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2004年7月号

日立インフォメーションテクノロジー
取締役社長
加藤正男氏
コスト削減から業務効率向上へ
ユーザー視点のVoIP化を推進

コンピューター分野からネットワーク、VoIP事業へ踏み出した
日立インフォメーションテクノロジー。
今年4月に社長に就任した加藤正男氏は、
「業務効率向上に本当に役立つツールを提供する」と強調する。

Profile

加藤正男(かとう・まさお)氏
1968年東京大学大学院工学部卒業、日立製作所神奈川工場入社。メインフレーム、レーザープリンター、CMOS、LSI、ネットワーク、UNIXの設計事業に携わる。96年日立製作所オフィスシステム事業部長、98年PC事業部長、99年デジタルメディアグループ副グループ長、2001年常務・CVC室長を経て、02年日立インフォメーションテクノロジー専務取締役。04年4月同社取締役社長に就任

  御社のビジネスはコンピューター分野からスタートして、最近はVoIP市場への積極的な取り組みが目を引いています。まずは事業領域の拡大、注力分野のシフトについて、この間の経緯を知りたいのですが。

加藤 当社は、日立コンピュータエレクトロニクスと日立コンピュータエンジニアリングが合併して、1996年8月に誕生しました。そのため、当初からメインフレームやネットワーク機器の設計、サーバーやソフトウェアの販売、情報系・業務系システムの構築・運用を得意とし、実績を積み上げてきました。
 その一方で、10年ほど前、「これからはルーター市場が伸びる」との予見から、日立グループの中でもいち早くシスコシステムズの販売代理店となり、ネットワーク関連事業に力を入れ始めました。そして現在は、自社ブランドのネットワーク機器も揃えるとともに、「ネットワーク指向のソリューション企業になる」ことを目指しています。さらに、ネットワークを絡めたセキュリティをはじめとした付加価値提案に乗り出そうとしています。

  VoIP分野への進出はどのように取り込んでいったのですか。

加藤 もともと当社は、音声通信分野に関する技術やノウハウは持っていたのです。自社開発のCTIシステム「CTNET-Server」や、日立製作所から事業を引き継いだLAN電話システム「TalkWare」等の製品を開発し販売していたからです。また、シスコシステムズの製品を用いたVoIPシステム構築の実績もたくさんあります。
 こうした経験を生かして、2002年12月にVoIP対応コンタクトセンターシステム「iCTNET」、そして2003年10月には、戦略商品ともいえるIPコミュニケーションプラットフォーム「SIP:OFFICE」をリリースしたわけです。

業務効率向上の鍵はソフトフォン

  SIP:OFFICEを核とした事業展開では、どのような点がポイントとなりますか。

加藤 「企業におけるユビキタス環境の実現」がコンセプトです。エンドユーザーである社員一人ひとりの業務、特に非定型な業務の効率を向上させることが、当社の目指すべきところです。
 そのポイントは、やはり「ユーザーの視点で本当に“使える”ものを提供していくこと」だと考えています。

  というと。

加藤 ベンダー側の論理でいくと、「IPネットワーク」「VoIP」「SIP」といった技術的な要素を強調しがちです。しかし、ユーザー側にとって、それらは決して重要ではありません。音声をアナログで運ぼうがIPで運ぼうが、単なる電話の置き換えであればユーザーは、どちらでも関係ないのではないでしょうか。
 例えば携帯電話は、IPでなくても急激に普及しました。つまり、「いかに利便性が高いか」「どのように業務効率が上がるのか」ということが、ユーザーの求める本質だと思います。
 これを受け止めるベンダー側としては、結果的にIP技術をベースに選んだわけです。そして、確かにIP技術は企業の通信コスト削減という効果をもたらしています。しかし、当社はそれだけに止まらず、次のステップとして、企業内のエンドユーザーに、はっきりIPによって得られるメリット、「変わったという感覚」とをきちんと示していこうと考えました。

  具体的にはどういったソリューションを提供していくのですか。

加藤 まずは、基本機能の1つであるVoIPによって、電話の世界に従来からある潜在的な課題を解決します。
 従来の電話は、電話機につないだだけで、かけたい人につないでいなかったのです。不在でつながらない電話、何分も待たされる電話の取り次ぎ、あるいは離席や外出によるかけ直しや折り返し作業は、今まで当たり前のことでしたが、明らかに業務効率を低下させているのです。そこにVoIP技術を適用すれば、相手の状況に応じて電話、Eメール、インスタントメッセージ等を使い分け、さらに、テレビ電話/会議やデータ共有、コラボレーション機能を使うことで、本当に電話をかけたい相手と円滑で質の高いコミュニケーションを実現できるのです。
 そうしたツールのベースとなるのが、SIP:OFFICEで提供しているソフトフォンです。当社では今、自らのユビキタスオフィスでの利用経験を蓄積しながら、ソフトフォンによる業務効率向上の効果を積極的にアピールしているところです。
 これに加えて、グループウェアをはじめとしたアプリケーションとの連携も進めています。すでに自社内でLotusノーツとの連携システムを運用していますし、他のアプリケーションベンダーとも接続検証を行っています。

  この5月には、NTTコムウェア東海との協業を発表しましたね。

加藤 ええ。NTTコムウェア東海さんは自社ブランドの優れたVoIPシステムを持っているのですが、それを補完する製品としてSIP:OFFICEの販売を手がけていただけることになりました。併せて、同社が開発した「通信費分析システム」と組み合わせた付加価値提案を行っていきますし、今後さまざまなアプリケーションの開発を共同で進めていきます。

  そうした展開は、アプリケーションベンダー側にとっても大きなビジネスチャンスになりますね。

加藤 そうです。当社としては、他社製品を組み合わせたネットワークインフラにSIP:OFFICEをプラスした仕組みの上で、多くのパートナーがさまざまな付加価値を創造してくれればと思っています。それによってユーザー側のメリットも高まっていくわけですからね。

  VoIP関連ビジネスの次の展開について何かお考えですか。

加藤 SIP:OFFICEを汎用的なプラットフォームとすると、オフィスではない特定の分野に向けた音声・データ統合ソリューションを展開できると思っています。実際、そうしたビジネスの掘り起こしについて、あるパートナーと具体的な話を進めているところです。

ユーザーと「第3のパイプ」を作る

  今後、VoIP事業を拡大していくうえで、課題をあげるとすると何ですか。

加藤 製品的には、他社に負けないものができたという自信があります。しかし、膨大な潜在カスタマーにコンタクトするには、当社の営業の力は弱すぎます。この部分の強化を急ぐ必要があります。
 実は、当社の実績を営業チャネル別に見ると、日立グループ経由で持ち込まれた案件が9割近くを占めており、残りが自社営業による成果となっています。これからは日立グループとしての営業力を増強するとともに、多くのパートナーと一緒になって、これまでカバーし切れなかった市場やユーザーをもっと開拓していくつもりです。

  その有力候補はどのような企業になりますか。

加藤 当社の成り立ちからいっても、製品の形態を見ても、まずはサーバーシステムを販売している情報系SIerでしょう。ただ、ユーザーターゲットを広げていくために、通信系・事務機器系ディーラーとも積極的に手を組んでいこうと考えています。実際、SOHO市場へアプローチするため、事務機器系の企業との間で協業の話を進めています。
 また、通信事業者とのパートナーシップも考えられます。IPセントレックス/IP電話サービスの提案において、SIP:OFFICEを付加価値ツールとして活用してもらえるのではないでしょうか。

  そうなると、日立グループの中で通信系事業会社とバッティングする可能性もあるのではないですか。

加藤 当社はそもそもグループ内で競合しようという気持ちはありませんし、「PBXをリプレースしよう」という意識も持っていません。
 もちろん、実際の営業活動の中では多少なりとも調整が必要なケースは出てくると思いますが、むしろ当社が営業を強化することで、日立グループ全体の販売力向上に大きく貢献できると見ています。実際、グループ会社同士で、「ネットワーク関連の販売力を今の4倍にしよう」というような話もしています。

  ユーザー側に対する啓蒙、需要掘り起こしを進めるためには、どんなことがポイントになりますか。

加藤 以前から「サーバー提案は情報システム部門、電話システムは総務部門」と考えられてきましたが、私は「第3のパイプを作る」ことが鍵だと考えています。例えば、営業企画、製品企画、事業企画といったプロフィット部門に積極的にアプローチするのです。
 SIP:OFFICE提案の中でも、こういった部門の方に話をすると、非常に関心を持ってくれます。ゆくゆくは企業全体での導入に結び付けていく足がかりとしても、個々の業務効率向上に熱心な部門に直接アプローチしていく手法は有効だと思います。ですから今、営業部隊に対して「ユーザーを訪問したらいろいろな部署に顔を出してみなさい」と強く言っています。
 もう1つ、これまでのコンタクトセンター分野でのノウハウが、オフィス向けにも生かせるのではないかと見ています。コンタクトセンターは、電話をはじめEメールやWebによる外部からの問い合わせ対応、クレーム処理といった業務に特化して、その中身の統計を取り分析することで効率化を追求してきました。
 しかし、同じような業務は、ボリュームこそ違うものの一般オフィスでも日頃行っています。つまり、非定型と思われていた業務の効率向上をどのように実現していくかというコンサルティングの部分では、コンタクトセンター向けの提案が大きなヒントになると考えているわけです。
(聞き手・土谷宜弘)
 

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