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2003年6月号

パワードコム取締役社長 白石 智氏
電力系の強みを統合で生かす
法人が集中する関東から光で攻勢

4月1日に電力系通信会社の核として
新生パワードコムがスタートした。
白石智社長は、光ファイバーIP網を基盤に
法人向けデータサービス、IP電話に将来を託し
「お客さま第一の事業展開を図る」と抱負を語る。

Profile

白石 智(しらいし・さとし)氏
1960年東京大学経済学部卒業、東京電力入社。91年燃料部長、93年取締役、96年常務。99年東京通信ネットワーク(TTNet)副社長・電話営業本部長、2000年同お客さま本部長を経て、2001年6月に取締役社長。2003年4月1日に新生パワードコム取締役社長に就任。
1935年生まれ。福島県出身

  新生パワードコムが発足しましたが、今回の統合の狙いは何だったのでしょう。

白石 情報通信サービスというものは、本来全国かつ、グローバルでの提供が大前提だと思っています。東京通信ネットワーク(TTNet)発足時は、当時の事情から地域ごとにサービスを行うという形でスタートせざるを得ませんでしたが、IPネットワークの時代になって、地域の枠を超えたニーズが高まり、迅速な対応が要求されるようになると、PNJ(Power Nets Japan)グループ10社の連携だけでは十分対応ができない事態が生じたので、TTNet、中部テレコミュニケーション(CTC)、大阪メディアポート(OMP)のデータ通信部門を分割してパワードコムを設立し、全国規模で法人のお客さま向けに機動的にデータ通信サービスを行えるようにしたわけです。
 しかし、関東の例ですと、サービス販売はパワードコム、設備提供はTTNetという分担でお客さまからみて分かりにくいだけでなく、急速に進展する市場への対応にどうしても意思決定が一歩遅れることになりがちだったので、早急に経営を1本化する必要がありました。

  すると、以前からの構想にあるように、PNJグループ全体の1本化にストレートに向ったほうがより効率的なのではないですか。

白石 そのとおりで、我々もまず、全国の法人市場の7〜8割に対応できる東名阪の3社の統合を視野に入れていました。しかし、CTC、OMPの両社ともそれぞれの事情がありますし、地元の資本も入っていますので、3社統合までには時間を要します。一方で、市場変化の急速な進展もありましたので、国内の法人市場の約半分を占める関東だけでもまず統合したほうが良いという判断をしました。

  では今後は、他の電力系地域会社との統合を進めていくのですね。

白石 必ずしもそうではありません。地域には、それぞれの特性に根差したIPニーズが存在します。そうした需要に対してはむしろ、各地域に密着した地域会社がサービスを提供したほうが、結局のところは効率的ではないかと感じ始めています。
 今回の合併で全国にワンストップサービスを提供する基盤が強化できましたので、PNJグループの連携を一層強化したうえで、地域で完結するニーズには各地域会社が自社の特徴を生かした形で提供していきます。
 この市場は先がまったく見えない世界ですから、将来的なグループ統合については現時点では明確にできませんが、今後、お客さまへの対応の中で「1本化したほうが効率的だ」という判断になれば、そうしたいと考えています。

  今回の合併の狙いである意思決定の迅速化を具体的にはどのように実現しているのですか。

白石 まず役員の意思決定の迅速化が必要ですから、両社で27名いた取締役を8名に減らし、少数精鋭のボード(取締役会)形式にしました。ボードにはCTC、OMPの社長にも加わってもらい、各社との連携を深めました。
 組織面では、法人ネットワーク事業本部、インターネット事業本部、電話事業本部というように事業部制を導入し、サービス・販売ともさまざまなお客さまのニーズに対して迅速な意思決定で対応できるようにしました。

VoIPは光時代の通信手段

  新会社での、各主要事業の内容と位置付けはどうなりますか。

白石 まず、当社の利益を創出していくのは、広域イーサネット、IP-VPNという法人向けデータ通信事業ですので、ここに経営資源を集中させます。電話や専用線サービス、他の通信事業者向けの業務受託は、キャッシュフローを創出する事業として、安定収益が得られるように取り組んでいきます。
 当社の将来性を確保する意味で極めて重要だと考えているのがインターネット事業で、ブロードバンドコンテンツ配信サービス「Powerbroad(パワーブロード)」と絡めて一層注力していきたいと考えています。

  インターネット接続サービス「POINT」ユーザー向けに月額基本料100円、一般加入電話へ全国一律3分7.5円でかけられるという思い切った値段でIP電話サービス「POINT Phone」を5月7日から開始されました。白石社長はTTNet時代からIP電話を指揮されてきましたが、IP電話事業についてはどのように考えていますか。

白石 従来の電話は関東地方限定でしたが、IP電話は全国展開が可能ですので、非常に期待しています。
 個人向けにはPOINT Phoneとして、ADSL、FTTHの付加価値を高めるサービスの位置付けで展開していきます。法人向けにはデータ通信とパッケージ化したトータルソリューションとして提供する予定です。
 インフラは当初はADSLが中心になりますし、もちろん、ADSLのお客さまは大切にしますが、我々は光インフラの会社です。さらに一歩進んでお客さまに対し、これからは光通信の時代ということをアピールし、新しい時代の新しい情報通信の手段としてのVoIPを提案していきたいと考えています。

光の時代はすでに来ている

  FTTHのお話が出ましたが、市場では今年が「FTTH元年」になるという見方がありますね。

白石 ADSLサービスの盛り上がりにみられるように、現在はとにかく速度アップが求められています。ADSLは安くて速度もどんどん向上していますが、やはり上りの速度が遅い、回線が不安定などの制約があり、法人需要には向きません。また、家庭においても、徐々にですが、家族1人ひとりが自分のパソコンを持ってインターネットを利用するようになってきており、ADSLでは高度化するニーズを賄えなくなっています。そういう意味で私はすでに光の時代に入っていると思っています。

  とはいえ、キャリア・ISPともFTTHの訴求ポイントがなかなかうまく見出せていませんね。

白石 よく、キラーコンテンツといわれますが、そういった一発勝負的なコンテンツを狙うのは違うように思います。お客さまの生活の中で何が必要か、ということが大事だと思います。そのためには、我々が何かを描いてお客さまを動かすというのではなく、お客さまが求めるように我々が動いていくことが重要だと思います。
 今の時代は、お客さまが求めるものをいち早く投入していく手法を身につけないと勝者にはなれないと考えています。そのためには、お客さまと一緒になってニーズに合致した商品を創り出すことが重要です。
 迎合するとか媚びるということではなく、お客さまのところにすべてがある、お客さまこそ我々の教科書ということです。お客さまの視点で発想するということを進めていかないと、何が起こるか分からない業界だけに、多分、迷ってしまいます。新会社のスローガンに「Customers First(すべてはお客さまのために!!)」を掲げていますが、こういう趣旨なのです。

技術力のある企業との連携が必要

  販売面ですが、代理店との協調も重要なポイントとなってきますね。

白石 その通りで、特に個人向けの電話事業は数量である程度のシェアを確保しないと成り立ちません。そこで代理店や量販店の協力が不可欠です。
 IP電話についても同じことがいえます。ただ、新しいサービスは常にお客さまの声を吸収していかないといいサービスにはなりません。特にお客さまの本音を聞こうと思えば直販が必要ですので、具体的な方法を検討中です。
 法人の場合は直販がメーンで、1対1だけに自社の営業力がすべてを左右します。最近の企業の情報システム部門の方々は、相当高度な見識をお持ちです。その方々のところに赴いて、「なるほど」と聞いてもらえるようなソリューション提案力を身に付ける必要があります。この場合、自社のSE/営業マンのスキルアップもむろん大事ですが、お客さまの多様なニーズに対応するには我々の技術だけではだめで、パートナー企業との協調が不可欠です。

  パートナーという点では、インターネットイニシアティブ(IIJ)との統合交渉が白紙に戻ってしまいましたが。

白石 期間を延長してお互いに誠意を持って交渉しましたが、合意には至らず、残念ながら3月末で一旦交渉を打ち切ることになりました。しかし、両社の関係はこれで終わりではなく、今後も営業、技術の両面でベストの関係を模索していきます。
 ただ、先ほども申しましたように、IIJのような技術集団との連携は必要だと認識しています。今後も我々が必要とする、あるいはマーケットが必要とする技術をどうやって身に付けるかが経営の大きな課題ですから、IIJ以外でも一緒にやっていける相手がいれば積極的に提携していきたいと考えています。

文化の違いを力に変える

  インターネットの世界では大手通信キャリアといえどもOne of them、FTTHはまだまだ横一線といえます。その中で新生パワードコムのライバル他社に対する差別化ポイントは何ですか。

白石 やはり、全国の光ファイバー網を持った事業者ということだと思います。何を売るにも足回りを自前で持っていることでお客さまに安心感を持っていただけます。設備を持つことは今や負担になるという意見もありますが、我々はこれを生かしていく覚悟です。
 私が強く望んでいるのは、全国の地域会社が当社を上手く利用してくれることです。こういう激動の時代には、グループの先頭に立って旗振りをするという考え方も確かにありますが、地域会社各社の社長は、何が大切で何をすべきかをきちんと理解されています。ですから、我々を介してPNJグループがうまく連携し、1つになって勢力を拡大していければと考えています。

  新しい会社がスタートするわけですが、経営の舵取りをどのように行っていきますか。

白石 パワードコムとTTNetは兄弟会社でしたが、生い立ちも対象市場も違っていただけに、いざ一緒になって仕事を始めると文化の違いが浮き彫りになってきました。しかし、そうした違いをなくしていくのではなく、逆に違いをパワーに変えられる会社にしていくことが私の仕事だと思っています。
 また、一番怖いのは会社とお客さまの距離が遠過ぎることになることです。すると間違いなくだめになります。Customers Firstという気持ちを大切にし、この会社を何としても存在感を認めてもらえる会社にしようと思っています。
(聞き手・藤田 健)
 

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