となっています。こうした状況に対して電力系NCC各社が危機感を抱き、解決策を形にしたのがパワードコムなのです。業務を分離・移管したというより、むしろパワードコムを軸に全国電力系NCCの一体化に向けて一歩踏み込んだといえます。

――企業向けサービス展開の当面の課題はどんな点ですか。

白石 ユーザーの窓口になるパワードコムがサービス部門を担い、電力系の各地域会社が設備部門を担うわけですが、それぞれの経営判断のもとで事業運営されることになることから、あたかも1社で利益をあげるような事業体制の一元化が大きな課題になります。

――具体的な打開策はあるのですか。

白石 スピード本位の市場でその実現に何年もかけていられません。全国一社体制の構想はあるのですが、今回は、当面東名阪を先行させ、いずれは全国一貫経営を前提に検討を続けて、数年後には実現したい考えです。

――今後、経営課題として残るのが電話サービスとPHS事業ですね。

白石 今回のマイライン登録で3割程度増えた東京電話ユーザーについては、顧客対応やサービス品質の改善により定着を図り、収益を維持したいと考えています。今後はIPベースの電話への取り組みが課題です。昨年に法人ユーザー向けと個人ユーザー向けサービスの検討を開始しましたが、技術的な条件をクリアしたうえで、事業性を見極め、早期のサービス開始を目指します。

アステル事業が正念場

――PHS事業のほうはどのような状況なのですか。

白石 99年4月にアステル東京を吸収して以来、事業立て直しに取り組んできました。2000年夏に方向転換をして、新規契約は法人ユーザーに特化したほか、インターネット接続サービス「ドットi」端末やPDA対応のカード端末などに注力しましたが、経常ベースで2000年度が113億円の赤字、今期は80億円台の赤字に縮小するものの、単年度黒字化のめどは立っていません。昨年末の全契約台数は30万台程度と、97年末当時の62万台の半数を割っている状況です。

――DDIポケットのような卸売り事業(MVNO)の可能性はありますか。

白石 検討はしていますが、携帯電話との競争が前提ですし、提供地域の需要動向をみても事業的に簡単ではないと思います。

――マイライン後の次の一手として、ブロードバンド事業についてはどういう戦略で取り組んでいるのですか。

白石 昨年7月に東京電力と共同で、最大伝送速度100MbpsのFTTHインターネットの試験サービスを開始しました。東電グループが保有する光ファイバー網を活用して、東京都大田区の300世帯に提供しています。
 実験では、ブロードバンド利用状況や技術的検証のほか、FTTH網を利用した自動検針や電力モニタリングの実現手法などを検証します。また、吉本興業などの協力を得てバラエティや音楽、映画などの娯楽系コンテンツを提供しているほか、東京急行電鉄の協力で渋谷区の地域情報なども配信しています。
 さらに当社では、ブロードバンドコンテンツの配信実験を東京電力グループ各社とともにFTTHのみならず、ADSLや無線LAN、CATVによる高速インターネットアクセス手段も用意して行っています。今回の実験では、モニターにIDとパスワードを発行してマーケティングデータも収集しています。こうしたデータを蓄積するのも、実証実験の狙いの1つです。
 こちらからアクションを起こさないとモニターは視聴してくれないことも分かってきました。マーケティング手法としては、メールで情報をプッシュすることも考え、ライブ映像などを中継する場合は事前の告知が有効になるといえます。
 東電も今後の重点事業の1つとして情報通信インフラ構築に取り組んでおり、FTTH整備に必要な先行投資として、5年間に約650億円を見込んでいます。ISPとしての当社の立場は、イコールフッティングである卸売りFTTH網を利用したサービスを小売りする1サービスプロバイダーですが、同じグループ企業としてこのFTTH整備をどういう体制で推進していくか検討を重ねているところです。

アグリゲーター機能は協業で

――アクセス系からデータセンターをベースにしたプラットホーム以外に、さらに上位のコンテンツの分野についてはどのようなビジネス展開を考えていますか。

白石 コンテンツアグリゲーターの領域は専門のノウハウを持つパートナーと連携していくほうが賢明だと考えています。事業展開のテンポが著しく早い市場では、機動性がビジネスの命運を分けるからです。
 当社としては、エンドユーザーのところの料金回収といったビジネスのほうが手がけやすいことから、今後CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)を提供するキャリアとしてコンテンツ配信事業に参画したいと思っています。

――しかし、ブロードバンドコンテンツの世界は、今後の展開が読みにくいですね。

白石 ええ。どのキャリアもコンテンツ分野のビジネスモデルとユーザーニーズを掴み切れず、キラーコンテンツが何か、ブロードバンド時代の生活様式はどうなるかといったビジョンはまだ見つかっていないようです。やはり供給側が頭で考えたものより、使い手側から答えが出てくるユーザーオリエンテッドな感覚を重視しなければなりません。

(聞き手・小野憲男)

用語解説

●CDN
Contents Delivery Network:プロバイダーやコンテンツ配信業者がサーバーをネットワーク内に複数設置し、ユーザーにとって最適なサーバーに接続する仕組みを提供する。ブロードバンド時代のコンテンツ流通を支えるものとして注目集めている

●IP-VPN
Internet Protocol-Virtual Private Network:公衆網をあたかも専用線のように使うVPN(仮想閉域網)をインターネット上で構築した仮想の私設通信網

●パワードコム
TTNet、OMP、CTCの3社から専用線(高速デジタル、ATM)、インターネット接続サービス(TTCN、WCN、CTCN)、ぺネリンク専用サービス、マルチアクセスサービスを承継。全国中継網により法人ユーザーに一元的なデータ通信サービスを提供する。種市健社長。資本金449億5800万円(東京電力32.06%、関西電力18.76%、中部電力13.26%、三井物産6.13%、三菱商事6.13%、住友商事3.25%、大阪市3.11%など)。従業員数540名。http://www.poweredcom.net

●MVNO Mobile
Virtual Network Operator:自らはインフラを保有せず、周波数を保有する事業者から卸値で仕入れた回線に、課金処理などの付加価値をつけて携帯電話・PHSサービスを提供する移動体通信事業者

●コンテンツアグリゲーター
aggregateは集合させるの意。コンテンツを収集・編集し、インターネット接続事業者(ISP)と契約して配信する仲介事業者。付随して著作権管理、決済・課金代行などを行う
 

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