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2010年3月号

ソフトバンクモバイル 取締役副社長
松本徹三氏
LTEは現時点では時期尚早
Wi-Fi軸にNW設計を大転換

iPhoneの好調により携帯電話の契約純増数で
首位を独走するソフトバンクモバイル。
海外では中国市場を中心に積極的に投資を行っている。
松本副社長はiPad向けSIMカードの提供についてはノーコメントとしながら、
「大いに売れるだろうと見ている」と語る。

Profile

松本徹三氏
(まつもと・てつぞう)
1939年11月15日生まれ。62年3月京都大学法学部卒業。同年4月伊藤忠商事大阪本社入社。84年10月伊藤忠アメリカ社上級副社長兼エレクトロニクス部長。91年4月伊藤忠商事東京本社通信事業部長。93年4月同マルチメディア事業部長。96年4月ジャパン・リンク代表取締役社長。98年4月クアルコムジャパン代表取締役社長。2005年3月同取締役会長、クアルコム米国本社上級副社長。06年9月ボーダフォン執行役副社長技術統括兼CSO。同年10月ソフトバンクモバイルに社名変更。同社取締役就任、現在に至る

携帯電話市場が成熟化し、販売台数も伸び悩んでいる中で、ソフトバンクモバイルはiPhone効果から好調を維持しています。

松本 携帯電話市場がサチュレーション(飽和)していると以前から言われていますが、これは「もしもし、はいはい」のための携帯電話の契約数が飽和しているという意味であり、使われ方はむしろこれから飛躍期に入ると見ています。
 携帯電話は通話に始まりメール、Web、ゲーム、音楽と日本が世界を先行してきました。しかし、当社の孫(正義社長)が「モバイルインターネットの時代へ」と言っているように、インターネット端末としての携帯電話の使われ方はまだ入り口に来たところにすぎないと思います。
 そのインターネット端末であるiPhoneは、既存の携帯電話とは180度異なる存在です。
 日本の携帯電話は機能が複雑化してもきちんとしたOSを作ってこなかったため、モデルごとの開発費が膨大になりました。いわば、「猫をなでていたら虎になってきた」ために、手をつけられない状態になっています。これに対し、iPhoneは携帯電話を小型のPCと捉え、初めにきちんとしたOSを作りました。アップルは最初から「虎を飼いならすにはどうしたらよいか」を考えていたといえます。
 iPhoneは日々アプリが増え、“新しい使い方”が提案されており、これからも進化していきます。それをグーグルのAndroidが追い上げている状態で、二強時代が来るかもしれません。そうなると、使われ方の変化が加速され、量的にはともかく、質的には拡大期に入ると見ています。

端末およびサービスのレイヤでアップルやグーグルなどグローバルなプレイヤーの勢力が拡大していることは、日本の通信キャリアにとって脅威なのではありませんか。

松本 通信は端末、サービス・コンテンツ、ネットワークの三位一体で成り立っており、ネットワークはファクターの1つにすぎません。ネットワークはローカルですが、サービスや端末は国境がなくグローバルであるにもかかわらず、すべてローカルにしたのが日本の携帯電話です。そうしたメンタリティが日本をだめにしています。
 ソフトバンクは“グローバルなインタネットサービスカンパニー”を標榜しており、各国の企業と合弁を組んでいます。お互いに自社の得意分野を出し合い、大きなグループの一部になればいいと考えているので、アップルやグーグルと競合するわけではまったくありません。実際、アップルとはきわめて良好な関係を築くことができていると思っています。

iPadは非常に魅力ある製品

アップルが先日発表したタブレット型の「iPad」はどのように評価していますか。

松本 私ぐらいの年齢になると、携帯電話の小さな画面では文字が見づらく、かといって絶えずPCの画面に向かっているのも辛いので、いつでもどこでも、くつろいだ姿勢で読むことができる紙メディアを手放せていません。
 一方、現在のPCは、アインシュタインのような天才に車を運転させているようなものです。私みたいなユーザーは、PCの本来の能力の1%ぐらいしか活用できていないのに、高い値段を払い、重さを我慢して持ち歩いているのが実情です。iPhoneの画面を大型化したような商品なら、こうしたユーザーに必要な機能はすべて入っており、持ち運びが楽で、紙代わりに使うこともできるので、絶対にニーズはあると思います。

NTTドコモがiPadへのSIMカード提供に意欲を見せていますが、ソフトバンクではSIMカードを提供する予定はありますか。

松本 それについては、現時点で私がコメントすることではありません。ただ、iPadは非常に魅力のある製品で、大いに売れるだろうと予想しています。

ドコモはAndroid端末「Xperia」の発売に合わせて独自のアプリストア「ドコモマーケット」を開始します。今春、ソフトバンクもAndroid 端末を発売しますが、独自アプリストアの計画はありますか。

松本 あまり「独自」をうたったものは提供したくないと考えています。自己満足はできても、それがユーザーにとって本当によいことかどうかは分かりませんから。もし、今ないもので、何かよい機能があるのなら、むしろアップルやグーグルに直接頼んだ方がよいのかもしれません。
 我々の仕事はネットワークとサービス、端末の3つの要素をインテグレートし、最も使いやすい形でユーザーに提供することにあり、テクノロジーはそのための道具にすぎません。毎日のように、世界中からさまざまなテクノロジーの売り込みがあるのですから、その中でベストのものを見極め、取り入れていけばよいのではないでしょうか。
 個々の技術や商品ではなく、エコシステム全体のインテグレーション能力こそが、我々としての「差別化」の源泉だと思っています。

ところで先日、ソフトバンクがPHSのウィルコムに出資すると一部で報道されました。

松本 我々からは何も発表していないので、この件についてコメントはできません。ただ、あくまでも一般論になりますが、企業は最終的に事業として成り立つという確信がなければ、いくら社会的あるいは戦略的な意義があったとしても、なにもできないということです。

M2Mの拡大に期待

今後の成長分野として、さまざまな機器に通信モジュールを搭載するM2Mが期待されています。ソフトバンクでもデジタルフォトフレーム「Photo Vision」が純増にかなり貢献しているようですね。

松本 M2Mは今、世界中で話題になっています。自動車やヘルスケア、テレメーター、コンシューマー分野などの用途が考えられています。例えばヘルスケアでは、遠隔医療に応用することによって、アフリカなど医者が不足している地域で多くの命を救うことが可能です。医療費の高いアメリカも非常に熱心です。またコンシューマー分野では、各家庭での利用だけでなく、POSの現場への導入などが想定されます。
 GSMAでは当社と韓国KTが呼びかけて、M2Mを推進しています。いまだに無線よりも有線の方が安いと思っている方が結構多いようですが、それはまったくの勘違いです。至る所で年中配線工事をしているよりは、無線のほうがよっぽど安いのです。
 今後チップの価格がさらに下がれば、あらゆる機器にモジュールが載ってくるでしょう。また、無線ではセンター(クラウド)に直接情報が集まるので、これからの時代に合っているとも言えます。

ネットワーク容量の拡大についてはどのような計画ですか。

松本 LTEは現時点では時期尚早と見ています。理由としては、まだコストが高く、標準化も未成熟、チップのラインナップも十分でない、バックワード・コンパチビリティがないので既存端末をサポートできない、音声に対応していない等々が挙げられます。また当社の場合、1.5GHz帯は帯域幅が10MHzなので、HSPA+と比べるとスループットの差がほとんどありません。

(聞き手・太田智晴)
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