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2002年3月号

メディア:笠牟田建二 代表取締役社長
「中継IP電話網=コスト削減」とは限らない
既存技術の効率活用で6円電話は実現できる

新興キャリアの攻勢やマイラインサービスの登場によって値下げ競争が繰り広げられてきた電話市場で、さらなる“価格破壊”が起こっている。メディアは2002年1月30日から、市内から県内・県外・国際までのフルレンジでサービスを開始。その料金は3分8.2円に加え、市内なら6円で2分間話せるメニューも用意した。同社の笠牟田建二代表取締役社長は「まだまだ安くすることができる」と語る。電話業界の台風の目となるか――笠牟田社長に安さの秘密と今後の事業戦略を聞いた。

Profile

笠牟田建二(かさむた・けんじ)
1986年東京大学工学部卒業、神戸製鋼所入社。89年国際デジタル通信(現C&W IDC)入社。97年ケイツゥ・コミュニケーションズ設立、代表取締役社長就任。2000年12月メディア設立、代表取締役社長に就任。59年生まれ。宮崎県出身。

――1月30日からサービスを開始されましたが、ユーザーの反応や手応えはいかがですか。

笠牟田 サービス開始当日、新聞の朝刊に「6円電話サービススタート」と広告を展開したのですが、これを見た一般消費者からの問い合わせ件数は、記者会見でマスコミに取り上げられた時に企業や業界関係者から寄せられた件数とは比べものになりませんでした。
 コールセンターは100%以上の稼働率で、Webサイトからの登録件数も、当日までコツコツと獲得してきた件数を朝のわずか数時間で上回りました。サービスイン直前まで一般消費者向けには広告宣伝をしてこなかったものですから、これで少しは周知が図れたのかなと安心しているところです。

――サービスメニューの概要を説明していただけますか。

笠牟田 市内から県内・県外・国際までカバーする電話サービス「えむ電」と、直収型のIP統合サービス「Mライン(メディアライン)」の2種類があります。
 えむ電は、アクセス番号「0060」のマイラインを対象としたもので、短距離・短時間通話のお客様向けに6円単位で課金する「6円電話」プランと、長時間・長距離通話のお客様向けに3分単位で課金する「3分電話」プランからなっています。
 一方のMラインは、主に法人をターゲットとしたもので、光ファイバーをお客様側に直接引き込むことで、NTTの加入電話と同等なIP電話や、最大100Mbpsのインターネット接続環境を提供しています。電話に関しては、4円単位で課金する「4円電話」プランと、3分単位で課金する「ハドソン電話」プランを用意しています。

――電話サービスにおいて複数の料金プランを用意した理由は何ですか。

笠牟田 統計上は73%の利用者が2分以内で通話を終え、54%が1分以内で終えています。つまり、3分課金では1分間無駄に料金を支払っていることになります。こうした状況を考えて、ユーザーが利用形態に合わせて料金を選べるようにしました。
 また、「電話は10円で何秒間かけられるのか」という比較の仕方がありますが、6円電話という表現なら、10円単位が6円単位に切り替わった、つまりそれだけで大手通信事業者の4割引きの価格なんだ、という情報を効果的にお客様に伝えることができると思ったのです。実際の申し込み状況をみても、6円電話が圧倒的に多いですね。

地域イーサ網ネットに投資する

――えむ電は、昨今話題となっているIP電話ではなく従来の中継サービスをベースとしています。コスト削減効果が高いとされるIPを用いず、既存技術を採用したのはなぜですか。

笠牟田 確かに市場では今、中継IP電話網ベースでサービスを提供することで、電話料金を値下げすることができるかのように思われています。
 しかし、当社の分析によれば、中継電話ネットワークをIP網に置き換えたところで、ネットワークコストの削減効果はあまり期待できないとみています。一般に通信事業者は、売上高を通信時間で割って1分間あたりのコストを算出するのですが、実は交換機部分が占めるコストはさほど高くありません。むしろ、保守・運用のための人件費やインセンティブに代表される営業費のほうが、サービス料金を吊り上げる要因となっているのです。
 IP網を中継伝送路として試験的に導入する程度ならともかく、電話を通すためだけに投資して揃える必要は技術的にもコスト的にも意味がないと考えています。電話サービスで長距離伝送にIPを用いようとすると、今の設備や技術レベルでは音声品質を維持するために保守費用がかさみます。むしろ、従来の技術設備を購入し運用していくほうが安くあがり、音声品質も維持できるというわけです。それに、相互接続のインターフェースとしても、既存の電話網を持っているほうが経済的です。
 また、地域網は光ファイバーの長所を生かせるイーサネットベースで構築することで、通常の電話サービスと同等品質のIP電話を実現しています。このような、優れた設備や技術を選定し、安価に信頼性の高いネットワークを組めるノウハウこそ当社の強みなのです。

サービス展開速度や料金水準で勝算

――マイラインの無料登録期間が過ぎて、現在は登録キャリアの変更に800円かかります。ユーザー獲得の足かせになりませんか。

笠牟田 足かせにならないと言えば嘘になるでしょうね。しかし、新規参入の当社が、昨年の厳しいマイライン競争の中でサービスを開始することは得策ではありませんでした。参入したところで、大手キャリアの広告合戦の影に埋もれてしまったでしょうね。結果的に、他社が派手に広告宣伝を繰り広げたことで、ユーザーのマイラインに対する認識が高まりました。800円かかっても、安い電話が登場すればユーザーは乗り換えるでしょう。
 もちろん、800円を負担に感じるユーザーへの対策も講じます。例えば、ユニクロとのタイアップがそうです。当社のイメージキャラクターであるテリー伊藤さんが選んだユニクロのポロシャツを、加入者の中から抽選で1万名にプレゼントするというものです。登録料分を現金で還元するという方法もありましたが、なるべくなら記憶に残る形で、というのが狙いです。それに、ユニクロには「安くて高品質」というイメージがありますから、当社のサービスコンセプトとも合うのではないかと考えました。

――料金面で他社も追随してくると思われます。そうなると、さらなる値下げ競争が繰り広げられることになりそうですね。

笠牟田 十分あり得ると思います。しかし、サービス提供のスピードや料金レベルで、当社は勝ち抜く自信があります。
 大手キャリアは人件費も設備投資も高コスト構造から抜け切れていないのが実状です。これは、インセンティブも含めた代理店との付き合い方にもあてはまることでしょう。そういった意味で、当社は少数精鋭主義でレガシーなシステムを持ち合わせていない分、大手キャリアよりも有利だと思っています。
 新興キャリアにしても、フルラインナップの電話サービスを低価格で実現するには、ダークファイバーの賃借・光ファイバーの新設による中継網の整備、NTTや携帯電話事業者との相互接続などさまざまな準備が必要ですから、そう簡単には真似できないでしょう。
 それに、当社はまだまだ値下げすることができます。中継網の電話サービスに限ってみれば、年1割弱のスピードで料金水準が下がっていくとみていますが、そういう状況になっても当社は十分に対応することができます。

春にプラン拡充、秋に大阪進出果たす

――2002年にどれくらいのユーザー数を獲得できるとお考えですか。

笠牟田 現在、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の1都3県でえむ電、都内千代田区・中央区・新宿区・港区・渋谷区でMラインを提供していますが、このエリアで50万件は獲得できると考えています。
 秋までに大阪でもサービスを開始する計画ですから、社全体としてはそれ以上の獲得を見込んでいます。そして5年後までに、仙台・名古屋・広島・福岡など、全国主要都市へとサービスエリアを拡大していく方向で準備を進めているところです。
 また、個人ユーザーを対象としたMラインや、着信課金、ダイアルアップなどの新たなサービスメニューを順次投入していく予定でおり、ユーザーの選択肢は今よりずっと充実させていきます。その第1弾として、4月1日には音声VPNサービス、着信課金サービスを開始する計画です。

――ユーザー獲得に向けた営業戦略をお聞かせ下さい。

笠牟田 50人以上の中小法人から大手法人に対しては、直販営業をメーンに考えいています。そして、一般コンシューマーには代理店営業と広告宣伝でアプローチしていきます。
 長期的には、Mラインのような直収型サービスで従来サービスを巻き取っていきたいと考えていますが、今のところMラインが地域限定のサービスで、しかも通信設備工事が不可欠なことから当面はえむ電が先行するだろうと思います。ただ、法人のほうが1件あたりの金額は高いので、収支上は全体の30%程度が法人顧客での売上げになるとみています。

――法人向けの代理店はどのように整備していきますか。

笠牟田 現在のところ、一次代理店として数社とお付き合いしています。あまり増やすつもりもなく、多くても10社程度にとどめるつもりです。従来キャリアのように一次インセンティブに大きく投資することは避け、その分、継続コミッションに上乗せするような付き合いを目指しています。この方針に賛同してくださる代理店と組んで、長期的に両社がWin-Winの関係になれればと思っています。

――今後はどのようなビジネス展開を図っていきますか。

笠牟田 通信業界ではこの1年間、局舎のコロケーションスペースやダークファイバーの開放、光ファイバーを敷いてそれを売る0種キャリアの出現など、競争ルールそのものが大きくドラスティックに変わりました。
 そうした中で、当社としては地域網の電話サービスにこそビジネスチャンスがあると考えており、これを拡充するような投資を行っていきます。中継網における従量制の通信料金は今後も下がり続けるでしょうし、地域網における定額制の収入モデルを確保することが長期的な流れとみているからです。
 昨年9月に有線ブロードネットワークスと業務・資本提携したのもその一環で、これにより、当社の持つ地域網を拡充することができました。次は、他の常時接続キャリアのユーザーでも、当社のMラインによるIP電話サービスを利用できるようなビジネスモデルを構築していきたいと思っています。
 1都3県である程度の実績を残すことができれば、大阪や他の地域でも同様の結果を残すことができると信じています。地域網を満遍なく展開できた段階で、中継網へ設備投資し、全国地域をくまなくカバーしていきたいと考えています。

(聞き手・大谷聖治)

用語解説

●えむ電
(1)「6円電話」の課金体系。
6円で通話できる秒数は以下の通り。
市  内            120秒
県内市外 (〜20km)     90秒
      (〜30km)     60秒
      (〜60km)     60秒
      (〜100km)    45秒
      (100km超)    45秒
県間市外 (〜20km)     90秒
      (〜30km)     60秒
      (〜60km)     45秒
      (〜100km)    30秒
      (100km超)    23秒

(2)「3分電話」の課金体系
3分の通話でかかる料金は以下の通り。
市  内            8.2円
市  外   (〜100km)   18円
       (100km超)   20円

●Mライン
(1)「4円電話」の課金体系
4円で通話できる秒数は以下の通り。
加入者同士          無料
県内市外       6円電話と同じ
県間市外       6円電話と同じ

(2)「ハドソン電話」の課金体系
3分の通話でかかる料金は以下の通り。
加入者同士          無料
市  内            6円
市  外 (〜20km)     10円
      (〜100km)   14円
      (100km超)   18円
 

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