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2006年2月号

ケイ・オプティコム
代表取締役社長
田邉忠夫氏
主婦に手応え、eo光電話
FMCは全方位で協業進める

先進的なサービスと戦略的な低価格を打ち出し、FTTH市場を牽引しているケイ・オプティコム。田邉忠夫社長は、「常にお客様の視点で物事を考え、本物の商売を追求していきたい」と語る。

Profile

田邉忠夫(たなべ・ただお)氏
1963年4月関西電力入社、85年6月東海支社次長、91年6月情報企画部長、97年6月取締役情報通信室長、2000年6月取締役経営改革IT本部副本部長を経て、2000年11月ケイ・オプティコム代表取締役社長に就任。2001年4月から関西どっとコム代表取締役社長を兼務。2003年12月から大阪メディアポートと合併した新生ケイ・オプティコムの代表取締役社長を継続して務め、現在に至る。1940年7月生まれ

  2004年9月に、他社に先駆けて戸建て住宅向けに「eo光電話」を投入したことは、御社の大きな転機になったと思います。

田邉 従来の高速インターネット接続中心のサービスは、お客様の中心が30〜50代前後の男性と、ターゲットが限られていました。しかし、「従来の電話番号がそのまま使えます」「NTTに支払っている基本料は要りません」「通話料も安いです」と訴えると、ほとんどの方が関心を示してくれるようになりました。特に、家庭の主婦や年配の方からの申し込みが増えました。

  05年4月末には、「eo光」の提供エリア全域でeo光電話が利用できるようになりました。

田邉 ご存知のように、NTTの加入電話と同等のサービスを実現するうえでの最大の課題は、緊急通報機関、なかでも特に消防署との接続です。各地域の消防署すべてに接続する必要があるため、かなりの時間がかかるのです。当社はいち早く対応を始めたことで、早期に全エリアでのサービス提供を実現しました。これはまだ、NTT西日本も実現できていません。

  同時に2年以上の継続利用を約束する「即割」でeo光の月額料金を6300円から4900円に事実上値下げ。eo光電話とのセットでも5200円という戦略的な価格を打ち出しました。

田邉 狙いはズバリ、「ADSLサービス+加入電話」ユーザーの巻き取りです。そのために、2つを合わせた料金よりも安く設定する必要がありました。
 この戦略は見事に的中し、一時は申し込みが3倍にも増えました。今はやや落ち着いていますが、それでも04年9月以前と比べて2倍前後の申し込み数が続いています。

  その結果、05年3月末で滋賀、奈良、和歌山の近畿3県でNTT西日本のシェアが50%を割ったというデータが総務省から発表され、大きなニュースになりました。

田邉 その点については、大騒ぎするほうがおかしいと思っています。確かに、世帯普及率では滋賀県が全国2位など、近畿2府4県は軒並み上位にきています。ですが、当社がNTT西に先行してこういった郊外へ戦略的に営業を行ったという背景もあります。まだまだFTTHの普及が始まったばかりの段階で、一時的なデータで何かを判断できるものではないと思います。

「本物の商売」を追求する

  05年7月に本サービスを開始した、業界初の宅内PCまで1Gbpsの“1ギガコース”の手応えはどうですか。

田邉 われわれは「本物のGE-PON」と呼んでいますが、思った以上の反応があります。1ギガコースには月額8700円という高めの価格を設定していますが、それでも意外に乗り換え需要があるのです。
 ちなみに、最新のPCに接続すれば、実効で600M〜700Mbpsものスピードが出ます。今後、PCの進化とともに、実効速度はさらに高速化していくでしょう。
 ただ、現在はH.264技術を用いたハイビション映像を試験的に流しているだけです。まだ「ギガでこんなサービスが受けられる」というものが提供できていないので、そこは考えていかなければなりません。

  PCまで100Mbpsの“100Mプレミアムコース”とともに、1ギガアクセスラインのサービスを揃えたことで、御社が積極的に進めている映像配信サービスが活きてくると思います。

田邉 PC向けにはIPベースのVODサービス「eonetシアター/PC」を開始し、ハリウッドの各メジャースタジオのコンテンツなどを徐々に充実させています。
 また、ケイ・キャット(K-CAT)と近鉄ケーブルネットワーク(KCN)のCATV事業者2社と提携して提供中の「eo光テレビ」は、現在eo光エリアの80%で視聴可能です。専門チャンネルに加え、地上波アナログ・デジタル放送やBS・CS放送が見られる点が魅力で、加入者は急増しています。
 こうして改めて振り返ってみると、小さな会社にしては、随分と新しいことに取り組んできたなという自負があります。

  新しい取り組みといえば、現在の「即割」やNTT西日本の「ずっと割引」「あっと割引」のような、長期利用で月額料金を割り引く制度も御社が先駆けでした。他のキャリアは未だに初期費用無料等、加入時の敷居を低くするキャンペーンだけに注力するなか、斬新的だったといえます。

田邉 現在の加入キャンペーンは、最初の数カ月間だけ月額料金を無料にし、その後は正規の料金に戻すのが一般的です。ですが、これをやると、お客様は結局、高い買い物をすることになります。また、キャリア側からみれば、無料期間だけの利用で契約を切られる恐れもあります。私はそういう商売はやるべきではないと思っています。
 われわれは、「本物の商売」を追求していきます。小手先のごまかしではなく、「どうすればお客様のためになるのか」を考えて、実践していきます。

事業者論理よりも顧客の視点で

  05年は、PNJグループにとっても転換期になる出来事がありました。KDDIがパワードコムを吸収合併するという話を聞いた時、どのような感想を持ちましたか。

田邉 これまでPNJグループは、全国区の回線をパワードコムが持ち、足回り回線を各地域会社が受け持つという形で共存共栄の事業を展開してきました。つまりパワードコムは、地方の回線を使用する時は、NTTのダークファイバーではなく、PNJグループの回線を使用することを第一に考えてくれていました。しかしKDDIは一般の通信会社ですから、どこまで「PNJグループ優先」という意識を持ってくれるのかは分かりません。
 一般的に考えると、経済原則が優先されるべきだと思います。ですからPNJグループ各社は、それを前提として足回り回線の低価格化に取り組まなければならないと考えます。それが基本で、そのうえでKDDIと共存共栄に向けた話し合いをしていくべきでしょう。

  合併記者会見では「NTTグループへの対抗軸形成」を謳っていました。

田邉 正直なところ、それを前面に押し出して良いものかという気がしています。われわれはこれまで、パワードコムの「PEN(Powered EtherNet)」の足回り回線を、保守を含めて請け負ってきました。パワードコムがKDDIに吸収合併されたからといって、それが変わることはなく、協力体制を維持していきます。
 ですが当社は、NTTコミュニケーションズの足回り回線も請け負っています。NTTグループへの対抗軸形成を謳って、それを投げ出すわけにはいきません。そこはやはり、経済原則が優先されるべきです。
 ただ、対抗軸形成を前面に押し出すべきではないということと、NTTグループが発表した中期経営戦略の推進計画への意見は分けて論じるべきです。

  今回のアクションプランは、どう受け止めましたか。

田邉 いろいろと意見はありますが、一番言いたいのは、「それがお客様にとって本当に得になることですか」ということです。例えば、現在話題になっているFOMA/無線LANデュアル端末を利用したFMCサービスです。これがNTTグループのサービスでしか使えないということになれば、お客様にとってマイナスにしかなりません。

  ユーザー側から見ても、固定と携帯の両方を必ずしも同じグループと契約しているわけではありません。例えば、固定はNTTでも携帯は他社を選んでるユーザーも多いのが実情です。それなのに、そのままの形でFMCサービスが利用できないとなれば、NTTグループから見ても自社のユーザーに無理を強いることになりますね。

田邉 その通りで、事業者の論理だけで物事を進めるのは、一番よくないと思います。

  御社は先日、法人向けソリューションでau携帯との連携を発表しましたが、その考えですと、今後他の携帯電話キャリアとも話し合いを進めるということですね。

田邉 相手が受けてくれる、くれないはありますが、そうするつもりです。つまり今回の発表は、KDDIとパワードコムの話があったからということではなく、全方位的に事業を進めているなかの1つと捉えていただきたいのです。

社員が常にCSRを考える会社に

  05年の御社には、残念な事故が2件起こりました。

田邉 お恥ずかしい話ですが、言及しなければなりません。まず、5月14日に約1万2000人分の顧客情報が入ったHDDを紛失してしまいました。現在のところ、悪用された事実はありませんが、事態を重く受け止め、何重もの対策を講じました。
 具体的には、まずPCは移動させない。どうしても持ち歩く必要がある場合は、USBキーを挿入しないとPCが起動しない。起動してもIDとパスワードがないとOSが立ち上がらない。さらにファイルを開けるにもIDとパスワードが必要という形にしました。また、HDDのみが抜き取られる恐れがあるので、中身を暗号化し、外部の人間に見られないようにしました。

  もう1件は、12月3日に発生した通信障害ですが、原因は何だったのですか。

田邉 eo光電話に限らず、IP電話は交換機能を持つSIPサーバーで電話を受けます。設備には小容量のバッファメモリーがあり、そこに「電話がどこからで、どこにつなぐのか」という情報を一時的に記憶し、電話を接続するとそれを消去する仕組みです。
 そこにもし、eo光電話が提供していないサービスへのコールがあった場合は、ガイダンス用のサーバーに転送し、「当社ではこのサービスに対応しておりません」というメッセージを流した後にメモリーを消去するようにしていました。
 ですがこの時、eo光電話が対応していないテレビの電話投票へのコールが、1秒間に50〜80コールも殺到したのです。このためガイダンス用サーバーが応答し切れなくなってしまい、メモリーも消去されず、以後のコールを受けることができませんでした。SIPサーバー自体に障害が発生したわけではないので、予備設備にも切り替わらなかったのです。
 そこで、メモリーの増設を図るとともに、当面は接続サービスを提供していない番号へのコールがあった場合でも、ガイダンス用サーバーにつながないようにしました。そのうえで06年度上期の早い時期にガイダンス用サーバーを増強する予定です。また、復旧までに時間を要したことを重く受け止め、保全体制の強化にも努めます。

  06年度に向けてどのような舵取りをしていきますか。

田邉 先日、関西経済同友会で故松下幸之助氏の1957年のビデオを見ました。50年も前なのにもかかわらず、すでに松下氏はCSR(企業の社会的責任)について語っておられました。他方で私は現在、故中内A氏について書かれた本を読み漁っていますが、同じことを語っておられます。
 そこで、前述の2件の事故への反省も込め、社員1人ひとりに対して「今の行動が、本当に社会のためになっているのかを常に考えてくれ」と言っていきます。CSRを考えることが、当社の文化として育つようにしていきたいと思っています。
(聞き手・藤田 健)

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